午後14時すぎ、扉を入るとすぐ迎えてくれる花番さん。
「ラストオーダー1４時半ですがいいですか」。

えっ、中休みなしだと思っていたら、
今は中休みを取っているそう　。

あまり時間はないけど、せっかくだしと、
まだまだ賑わう中、丁寧に通された二階の客席。



まずは急いで、「菊正宗」のぬる燗を。
添えられた味噌がこってりと甘く旨い 。



充ては、「炙り明太子」と悩みつつ、



選んだ「わさび芋」は器にたっぷり。
さっと散らされた海苔に、
ピンっと立つ山葵が実に粋、美しい 。



箸を入れた途端に埋もれるとろろは、
まるでメレンゲ、きめ細かでふわっふわ。



さっと「タレ」を垂らした「とろろ」の、美味しい事 。
とろろをすすり、口にする酒が旨い。
これを酒の充てに考えた先人に拍手したい。



…と、楽しみ始めたところで、残念だけどラストオーダー。



「季節の品書き」と共に眺めつつ、



考えてみたらかれこれ７年ぶり、
久しぶりなので、基本の「せいろう」を 。



置かれた瞬間、はっと息を飲む、
蒸篭に楚々と盛られた蕎麦の美しさ 。



北海道 江丹別の秋の新そば。
手繰った箸先から広がるふっくらと香り、
きりっと〆ったコシに、すっと喉を流れる、
清々しく軽妙、記憶をはるかに越え美味しい 。



そっと浸した汁は、出汁に醤油が円やかに染み、
そっと浸した蕎麦は、いくらでも食べてしまいそう。



まだ残っていた「わさび芋」に絡めて又旨し 。
あっという間のひと時。



そっと置かれた蕎麦湯は程よく濁り、
す～とのびるもり汁の旨さを改めて。
注ぎ注ぎ、たっぷりと頂いて…

ご馳走様でした～

ご無沙汰していたのを惜しむ程、
「上野藪」いいなあ。
今度は余裕を持って、ゆるりと憩わせて頂こう 。

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