昼時をとうに過ぎた、午後2時。
何人かがゆるりと寛ぐ、中休みのないお店の心地よさに、
空いていたテーブルに腰を下ろすと…、



程なく、ご主人がそっと置いた二つの瓶。
ひとつは東京でも有名な、三重の「而今」。
その隣の、「高砂」は…？



「静岡の・・？」と尋ねた私に、楽しそうにご主人。
「而今」ラベルは、なんと三重では販売されず、
地元三重では、「高砂」のラベルなんだそう 。

確かにどちらも、木屋正酒造。
きりっとして美しい味わいの「高砂」大吟醸に、
独特の甘みのある、純米吟醸「而今」。



ほうれん草と切干大根のお浸しを充てに、
二つのお酒を味わっていると…、



「これだよ、これ」
ど～んと置かれた、おっきく立派な天然なめこっ 。



その横には、白と紫の辛味大根も。
「おろしで出すね」の言葉を残し…、



程なく、普通の大根、白い辛味大根、紫大根と、



わ～おっ、これはまるで「利きおろし」っ 。
それぞれの辛さを確かめていると、



待ってましたの、立派な茹でなめこ 。



これに、3つの大根おろしを盛り、
もり汁をちょろりとかけ…、



んーっ、心地のいいぬめりに茸の味濃く、これは旨いっ、
天然なめこいいなー



ここに、次のお酒が。
福島　「天明」　汲み立ての、「中取り 零号」
旨み甘みのバランス良く、引き締まった味わいに、



同じく「天明」　秋冬酒 焔HOMURA 生酛仕込
一年寝かしたお酒は、とても円やか、
二つの美酒をうっとり味わってると…



すっと出された、二種盛りの蕎麦。



なんて美しい。透け輝く純白の「さらしな」。



ぷりっととも、しっかりとも違う、
キリっとしてエレガント、
手繰る先から甘みが広がり、この「更科」素晴らしく美味しいっ



このさらしなに、辛味大根がドンピシャの旨さ。
ぷりぷりなめこの食感に、
ｷｰﾝと辛い大根に繊細な味がきりっと引き立ち、



続いて「生粉打ち」。



ほのかにざらつく穀物感の心地の良さに、
その腰、喉越しの粋、手繰る先から溢れる味わい。
あ～、四代目ヤス君、本当に蕎麦が美味しい 。



これも辛味大根に合わせると、
辛さの中から蕎麦の風味が広がりあとを引く。
あっという間に手繰り終え…



熱々蕎麦湯を注げば、
あんなに辛かった辛味大根が、爽やかに甘くって、
何度も何度も注ぎ頂いて…

ご馳走様でした～

代替わりして早１年。
メキメキと腕を上げるヤス君の蕎麦の美味しさに、
次は…、温かいお蕎麦も食べてみよう。

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