１３時をとうに回った昼下がり。
混雑も過ぎ、ゆるりとした空気漂う店内で、
通されたのは、窓際の座り心地のいいテーブル席。



朝方の雨は止んだけど、
空気はキンっと冷たく手はかじかみ、



まずは、「緑川政宗」の熱燗一合。
お通しが焼き味噌だなんて、嬉しすぎ 。



西京味噌仕立ての円やかな焼き味噌を、
口に運びつつ品書きを開き、
充ては、「前菜三品」を 。



頼めば程なく、趣きある器に盛られた三点盛り。
酢の味わいも柔らかな「酢昆布煮」に、
「ミニトマトの甘酢漬け」がはっとする程美味。



そして、「白金豚の葱味噌添え」。
これがびっくりする程柔らか〜。
ほろっと溶けじわりと滴る豚肉の旨みが半端ない。

添えられた葱味噌の按配も見事、
くぅ〜、なんて美味しいんだろう〜 。



続いて二品、
「人参と芹とグラニースミス（林檎）の白和え」。

滑らかな白和えは豆腐の風味が豊か、
しゃきっ香り弾ける芹に、林檎の爽やかな甘みが、
実に見事に調和した一品



三品目は、とろろ昆布を添えた「大根の田舎煮」。



すっと箸が通る、しっかりと味の染みた大根に、
とろりと絡まるとろろ昆布が旨みを引き立てる。

はぁ〜…、どれも旨い。
さすが「坐忘」さん、期待を裏切らない料理に、
嬉しく熱燗を飲み干して…、



蕎麦は「せいろ」に「粗挽き」の二種類。
どちらも捨てがたいけど…、



今日のお目当ては、
ずっと頂いてみたかった「かけ蕎麦」を 。



頼めば程なく、丁寧に置かれたお盆。



深口切立丼に、汁は淡い琥珀に澄み、
そっと添えた小松菜の緑が美しく、



まずは蓮華を手にとり汁を一口。
はぁ〜…、思わず目を閉じ溜息漏れる 。

口いっぱいに広がる、上品な鰹の出汁が、
喉伝い、体にじわりと滲み、
しばし蓮華を離せない。



この汁に浸る蕎麦はもちもち。
汁をまとい、温まって広がる蕎麦の甘みに、
手繰る毎にどんどんと増す旨み。

美味しい、ん〜美味しい…。



うっとりと手繰り、汁をすすり、
気付いたら一滴残せず飲み干して…、



タイミングもピタリに置かれる
蕎麦茶ゼリーの甘味のサービス。
さっぱりとしたゼリーに黒蜜の甘みがいい、
まるでコースを頂いたような満足感。

ご馳走様でした〜

思ったとおり「坐忘」さんは「かけそば」も素晴らしい。
そして、この「前菜三品」は、
季節ごとに頂きたいなあ 。

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