午後2時、この時間でもまだお客さんが憩う店内に、
我々も、ゆっくりできそうな掘り込みの小上がりに腰を落ち着け…



10月に入ったというのに、まだ暑さの残る今日は、まずはビール。
恵比寿の生ビールは、んん～んっ、旨いっっ。



添えて出される、豚バラ肉と大根の煮物がほっこりと美味しく…
天井すぐのところに貼られている、季節の品書きから、



まずお願いしたのが、「焼き茄子の生ハム巻き」。



しっとりとろりとした茄子に巻かれた上品な生ハム。
思いつかないようなこの組み合わせの、何て素晴らしい組み合わせ。
添えられた、ホワイトアスパラの甘みもうれしく、
さっとかけられた出汁の上品な味わいが、素晴らしい 。



と、このお料理には、早速お酒
まず選んだのは、福島のお酒「天明」。



繊細なこのお料理に、綺麗な口当たりのこのお酒がばっちり♪



と、頂いていると出される「海老しんじょう」。
かりっと揚げられた中には、ぷりっぷりの海老がごろごろ。
味わい濃厚、軽やかな口上がりで、これも絶品

茄子といい、この海老しんじょうといい、
さすが玄冶さんのお料理は、素晴らしい…と、さらにお料理を追加注文。



豆腐料理に目がない私のリクエスト、「豆腐の豆板醤炒め」。



絹ごし豆腐が香ばしく焼かれ、それにたっぷり絡まる肉味噌。
辛さには弱い私でも、程よいぴり辛具合の味付けが絶妙で、
ふわっとした豆腐に、この肉みそが実に美味しい



それに、これも季節ならでは、是非頂きたい「秋野菜の炊き合わせ」。
と、目の前に出された一皿の、あまりの美しさに箸を入れるのをためらっちゃう。



紅葉に仕立てた、ほっこり甘く炊かれた南瓜の煮ものに、



まるで松茸？？と思わせる、じわ～り出汁がしっかり染みた里芋煮。



さらに、宝石のような繊細に仕立てた、「椎茸の煮こごり」。
この出汁が、清々しくも柔らかく上品で、えもいわれぬ味わい。
しゃきっとした水菜に、秋ならではの味覚、銀杏の塩焼きが添えられて…

繊細且つ、精妙、典雅きわまるお料理に、さらにお酒をお変わり。



…と、これもうれしい、「お酒の充てによかったら…」
と、出して下さった「蓮根饅頭」。

ほこほことして時折しゃきっとした蓮根の歯ごたえのある、
かりっと上げられた饅頭に、さらりと掛けられた玉子餡。
この一品だけでも、お変わりしたいくらいに美味しい一品を慈しみ…
（さらに、浦霞のお燗も追加して楽しんで）



そろそろお蕎麦を頂こうと見る品書きは、すっかり秋景色 。



と、程なく出される、こちらは初めてとのＦ君の頼んだ「せいろそば」。



盛りもたっぷり、私もちょっと頂いてみる、新蕎麦とのせいろは、
手繰り上げると、ふわ～り広がる爽やかで香ばしい蕎麦の香り。

口に含むと心地のいい腰があり、噛みしめるとじわ～り広がる蕎麦の味わい。
「せいろ」もいいなあ…と、改めて思ってしまう、蕎麦の旨さ。



…と、「ちょっとだけ残っていたので、よかったら」
と、出して下さった、「手挽き蕎麦」。
う、うれしいぃぃ～っ



こちらはまだ新そばではないそうで、顔を寄せると途端に香る濃厚な香り。
ぷつぷつと豪華に散る、この蕎麦の粒の姿に見とれてしまう美しさ。



そっと手繰り口に含むと、このたまらない粒の感覚。
ざらりぷつっ、それでいてしっとりたおやかな腰加減。
10割で打たれている蕎麦は、やや繋がりは短めではあるけれど、
この感触に味わいの前には、もうそれさえよくなってしまってる…。

んーっ、今日の玄冶さんの手挽き、これは素晴らしい

と、うっとりとしていると、
私の頼んだ「松茸蕎麦」が、蓋の付いた丼で目の前に出される。



「香りを楽しんでもらいたくて…」の言葉が、うれしいな～



そっと蓋を開けてみると、ぶわ～っと立ち込める、たまらない松茸の香り。



しかも、生麩に松茸がこんなに豪華に盛られているなんてうれしい限り。



…と、まずは蓮華ですくい、澄んだかけ汁を口に含むと、

お、お、美味しっい～っっ

何て上品で気品ある、奥行き深き清らかなこのかけ汁。
すぅ～っと通りすぎながら、心に残るこの旨みの記憶。
この汁だけで、幸せな、それでいて高尚な心地に浸れる素晴らしきこの汁。



汁にすっかり酔いしれながら、たっぷり贅沢に盛られた松茸も楽しみ…



中の蕎麦を手繰り食べると、これが、これが又旨いっ
かけ汁に浸りながらも、主張を保った蕎麦の旨み。
この旨い汁を纏った蕎麦は、いくらでもたべてしまいそうな醍醐味いっぱい。

と、すっかり満喫しながら、「うどんも美味しいんだよー」
と話していたら、さすがF君、うどんも食べたいとさらに注文、すごいっ



と、出てきたたっぷり盛られた「うどん」は、ほんのり小麦色がかった、
ぴかぴか艶々輝く、美しいうどん肌。



私もちょっと頂いて食べてみると、
しこしこもちもち、つるつるとして、のど越しがとても滑らか。

かみ締めると、じわ～り小麦の甘みが感じられ、確かにうどんも美味しいなぁ

と、中休みのないのもうれしく、すっかり長居して楽しんだ午後のひと時。
丁寧で暖かくもてなしてくださる奥様に、
少年のような笑顔を残した、お茶目で素敵なご主人。

発想豊かで、繊細なお料理にお蕎麦はますます楽しみになるばかり。
又、今度来たらどんなお料理が増えてるんだろう、と既に思いながら、
笑顔で見送られてお店を後に。

ご馳走さまでした～

ああ、でも、あの「松茸そば」は、ほんっと美味しかったなあ…
しみじみ、しみじみ…

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