扉を開けばすぐ、温かく迎えてくれるお母さん。



かじかんだ手で雪をはらい、コートを脱ぎ、
早速頼んだ、熱燗一合。



お決まりのお通し、自家製「山葵漬け」の、
とろりとした醍醐をゆっくり味わい、



置かれている品書きから、



充ては、自家製の「おつけもの」 。

「白菜浅漬け」に、甘酸っぱい「赤蕪漬け」、
茄子に胡瓜、蕪の糠漬けを充てに、
ご主人とあれこれ話す時間が楽しく…、

お蕎麦は、まだ頂いていなかった、
「せいろ」に「ちいさなにしんそば」「甘味」の、
「十割コース」を頂こう 。



まずは、十割で打たれた「せいろ」から。



蒸篭に盛られた蕎麦はぴかぴかと輝く、
端正に断たれた美しい細切り 。



手繰ると、ほのかに甘皮が透け、
くわっと広がる、豊かな香り。

きりっと〆ったコシに、喉越し軽妙、
香ばしさに淑やかな甘みが広がり、
ん〜…、美味しい 。



薬味の葱も美しく、山葵もフレッシュ爽快、、
もり汁は、しっかりと濃く円やか、
そっと蕎麦先に浸すと旨みが増し、



あとは一気、あっという間。
ほのかに濁った蕎麦湯を頂いてると…、



続いて置かれる、「小さなにしんそば」。
これ又なんて美味しそ〜う 。



まずはとすすった汁の旨さと言ったら…。

すっきりとした清らかな出汁に、
ふわりと染みた鰊の出汁に、
啜る毎にため息、ずっとすすっていたくなる。



蕎麦は、汁の中でもきりっとしたコシがあり、
温まって風味が膨らみ汁が重なる、
ぞくぞくとする旨さ 。



鰊は箸を入れた途端に、ほろほろと零れ、
臭さ皆無、くずす毎に汁に旨みが染み、
ああ、これ、も～う、
「小さな」じゃなくて食べたくなっちゃう〜 。



はっと我に返った時には、一滴もない丼が。



すっと出されたお茶で余韻にふけっていると、
これも楽しみな「甘味」の「水あずき」。



さらさらほろほろと溶け消える、
透明感のある甘みがなんとも心地よく、
さっとかけられた「黄な粉」が絶妙 。



「じゆうさん」として開店して17年。
私にとっても想い出深いこの空間。
しっかりと目に心に焼き付けて…

ご馳走様でした〜

感慨深く、ちょっと寂しいけども、
「シン　じゆうさん」も、とても楽しみ。
そして、お父さん、お母さん、お疲れ様でした 。

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