池尻大橋の駅をでて、目黒川沿いをお散歩気分で歩いていく。途中の246を横断して、さらに目黒川沿いを歩いていくと、川沿いの細い道沿いに、ふっと置かれた看板が目に入る。
あ、あれが・・・
あまりにもさり気なく置かれた看板だけの、ビルの地下。覗き込むと・・・
「土山人」と刻まれた石畳の敷き詰められた半地下のところにまるで、隠れ家のような入り口が。蕎麦屋というよりは、素敵なサロン、いや画廊?という雰囲気の、モダンでありながら落ち着いた、大人の空気いっぱいに包まれている。
池尻大橋 「東京 土山人」
暖簾を潜り、店内へ・・・。
入り口すぐの打ち場を横目に進むと、細いアプローチ。一枚板で出来たゆったりとしたカウンター席や、ロッジ風の個室があり、さらに進むとその奥には、わぁっと声を出してしまいそうな、大きく窓の取られた明るく広々としたフロアが広がる。
にこやかな花番さんに通されて、開いていた窓際のテーブル席の一つに腰を下ろす。
深々としたソファーのような椅子に、低めのテーブル。そして、窓の外に広がる緑あふれた中庭。なんだか、ホテルのラウンジにでも座っているような、不思議な心地に浸ってしまいそう。
いやが応でも、大人のワールドの中に入り込んだような、ゆるりと流れる空気に身をゆだね、出された蕎麦茶を頂く・・・。
さてさて、では、とお品書きを吟味。
お昼のコース、お料理、季節の品々、それに蕎麦にお酒と、それぞれなかなか豊富な品ぞろい。さすがに、この雰囲気、ややお高めかな・・・?
最後のページには、使っている素材がきちんと明記されているのも、拘りをしっかりと感じさせられる。
あれこれと、いくつか選び、まずはお酒を・・・。
盛岡の「豊盃」を選びお願いすると、織部の片口に猪口を添えて出される。突き出しに出された蕎麦味噌に、白髪ねぎがかかっているのが面白い。
そして、頼んでみた品々。
まずは、ちょっと珍しい「カマンベールチーズと湯葉の味噌漬け」。
カマンベールの味噌漬けは初めて。それを炙って出しているとのことで、カマンベールのしっとり感が熟成され、こってりとした感じになっている。
そして、これも初めての湯葉の味噌漬け。大好きな「豆ベイ」に似た感じの、こってりまろやかな味わいで、これはお酒が進んでしまいそう。添えられたカリカリっとした、揚げ蕎麦と頂く。
やっぱり頼みたい「出汁巻き玉子」。関東風、関西風と選べる中、せっかく芦屋のお店出身・・・、とのことで関西風で。
どっしりとした鉄皿に出された熱々の玉子焼きは、たっぷりの出汁に浸され、九条ねぎ(かな?)がふんだんに乗せられて出される。
取り分けようとしたら、ぷるっぷるっと崩れてしまうくらいの、ふわっふわ。口に含むと、ジューシーな出汁がじんわりと広がる、とろっとした出汁巻き。これは美味しい
出汁加減の味わいも絶妙で、まるで茶碗蒸しを食べているような、優しく広がる幸せ感。
続いて、種類豊富な天ぷらの中から選んだ、「かき揚げ天ぷら」。
この掻き揚げもちょっと変わってる。ほとんど繋ぎのないかき揚げで、一つ一つの具材がほろほろと摘めるもの。これは、お酒にはうれしい掻き揚げ。
サイコロ状に切られた烏賊に、たっぷりの小海老、それに葱、シシトウなどが詰まったもので、ひとつひとつがカラリとしてとても美味しい。
それぞれ銘々に、天つゆ、粗塩、だいだい塩が出されるのもうれしく、交互に漬けて頂くのが楽しい。
海老好きとしては、この豊富な具の掻き揚げは、いいな~
そして最後に、「鴨ロースとグリーンサラダ」。
まるで、ローストビーフのように、薄く切られた鴨肉は、ふわりとしてジューシー。野菜の素材も新鮮で、どれもがレベルの高い美味しいお料理に大満足 。
そろそろお蕎麦を・・・、とその前に、と頼んだ「手挽きそばがき」。
粗挽きの粒の浮く蕎麦掻は、ふんわり丸く仕立てられ、蕎麦汁、粗塩が添えられて出される。
口に含んでこれが、びっくり。淡雪のような柔らかさ。ふわりと香る蕎麦の香りを楽しみながら、口の中で消えていくように蕩け、穀物の風味を残していく。これは、・・・旨いっ。
そして、いよいよお蕎麦に。それぞれを取り分けて頂こうと、まずは、「生粉打ちせいろ」から。
すのこに盛られた蕎麦は、緑がかったやや細めのきりりとした蕎麦。手繰り寄せると、新鮮な蕎麦の香りがふわりと漂う。
口に含むと、しゃきっとした腰があり、噛み締めると穀物の風味がじわりと広がる。のど越しもよくするりと落ちていく蕎麦で、繋がりも見事でこれはいい。
続いて、「手挽き田舎蕎麦」。
真っ白なお皿にすのこを敷かれて、こんもりと盛られた蕎麦は、びっしりと蕎麦の星の込められた透明感のある蕎麦。
口に含むと、やさしく掠めていく蕎麦の粒のざらつき。粗挽きでもしなやかな蕎麦で、優しくほどけていくような感覚。やや短めではあるけど、これは好きなタイプの蕎麦に、うれしくなってしまう。
ほっとしたところで、「かけそば」が出される。
ほとんど醤油の色のない、透明な汁はさすが関西風?。口に含むと、すっと染み渡る奥のある出汁の旨さに感動してしまう~。
やや太めに切られた蕎麦は、もちっとした感触で、汁によく絡みこれはいい。ん~、このかけ蕎麦は、絶品
水差しのような陶器の器で出された蕎麦湯は、これも濃いとろとろのポタージュ仕立て。
