その中に出ていた粗挽き蕎麦の写真に魅入られ、是非いつか食べてみたい、と思っていた、が、金曜日限定。日にちを見ながら、日々に追われてしまっていたが・・・、最近、又雑誌を持ち出して眺めていたら、どうしても食べてみたい。その思いが募り・・・。
幸運にも今朝は花活けの仕事がある。仕事を終えてすぐに向かえば・・・、と、駆け込んで電車に乗り込んでまった。
携帯のyahooの地図情報に寄ると、東武線の「西大家駅」が最寄の駅らしい。素直に従い、駅で降り立ち、地図に従って向かってみるが・・・
歩けども、歩けども、な~んにもない、田舎の通りを延々、延々、延々と・・・。だんだん不安になった頃、お店の住所と同じ看板が出てきて、ほっとはしたが、それから さらに向かう 。
雑誌の「徒歩40分」の文字を、ちょっと甘く見てたかも・・・、などと思い出だしたころ、やっと、・・・本当にやっと、視界の端に「手打ち蕎麦」の文字がぼんやりと映って来たっっ。
辿りついた・・・。
着いた~・・・
広々とした通り沿いに、悠々と佇む、一見家屋のお店。掛けられた緋色の暖簾に、しっとりとした木の看板。 しみじみと眺め、暖簾を潜る。
高麗川 「石臼碾き手打ちそば 百日紅」
扉を開くと、普通の家屋の玄関の入り口があり、入るとゆったりとした玄関。すぐに温かい「いらっしゃいませ」の声で迎えられ、靴を脱いでお座敷の客室へ。
自宅の家屋をそのままお店にしているようだが、二間続きのお座敷は、しっとりと落ち着いた、とても上品な空間。ほんのり落とされた照明に、心地よく流れるヒーリングミュージック。
昼丁度の時分、すで3組ほどのお客さんが楽しんでいる中、私も空いていたテーブル席に腰を下ろす。
座ると程なく、にこやかでとても感じのいいおば様が、お茶と揚げ蕎麦を出して下さる。
歩いてきた疲れがほどけていくのを感じながら、お茶と揚げ蕎麦を頂くと、この揚げ蕎麦が、非常に美味しい♪
ぽりぽりと頂きながら、品書きを開く。
頃合を見て、聞きに来て下さり、「西大家」から歩いて来た・・というと、びっくりなされたようで、「ここはどちらで・・・?」など、お話を。「男の隠れ家」の「粗挽き蕎麦」の写真に魅入られて、と話すと、「じゃ、それを、ですね♪」と、ぱっとした笑顔で言って下さるのが、なんだかとてもうれしい。
でも・・・、これだけ歩いて来たので、少しだけ、と、まずはお酒を。
書かれているお酒は一色、埼玉の地酒 「野武士(来陽)」。
すっきりとした飲み口の辛口のお酒は、清々しく、添えられた蕎麦味噌がこれ又風流。
それに、興味のあった「京にしん」をお願いする。
上品な味付けで炊かれた鰊。上品だが、しっかりと味の染み入った鰊が、この辛口のお酒に実によく合う。
後ろで流れていく音楽に身を委ねながら、この鰊にお酒をゆっくりと頂く、ほっとしたひととき。
ふと前を見ると、飾り棚には様々な猪口が並べられ、ぼんやりと見ていると、次第に心が休まっていくよう・・・
そろそろ・・・と、思った、ピタリのタイミングで、「そろそろお蕎麦をお持ちしましょうか」と、声をかけて頂き、いよいよ・・・ 念願のお蕎麦を頂くことに。
程なくして出された、「金曜限定 粗挽き蕎麦」。
お聞きすると、茨城産の常陸秋蕎麦の新蕎麦とのこと。竹を形取った陶器の器にすのこが敷かれて盛られた蕎麦に、もり汁、桃色のアンデスの粗塩、丁寧に切られた葱と大根おろしの薬味が添えられる。
透き通るかのような透明感のある蕎麦に、豪華に散った蕎麦の星、星、星 。見とれながら、手繰り寄せる。ああ・・・、なんて深い穀物の香り。再びうっとりしながら口に含む。
手繰り上げ目に留まる、その荒々しいまでの切り口、しっかりとした腰に、心地よくざらつく舌触り。かみ締めると、もっちもちとした歯ごたえに、じわじわと蕎麦の香ばしい風味が広がっていく・・・。この感触、口の中でまどろむ感覚、生きているもののような躍動感のようなものさえ、感じられるかのよう。
