ずっと行ってみたいと思っていたお店は、西所沢でさらに乗り換えた「下山口」の駅。えんえんと続くのではないかと思わせる坂道を上った先に 、ようやく現れる。
ふっと前触れもなく現れるお店は、しっとりとした和の空気が表からも感じられる、落ち着いた風情。
下山口 「狭山 翁」
乗り換えの時間やらで、すっかりお昼も1時を当に過ぎた昼下がり。その佇まいに、ちょっと身構えながら暖簾を潜り、扉を開く。
すぐに広がる空間は、ゆったりとしたテーブル席3卓に、奥に2卓ほどの小上がり。先客はサラリーマンと思われる男の方が一人、蕎麦を頂いているのと、上品な老紳士が今しがた訪れたという様子。残りのひとつのテーブルに腰を落ち着ける・・。
すぐに奥様(?)が出てきてくださり、「お茶は温かいのと冷たいのとどちらがいいですか?」と、聞いてくださり、冷たいのをお願いしながら、おかれた品書きを広げてみる。
「もりそば」に「おろしそば」「鴨汁そば」・・・と並ぶ中、興味のあった「田舎蕎麦」は休日限定とのこと。最後に書かれている、オススメの「蕎麦セット」がとても魅力的な内容だったので、すかさずそれをお願いすることに。
「焼き味噌」、「おぼろ豆腐」「ナスの揚げ出し」が付くセットだもの、やっぱり(っていうか、既に昼酒の気分まんまん~)お酒の品書きを見つめながら、珍しい「貴」があるのを見つけ、それも一緒にお願いしちゃう。
快く聞き入れてくれた奥様が、程なくしてお盆に一斉に盛り付けて出してくださる。
おおおっ、豪華・・・
「蕎麦セット」は、焼き味噌、おぼろ豆腐、茄子の揚げびたし、山葵の醤油漬けと、「かけ」か「せいろ」、最後にデザートが付く内容で、デザートは、「杏仁豆腐」と選べる中から「蕎麦白玉」をお願いする。
よく冷やされ、ふわりと柔らかく広がる「貴」を頂きながら、まずはこの「青豆おぼろ豆腐」を・・。
と!こ、これが、か・な・り、美味しい~っ。
ふわっとした柔らかめの豆腐で、甘みがとても濃い。大豆、青豆の風味がぎゅっと詰まった感じで、醤油を添えられるが、何もなくてもうっとりしながら食べてしまう。これはいいなぁ~っ
ナスもとろっと柔らかく上品な味わいに、お酒にはもってこいの焼き味噌は申し分なく、しみじみとゆっくりと味わう。
時折、常連と見られる老紳士のおじ様と、その横にそっと腰を落ち着ける奥様と交わす会話も楽しく、知らずしらずにゆるゆるとした時間が流れていく・・・。
たっぷりとゆっくりとした時間を過ごさせて頂き、そろそろお蕎麦を。
エッジの鮮やかに立った、乱れのない見目麗しい二八の蕎麦。
長坂の翁で修行をなさって、ここで既に6年とのこと。「早いわねぇ~」と女将さんは、しみじみとおっしゃる。
丹精な蕎麦をしみじみと眺めながら、口い含むとしっとりとした弾力が心地いい。かみ締めると後から、甘みを含んだ蕎麦の風味がすうっと鼻腔をぬけ、喉越しよく落ちていく。翁の蕎麦の良さが現れた洗練された蕎麦。鰹の風味が上品に立つすっきりとした汁もよく、蕎麦とからまりお互いを引き立てているよう。すっかりするすると食べ進めてしまう。
そっと出される蕎麦湯は、優しく白濁した滑らかなもの。「皆さん、うちの蕎麦湯も美味しいっておっしゃって下さるのよ」とおっしゃっているように、確かに美味しい。お変わりをしてたっぷりと・・・。
と、最後にデザートの「そば白玉ぜんざい」が。
カリカリに炒られた蕎麦の実が香ばしく、中のそば白玉がふわっふわ
丁度耳たぶのような柔らかさに、むちょっとした感触がなんとも言えない。さらさらっとした、甘みを抑えたぜんざいもすっと優しく舌を楽しませ、食後の余韻を十分に楽しむ。
ん~、そば白玉っていいなぁ・・・
おじ様も帰られ、女将さんとぽつぽつとお話などしながら、さて私もお勘定を・・・。
