どっしりとした暖簾を潜り、中の引き戸を開けば、
心を揺るがす、暖かみ溢れた懐かしさ感じる古民家の空気。
年月培った木々ですっぽり包まれた空間に、



奥には、味わいのある手書きの品書き。
又訪れる事ができた…、とうれしく腰を下ろし、



全員揃ったところでビールを頂き、今日の宴に乾杯～。
冷えたビールで、興奮気味の心を鎮めていると、



すっと出された、茄子紺鮮やかに輝く、
先付けの「秋茄子丸煮」



繊細に包丁目の入った茄子は、信じられない程柔らかとろ～り。
口に入れた途端に、ほろっと溶けほどけ、
ほのかに生姜の利いた、極上出汁が口にじわっと染み広がる。

久しぶりに頂いた潮さんのお料理の一皿目で、
もうすっかり目がハート 。
皆、お行儀悪く、浸った汁まですすっていると…



待っていました
まさに宝石、ジュエリプレート「前肴」のお皿が目の前に。



この光景を目の前にして、待ち切れずに早速お酒♪。
素敵な塗りの猪口を、各々好みを選び…



それぞれ自分の取り皿に並べる手間が又楽しい。
ん～、どれから食べよう…。
食べるのが、惜しまれるよ～う 。



プチプチ口の中を転げまわる「鱧の卵の煮こごり」に、



ぷわ～んと広がる、この香りだけでうっとりの「松茸昆布」。
昆布にまで、松茸の香り風味が染み、これだけで一合飲めちゃいそう。



プッチンっと弾ける「新鮭子」の新鮮な味わいに、



「穴子の煮こごり」は、ふわふわとろ～り。
その出汁の美味しさと言ったら、筆舌尽くしがたい程…。
出汁も穴子も、さらに共に籠った昆布が絶妙。
煮こごり好きとしては、もう涙が滲んでくる旨さ。



さらに、「名残鮎煮浸し」が、トドメ打つ。
山椒の風味が利いた身はほろほろっと崩れ、
子持ちの旨さに又、もだえてしま～う。

ああ…、「前菜」なのに、もうすっかりどっぷり、幸せ心地～。



…と、食べ終えれば、ささっと置かれた碗は、
開いてみたら、屏風画のような素敵な塗り碗。



中は、澄んだ汁に浸り、すすき牛蒡の掛った「雲丹満月」。

まずは汁を口にすれば、はあ～っと声が思わず零れる。
どこまでも澄んだ汁に染みた鮑出汁。
品のある深遠なる旨さに、我忘れてしまいそう。

ピンク色付いた、車海老のすり身で作られた海老素麺は、
ぷりっぷりとして海老の旨みが凝縮し…



まんまるの玉子豆腐に箸を入れたら、ほろっと零れてくる、
たっぷりの雲丹、雲丹、雲丹…！
蒸された生雲丹は、まったりと甘く、これ又…たまらな～い 。



食べ尽くすのを惜しみながら、すっかり汁まで飲み干せば、
碗の底には、「福」の文字。
この一文字にも幸せを感じていると…



ほかほか湯気立てる「向附」の、「名残り鱧」　あつ湯引き



ぱっと花開いたような鱧は、綿菓子のようにふわりほろろ。
口にいれた途端に、零れるようにほどけ、溶け、
ほっこりとした旨みがしっかり、そのままでもうっとりする美味しさ。

それに、山葵をそっと添えれば、山葵の風味が合わさり、
醤油をつければ、きりっとした旨みが乗り、
梅肉を添えれば、梅と鱧のハーモニー。

さらに、ぜ～んぶつければ、豪華な程濃密な旨さが口いっぱい。
ん～…、まさに、名残り鱧、思い残す事もうありません 。



…と、デーンと目の前に置かれた大鉢は、
松葉に、色付いた楓が散らされた、山里の秋景色。



「焼物」の「紙焼」
一つづつ取り、わくわくしながら開いてみると…



これは見事 その大きさが伺える、肉厚カマスに、
むわ～と香る松茸に、翡翠色輝く銀杏。



皮目ぱりっと香ばしく、塩加減ぴたりのカマスは、
ふっくらジューシー、脂がじわりとのり、旨みが濃厚。
丁寧に骨抜きされているので食べやすく、
こんな味のしっかりとした美味しいカマスは初めて。

しゃきっとした松茸をほうばる贅沢さに、
銀杏の独特の風味も堪能し…、ああ、幸せ～



と、既に夢見心地になっていると、
これも待っていました！の二つの鍋登場～。



「軍鶏といろいろ木の子鍋」、
ぐつぐつ炊かれる間に、ふわ～と煮え立つ匂いがたまらなく…



花びら茸、ショウゲンジ茸、ハナイグチ茸、花弁茸、
平茸、アワビ茸、舞茸、などなど…



早速よそり食べて見れば、この出汁ががっしり胃袋掴む旨さ。
志賀産の「東京シャモ」の味の濃さ、
その中に、様々な木の子の出汁が溶けあった極上出汁。

中に入った蕎麦がきは、滑らかでシルキー
とろりとこの汁に浸り、香ばしく甘く、



身の締った軍鶏は歯ごたえがあり、野生味ある強さ。
何よりも、一つ一つ歯ごたえも風味も異なる茸が美味しく、
一度にこんなにたくさんの種類を、名前を聞きながら、
風味歯ごたえを確かめ食べれるのが楽しくて仕方な～い 。

取り分け、汁一滴残さず食べ干せば…



「もう少し食べれる？」と、サービスで握ってくれた「鰹の握り」



色見鮮やかなタタキ鰹は、もちもちとして新鮮さっぱりと清々しく、
酢加減ぴたりのふっくらとしたご飯に絶妙。
一人二貫づつほうばり・・

そろそろ終焉〆のお蕎麦 。



北海道雨竜のキタワセの新そば、十割。



すらりと伸びた艶やかな細切りに、角はキリリ。
顔を寄せれば、新そばとは思えない豊かな香りがふわりと広がり、
口に含めば、その歯ごたえに喉越し申し分なく、
フレッシュなコク味がありこれは美味し～い 。

と、手繰り終えれば、もう腹十分目、お腹もいっぱ～い、
…なのだけど、潮さんの甘味、と聞いたら…



ひゅるるるる…っと胃に隙間が生まれ、待っていると、
程なく、パティッセリーUSHIO 「山葵のレアチーズ」

しっとりとろ～り軽やかなクリームチーズに、
おっ！ピリキリっと後に残る山葵の風味が甘みに混ざり、
レアチーズに山葵、これはアリアリ、美味し～いっ 。

甘さの後にくる、この刺激がたまらなく、
お腹いっぱいなのも忘れ、うっとり口にし…



やっぱりこれも食べたい、絶品「和栗のモンブラン」



トッピングされた栗は、ブランデーに漬けこまれ、
洋酒の香りがふらりと立つ、気品ある甘み。
ああ…これで、又お酒が飲めちゃいそ～う。

モンブランの栗のクリームをスプーンで掬えば、
和三盆、程良い甘みの中に、濃厚な和栗のテイストが口いっぱい、
中にはザクっとしてさくさく崩れる軽やかなメレンゲ。

お、お、お、美味しすぎる～う 。
お腹いっぱいなのも忘れ、うっとり食べつくし…

感動のひと時も終焉に。
じっくり潮さんとのお話しも楽しんで…

ご馳走様でした～

やっぱり潮さんのお料理は素晴らしい。
食べ物でこんなにも幸せを頂けるなんて…、感謝します… 。

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