威風堂々とした暖簾の掛る、趣溢れる古民家。
しっぽりと照明の落とされた、静謐感漂う店内の奥で、
作務衣を粋に着こなす、潮さんの笑顔がお出迎え 。
用意されたテーブルに腰を下ろせば、
思わず横の壁に見入ってしまう、
丁寧に手書きされた、温かみ溢れたお品書き。
「今回、改めて全部書き換えたんだよ」
とうれしそうにおっしゃる潮さん。
改めて、一枚一枚をじっくりと眺め…。
ご無沙汰していたご挨拶をして、
まずはビールで、今日の宴に乾杯~。
くぅっとグラスを空けたと同時に、お料理スタート。
「先附け」は、「アスパラとスナップエンドウのお浸し」。
はっとする程美しい出汁に、カリカリ桜海老が香ばしく、
アスパラにエンドウはシャキシャキ、甘いっ。
出汁まで残せず飲み干しちゃう 。
続いて…、毎度楽しみな、潮さん名物、
「前菜の盛り合わせ」
繊細な卵がほろっと零れる、「鯛の子煮」。
中の蕗の香り良く、ほっこり味の染みた魚卵がほろほろと零れ、
これはも~う、食べてしまうのが惜しいくらい
琵琶湖産 「もろこ南蛮漬け」は、
しっとりと柔らかく、透明感のある繊細な味わいに、
かわいい、グジの「手まり寿司」。
もちもちの酢加減ぴたりの酢飯に、昆布〆グジが絶妙、
中に包まれた山葵菜が後からツーン。
くぅ~、これ、も一つ食べたい 。
「飯蛸桜煮」は、ふっくらと柔らかく、味わい豊か。
抱いた卵はもちもちほろりん、これ、大好き 。
さらに…、フレンチが一品、「キッシュロレーヌ」
自家製パイ生地の美味しいことっ 、
さっくさっく軽やかなパイに、エレガントなホワイトソース、
バターの風味がリッチに広がり…
こんな美味しいキッシュ、初めて 。
すっかり皆揃ってテンション高まり、
たまらず、お酒っ。
まず頂いた、「酔鯨」冷やはあっという間に空になり、
「あさ開」に、「浦霞」の熱燗を次々にお願いし…
前菜をじっくりと楽しめば、次は「お碗」。
鶴の金蒔絵が美しい「若竹碗」の蓋を開けば…、
ふっくらと開いた牡丹の花の如き、あいなめの葛たたき。
葛の滑らかな口あたりに、ほろほろと崩れる身は優しく、
夏の微風を溶かしたような極上のすまし汁。
口に含んだ途端、思わず声が洩れてしまう 。
さらに、お造りのお皿が素晴らしい。
潮さん手作りの、優雅に羽を広げた鶴皿。
その羽の中にそっと包まれ盛られたのは、
「桜鯛にアイナメのへぎ造り」
皮目さっと炙ったアイナメは、しんなり締りキメ細やか、
ふわりとした肉質の桜鯛は甘く、とても美味しい 。
…と、にこにこ潮さんが器を手にし、
「今朝ね、兵庫から届いたから、急いで作ったよ(^^)」
と出して下さった、鮮度が命の貴重な「くぎ煮」
ソフトないかなごは、かむ毎に小魚の旨みがじわじわ。
これだけで、いくらでもお酒、飲めちゃいそう 。
「焼き物」は、一風変わった「さざえのつぼ焼」。
玉子のスフレの蓋がされ、これがほわっほわ。
ほこほこの蚕豆にしゃしゃき筍が混ぜられ、
その奥には、スライスされたさざえがたっぷり。
コリコリ歯ごたえに、濃厚な磯の香り。
肝の心地よい苦みが、お酒にたまらな~い 。
すっかり堪能していると、いよいよメインのお鍋が 。
器に、青々とした花山椒こんもりと盛られ、
お皿には、たっぷりの比内鶏。
ぐつぐついい始めたお鍋に、
潮さんが手際よく作って下さる贅沢さ。
鶏肉が煮えたったところで、たっぷりの蕗も入り…、
最後に山椒が入れられて…、
さっとひと煮たちさせ、できあがり~
1人1人に盛って下さった器は盛りだくさん。
弾力ある歯ごたえの、力強い旨みの比内鶏、
上品な出汁に旨みがたっぷり染みた汁は、悶絶もの。
花山椒の気高い香りに、心地のいい痺れを感じ、
出汁の染みた竹の子に、蕗にわらび、
春爛漫の、豊麗滋味な旨さにうはうは 。
しかもその後には、雑炊がっ。
こっくりと鶏の旨みを吸ったご飯にふんわり卵。
優しく柔らかく、口にするごと幸せ心地 <
そっと添え出される漬け物は、
旬先がけの、泉州の「水茄子」糠漬け。
さっくりと手で裂けば、滴るように浮く水滴に、
瑞々しく、爽やかな茄子の甘みがたまらない 。
すっか~りお腹いっぱいだけど、もちろん、〆はお蕎麦 。
基本は、十割のもりそば、だけど…、
壁に貼られた、お蕎麦が気になって、
お願いして作って頂いた、ハーフの「東寺そば」 。
湯葉が溶けほんのり濁った汁を掬えば、
はぁ~…、こ、これは美味し~い 。
潮さんの極上出汁に、湯葉が柔らかく染み溶けた、
大豆の優しく滋味あるしみじみとした味わい。
飲んだ後の胃を労わるようにじんわりと広がり、
何度も何度も蓮華ですくい…
その下に沈む蕎麦は、キリっとした腰があり、
暖まった事でふわりと立つ、香ばしさに甘み。
料理人ならではのかけ蕎麦、素晴らしき旨さ 。
しっとりとした湯葉を絡めれば、
ミルキィな湯葉の風味が蕎麦に重なり、もう止められない 。
気付いたら汁まで飲み干し、感無量~。
しかも、この後の甘味が又楽しみ 。
「最近、又、和菓子をきちんとやろうと思ってね」
と出されたのは、ちょこんっと盛られた大福。
これが、想像以上にふるふる柔ら~か、
中には、とろりとした生クリーム白餡にぽっこり苺。
ほわほわエアリー、軽やかでクリーミィな大福に、
甘酸っぱい苺に胸キュン、
これまで食べた苺大福の中で、間違いなく1番~っ
続いて2種のパウンドケーキ、キャラメルと金柑。
金柑はろ~り、キャラメルの香ばしさがとろりと溶け、
しっとりとした生地の美味しさに、うっとり
お腹もいっぱい、美味しいお料理に幸せいっぱい。
ご馳走様でした~
笑うとかわいい潮さんに、暖かく見送られ、
早くも、次来る事を考えながら…
やっぱり、季節毎に伺いたくなっちゃうな
「武蔵国分寺 潮」
国分寺市西元町 2-18-11
042-359-2898
11:30~14:00 / 17:00~21:00
(土日祝)
11:30~15:00 / 17:00~21:00
火曜定休 店内禁煙 P2台
2014年 1月27日 冬のお昼の「蕎麦会席」 悲しみをも癒す幸せ料理
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2013年 5月 9日 春の夜の「蕎麦会席」 花山椒と軍鶏鍋
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2011年 4月20日 一人誕生会「限定平日のお昼のご膳」
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