なめらかで濃度の濃い蕎麦湯は、これも一品料理のよう。
ただ蕎麦汁はちょっと変わった、柑橘類の風味のある酸味の加わったもので、これは不思議な感覚・・・。
よく食べ、よく飲み、「土山人」を心から満喫したひと時。
今までちょっとなかったような蕎麦屋に、またひとつ貴重な経験をした思い。大切な日や、大切な人をお招きするにもよさそう。。
ご馳走さまでした~
まだ、オープンして一週間ちょっと。これからもまだまだ、楽しみなお店。又、いつか機会があったら、訪れてみたいな・・・。
*お品書き
生粉打せいろ 1,000円、手挽き田舎 1,200円、辛味大根、とろろ、梅しそ 1,300円、なめこおろし 1,500円、穴子天せいろ 1,800円、海老天せいろ 2,000円、かけ 1,000円、釜あげ 1,200円、とろろ、梅しそ 1,300円、なめこ、湯葉あんかけ 1,500円、にしん 1,700円、かき揚げ、鴨南蛮 1,800円など
焼き海苔 500円、塩辛 650円、お漬物 800円、カマンベールと湯葉の味噌漬け 880円、だし巻き玉子 930円、鴨つくね鍋 1,200円、鴨ロースとグリーンサラダ 1,500円、かき揚げ天ぷら 1,000円、旬の天ぷら各種 700円~など
豊盃、綾花、いずみ橋恵、乾こう一、開運、秋鹿山、王録 720円~
「東京 土山人」
目黒区青葉台3-19-8
03-6427-7759
11:30~14:30 / 18:00~23:00
月曜定休(祝日営業翌日休み)
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乗せて下さり光栄です。
ありがとうございます。
突然のコメント失礼いたします。
友達のおすすめが集まる実名グルメサービスRetty運営事務局の矢野です。
(Retty:http://retty.me/ )
先日弊社が配信した「お蕎麦がおいしい店を都内で探しました!!」という
記事(http://news.retty.me/blog/3521/)に
yukaさまのブログを掲載させていただきましたのでそのご連絡をさしあげました。
弊社はグルメに関わる方の中でも特にグルメブロガーさんに注目しており、
その一環として今回の記事を配信させていただくことになりました。
この件に関して、ご意見ご要望ございましたら
お手数ですが以下のアドレスまでご連絡いただきたく存じます。
今後ともよろしくお願いいたします。
-------------------------------------
Retty運営事務局 矢野
アドレス:yano@retty.me
わたしも愕然としちゃいます。
お料理以外でも、そういう基本のところを、わざわざ足を向けてきた、客の気持ちも考えて、きちんとしてもらいたいですよね。
混んでて、30分~一時間待ちと言われて 席があきしだい連絡してくれるとのことで、待つ事したんです。けれど、待てどくらせど連絡がこない。しびれをきらせて店に行ってみると 手違いで飛ばされたらしく、ほったらかしだったんんです。開いた口が塞がりませんでした
うふふ、でも、ずっと前から拝見させて頂いていました。
いつもお写真が美しく、うっとり眺めながら(^^)。
これからもよろしくお願い致します。
雲の上の人かと思っているのにブログまで登録してくださって・・・。
私も登録させてくださいね?!
なんだかうきうきしてきました。
確かに、池尻大橋っていうのは、ちょっと半端?(^^;;
ぜひ、機会を見て、訪れてみて下さい。玉子焼き、絶品でした♪
ここまで力作のご案内だと、思わず行きたくなりますよぉ。
でも、池尻大橋って、中途半端なんですよねぇ・・・。
あぁ、行きたい。
(凡愚さんも・・・)
ぜひ、行かれてみてください。
きっと、懐かしいものがあるかもしれませんよね(^^)
ま、まさか同じ時間に同じ空間にいたのかしら・・・?
どきどき。。
どこかやはり、東京にはない雰囲気があったようにも・・・。
出し巻きがかなりよかったです!
椅子とテーブルは・・
んー、少々、食べにくいといえば、食べるにはちょっと不便な高さではありました。
が、ここは、きっと違う意味がこめられての、敢えてものなのかもしれません。
芦屋のお店はよく行っていました。関西で粗引き蕎麦を早く提案したお店です。土山人さんができてから、関西で手打ち蕎麦屋さんが沢山できて、関西の蕎麦屋のグレードが一揆にアップ。関西の竹やぶのようなお店・・。ずいぶん昔の話ですが、私の妹がこちらの経営者さんたちお蕎麦さん仲間と、こだわりの蕎麦屋さん巡りをしていました・・・。なんだかとっても嬉しいです。
是非訪問しなければ・・・・。
私も記事アップしました。
鴨ロースと田舎に惹かれます、
蕎麦掻、出汁巻きも関西風これも美味しそう。
ソファーとテーブル・・・・食べにくくなかったですか?
其処だけが気がかりです。さすが情報が早いですね♪
→ yuka (04/08)
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→ gun (03/27)
→ yuka (03/19)