そのまま、何もつけずともするすると食べてしまえそうな蕎麦に、ちょっと塩をまぶして頂くと、風味がぐっと増す。そして、汁を一口。甘辛のしっとりと融合したまろやかなもり汁。この汁も美味しく、ちょっと浸し、次には、添えられた大根おろしを入れて頂き、又、そのまま頂き・・と、惜しむようにじっくりじっくりと頂く。ああ・・・、幸せ~
最後の一手繰りは、ちょっと惜しむような思いさえも。
思い出しながら、出された蕎麦湯を注ぎいれる。優しく白濁した熱々の蕎麦湯を注ぎいれて頂く汁は、やはり美味しい・・。
たっぷりと頂く、これとないひととき。。
ほっとしたところで、では、と蕎麦と出されていた甘味を。
初め、羊羹かと思ったこれが、すっきりとした甘みの控えた小豆の・・・、なんだろう、豆乳と小豆の羊羹?個人的には、もっと甘くてもうれしいけれど、甘さを控えていることで、小豆本来の甘さが感じられ、これもいい。
蕎麦茶のお変わりも十分に頂き、すっかり満足な心地でいっぱい
お勘定をと、席を立つと、厨房から顔を出して下ったご主人が、又、とても素敵な方。奥様も、とても上品で落ち着いた素敵な方で、優しくあれこれとお話しをさせて頂き、もう、すっかりこのお店の虜になってしまってる。
この粗挽き、十割でありながら、野趣たけた荒々しくも繊細な蕎麦に、歩いて来た道中のことなどすっかり忘れ、又食べたい、という思いばかり。
又、是非是非、訪れたい。
金曜日は、もちろんのこと、
それと・・・、
この「桜海老釜揚げせいろ」も、とっても気になっちゃったから、今度は、ドライブがてらに来て見たいな・・・。
ご馳走さまでした~
来れて、本当によかった。でも、又、がんばって、金曜日にも来ます!
帰りは、「高麗川駅」に向かって、再びえんえんと・・・。
*お品書き
せいろ 600円、十割そば 700円、粗碾き十割そば 800円、おろし蕎麦百日紅 800円、つけとろ 800円、鴨せいろ 1,300円、しいたけせいろ 900円、きつねせいろ 800円、桜海老せいろ 1,000円
京にしん、焼き味噌 400円、エビス 500円、野武士 400円
「石臼碾き手打ちそば 百日紅」
埼玉県日高市田波目575-4
042-985-2356
11:30~16:00(売り切れ仕舞)
火曜・水曜定休 P4台ほど
禁煙 お店のHP
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又、お会いしたいなぁ・・・と、思っていました。いろんなお話お聞きしたいです。藤枝・・、羨ましいです。いつか私も訪れたい。
はい♪、ぜひぜひぜひ、矢川で・・(^^)
私も、一度行きたいと思っていたのですが・・・、如何なのでしょうか。。
静岡のお店もとても気になっています。
行きたいなぁ~
ああいうところを延々と歩くのって、さらに長~く感じちゃうんですよねぇ。
でも、この蕎麦が食べられたと思うと、疲れなんて忘れてしまったです(^^)。
でも、考えてみたら、西大家から高麗川を横断したんですねぇ、私・・・。
行っちゃいました。もし、歩かれるなら、高麗川からの方がお勧めです~。
いい、蕎麦ですよ!
きっと、真秀さんも気に入られると思います!それと、釜揚げ桜海老の暖かい汁の蕎麦っていうのも、とっても興味にシンシンです♪
しかも荒涼とした原野のような(失礼)
そんな所にあるとは意外なお上品なお店
お料理もなかなかお上品
しかし、ここまで行って休業だったら
ショックよね~
(日高カントリー辺りまでは、時々行きますが。)
落ち着いた良さそうなお店ですね。
私は、あまり荒挽きの蕎麦は好みでないのですが、
野趣と繊細さ。
本来なら相反する要素を併せ持ったお蕎麦。
興味津々です。
あちらの方に行ったらちょっと覗いて見たいと思います。
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