仕事を済ませ向かえば、そろそろ夕方に近い時間。
それでも、二組お客さんがいる店内で、お気に入りの椅子を引き…



雨は上がったけど風が強く、今日も又とても寒い。
凍えながら、すぐにお願いした熱燗一合。
飲み口柔らかなお酒は…、まるで地元のお酒かと間違えそうな名の、
長野伊那の「井の頭」、これいいなあ 。



今日のお通しは、懐かし～い「スパサラ」で、
すっかりほっこり、女将さんご主人とあれこれお話し。



ちょっとつまみたくて、お願いした「烏賊の麹漬」は、
これだけで、いくらでもお酒が飲めてしまう、絶好の酒肴 。



今打ってるのは、この蕎麦の実でね、と見せてくれた、
福井大野の新蕎麦は、小粒ではっと目を引く程色鮮やか、
これは、是非食べてみたい 。

と、蕎麦談義に酒談議、世間話などあれこれ楽しませて頂いて…
お蕎麦は、お昼にお友達がつぶやいていた言葉にそそられ、
年末にもふさわしい「鴨南蛮」が、食べたいなー 。

お蕎麦は…、粗挽きがやっぱり食べたい、のだけれど…
今見た、大野の蕎麦は「生粉打ち」だそう。
迷っていると、「よしよし（＾＾）。まあ、任せて」

と奥に入ったご主人が、程なく出して下さったのは…、



台違いで作ってくれた、「生粉打ち」と「粗挽き」の二つの「鴨南蛮」。
「食べ比べると、これが面白いんだよ（＾＾）」、



の言葉に耳傾けながら、まずは「生粉打ち」の汁をこくり。
ああ、やっぱり「中清」の鴨南蛮は美味しいなー。
じわりと染みた鴨出汁は、優しく奥深くしみじみと旨いっ。



続いて「粗挽き」の汁も一口すすってみれば・・・

おっ、確かに、これは面白いっ
同じ出汁で作ったという鴨出汁が、味わいががらりと異なる。

生粉打ちの鴨汁は、ほのかな甘みがある、柔らかで優しい味わいで、
粗挽きの鴨汁は、がしっとくる、深く力強い鴨の味わい。

「そうなんだよね、蕎麦が汁に溶け風味を変えるんだよねえ」
と、にこにこご主人の言葉に、
又しても未知なる蕎麦の魅力にはまってしま～う 。

蕎麦によっても、汁が微妙に変わるとは…！



新たな感動を感じながらも、手は止められず、
生粉打ち蕎麦は、鴨汁をまとって優しく甘みがふわ～り。



このさっぱりとした薄切り鴨肉が、私の好み 。
鴨肉と共に食べるのが又楽しく…



「又ワイルドに戻したよ」という粗挽きは、
熱々汁の中に浸っても、もちもちとしたしっかりとした歯ごたえ。
噛みしめれば、これも芳ばしさに甘みがじわ～、じわ～ 。



鴨肉に負けずに、がっつり組みあう旨さに、
ああ、やっぱりこれっ、美味しいよう 。

「これが、機械切りだと又違うんだよ、試しに比べてみて」



…と、さらに出前用の、七三機械切りの温もりも。



浸し食べて見れば、これは、全く違う鴨汁のよう 。
蕎麦に汁が入ってこない、というのか…、汁が不思議と濃く感じる。
面白い、でも、これはこれでアリかな ？

機械切りと手打ち、
汁の染み込みの違いの不思議を、さらにあれこれと語りつつ…



どちらも美味しい鴨南蛮、汁まですっかり飲み干し、
今日も長居しちゃった、楽しいひと時 、

ご馳走様でした～

楽しいな、やっぱり「中清」は。
又来年も、どうぞよろしくお願いします…

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