格式あるようで、ここは、なんて暖かいお店なんだろう。
ご馳走さまでした~
と、扉を開けると、門の外までお見送りまで。ずっと先まで女将さんの姿を見ていたら、ふうっと心に温かいものを感じてきて・・・。
又来たいな、ゆったりとしたなんて寛ぐ時間だったろう・・・。
*お品書き
もりそば、田舎そば(土日限定)840円、おろし 1,000円、とろろ 1,200円、鴨せいろ 1,365円、天せいろ 1,575円、そばセット 1,575円、かけ 840円、山かけ 1,200円、鴨南 1,365円
焼き味噌、こだわりのおぼろ豆腐 315円、そばがき、天ぷら盛り合わせ 840円、そば白玉ぜんざい、杏仁豆腐 315円
黒龍、貴、臥龍梅、出羽桜、磯自慢、喜泉田むら、郷の誉、女なかせ 800円~
「狭山 翁」
所沢市小手指南1-17-34
042-903-9940
11:30~17:00
月休(祝営業翌振休)
P3台 店内禁煙
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私もまた行ってみます!
(坂がきついんですが…^^;;)
のコメントのような良い印象ではありませ
んでした。焼き味噌は美味しかったので
すが、田舎そばは普通の美味しさ。山葵
があまりにも少なくしかも水っぽくて辛み
も甘みも無くて、ネギも一部乾いてカビカ
ビっぽかったし、これが蕎麦の鬼とも聞く
高橋氏の教えを受けた店なのかな?と
首をかしげました。
土日限定の田舎を頂いたなんて、羨ましい限りです。
あの大女将さんの笑顔が、思い出されてきます…。
chinenさんのお言葉、
>なんだか自分のことのように
なんて書いて下さるんですもの、思わず涙が出てしまいました。とてもうれしいです。
気に入って頂けたら、私もどんなにか…。
本当にありがとうございます。
これからも、よろしくお願い致します。
今回、週末なので、土日限定「田舎そば」を頂くことができました。1本1本丹精込めて打ったそばは、ご主人のそばに対する愛情を感じました・・・。
そして・・・、本「つれづれ蕎麦」、手に入れました! 長いこと参考にさせていただいているyukaさんのブログが、「本」という形になったことに、なんだか自分のことのようにうれしくて・・・。 さらには「23区の特選18店」の中に練馬区がなんと3店舗もランクインされていることがまた嬉しくて。本「つれづれ蕎麦」を片手に、これから益々、手打ち蕎麦店通いが多くなりそうです!
よかった・・・。
なんというか、静寂とゆるやかな空気。
そして、帰りにメモしてきましたが、あのお豆腐は、本当に美味しい。
蕎麦もよく、ぜんざいも。
とても堪能しました。
こういうお店に出会えるから、たまらないですよね~・・
もひとつの顔があったんですね♪
蕎麦は良いし、「わたなべ」の豆腐は旨いし・・・
行きたくなってしまいますね。
じ、自転車でっっ??
それは、絶対疲れます、と思います・・っ。
あの辺りは、本当に坂が多いですよね。
それはそうと、私もすっかり気に入ってしまいました。訪れてみてよかったです。
あの坂を登ってでも、又是非行きたいお店です。
女将さんとちょっと坂の話をしていたら、「小手指からバスが出てるから、その方が楽よ~」なんて言われちゃいました(^^;;
長岡・・、行ってみたいです(^^)
三茶、いいじゃないですか♪
手近なんて羨ましいです(^^)
登る価値のあるお店ですよね。
ふっと時間をかけて寛ぎに行きたいお店です。
週末どこかでつるつるっと手繰りたいな
やはり手近な三茶に行くか
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