ああ今日は…、なんて充実した気分を味わえた日だろう…
今年の初めごろ、辛汁さんのブログで知った、藤枝の「ながいけ」。
興味を持ちお店のHPを開くと、すぐ心を惹いた「粗挽き三兄弟」。
粗挽き…、しかも三酒類の粗挽きを打ち分けているなんて…。
さらに、「コラム」に書かれたご主人の蕎麦に対する意気込みを読むうちに、
是非行ってみたい、いや、行かねば…と、思い募っていたところ。
やはり粗挽きを愛する、仲良し蕎麦友に話すと、すぐ興味を持ってくれ、
とんとんと話しはまとまり、今日、いざ、藤枝へ~。
気持ちよく走らせた東名高速を焼津で下り、国道横にある細い路地。
見逃してしまいそうな細道を下りていくと…
秋の日差しをさんさんと浴びた、ちょっとモダンな素敵な建物。
白い麻の暖簾がさらさらと風に靡く様子に、既に心は粗挽きでいっぱい…
静岡県藤枝市 「手打そば ながいけ」
昼丁度にたどり着いた事もあり、暖簾をくぐり扉を開くと、満席との事。
平日でありながらも、さすが、人気のお店なんだなぁ…
と、打ち場の前に置かれたベンチでしばし待ち、程なくして店内に通される。
「お待たせして申し訳ありませんでした…」
と、優しそうなご主人自ら顔を出して下さるのもうれしく、
入った店内は、窓からの日差しが入りこんだ明るく気持ちのいい空間。
ぬくもりある木のテーブルがいくつか置かれ、優しい空気に満ちている。
空いた窓際の席に腰を下ろすとすぐに出されたお茶には、蕎麦味噌のお通し。
頂く前に、すぐに品書きを開き見る我々。
これこれ、この「粗挽き三兄弟」 ♪。
中の二つ、「十割粗挽きそば」と「手挽きそば」は、水・土・日限定。
3食から取り置き予約で作ってもらえるので、もちろん、事前にこれを予約して…
あるのだが、他の品書きも、魅力的なものがいっぱ~い 。
あれこれと見ている我々に、
「お蕎麦は、どの順番でお出ししましょうか」
とご主人が聞きに来られ、
お蕎麦はちょっと待って頂き…、その前にまずは蕎麦前
秋晴れのこんな日は、まさにビール日和。と、ビールをくぃ~っと。
このビールに、「サービスです」と出されたちょっとしたお料理。
地元焼津で取られた「稚鮎の南蛮漬け」に、
これも地元の鮪で手作りされたという、「鮪の佃煮」。
美味しい二品に、早速お酒が欲しくなり、静岡のお酒「志田泉」に切り替えて。
お蕎麦を出したくてうずうずしているようなご主人だが(^^;、
お酒の充てに、と「京にしん」の棒煮をも。
じっくりと炊かれた鰊は、ふわっとしたというよりも、佃煮に似たしっかりとした味付け。
さらにきのこ好きとしては気になる、「山のきのこのおろしあえ」。
珍しい姿かたちのキノコが何種類もたっぷりと盛られ、
上品に味付けされたきのこは、どれもが美味しい 。
天然もの?地のものなのかな?このきのこが本当に美味しい。
と、さらに「喜久酔」吟醸もお変わりをして、楽しんだところで、いよいよお蕎麦を。
まずは、通常にある「粗挽き」と
予約した「粗挽き十割そば」に、「手挽きそば」を一枚ずつ頂き、
それぞれ取り合い、食べ比べてみる事に。
まず、初めに出されたのが通常ある「粗挽きそば」。
福井の丸岡在来種9割に茨城常陸秋そば1割をブレンドした玄蕎麦を
手挽きし、十割で打たれた粗挽き。
角が立ち、きらきらと輝くやや黒めの蕎麦には、蕎麦の欠片が豪華に散りばむ。
かなりの粗挽きでありながら、切りムラ、長さにもムラのない穀物感溢れた細切り。
これを手繰り口に含もうとすると、途端に香る濃く香ばしい香り。
豊かに香る、蕎麦独特の香りにうっとりしつつ、口に含むと、
しっとりとした心地のいい腰加減。
噛みしめると、これも濃い蕎麦の風味が、ダイレクトに広がる。
こ、これは、美味しい~
香りといい、風味といい、かすかに掠めるざらつきに、ややぬかり感のある感触。
まさに、私の好みの蕎麦だ…と、
これがいつでも食べられるなんて、途端このお店が近くに欲しくなってしまう。
皆すっかり、汁を漬けるのも忘れ、あっという間に頂いてしまい…
続いて出された二枚目 「粗挽き十割蕎麦」。
こちらは、北海道と茨城の蕎麦を半々にブレンドした丸抜きを、
やはり手挽きし十割で打ったそう。
丸抜きならではの、先の玄挽きよりも色も薄めな、これも端正な細切り。
その中に、透明な蕎麦の粒々がびっしりと隙間なく詰まった粗挽き。
繊細で芸術品のような美しさに見とれ、手繰り上げると、これもなんて濃厚な香り。
先ほどとは又違う、しっかりとした香りが豊かに漂う。
口に含むと、なんともしなやかな腰加減。
玄挽きに比べ、しっとりと歯を包み込むような感触があり、心地のよいぬめり感。
噛みしめると、香ばしさに後には、甘みがしっとりと残るような感覚があり…
んん~、これも美味しい~
久々の感動を心から感じながら、うっとりとしているところで…、
三枚目 「手挽き蕎麦」。
これは、「十割粗挽き」と同じブレンド、丸抜きを二八で打たれたそうで、
今までの蕎麦よりも細めの、見た目にも繊細な面持ち。
香りは同様にふわりと豊かに漂う。
口に含むと、ほろりとした感触で、噛みしめた途端に溶けていくよう。
つなぎが入った分喉越しもよく、粗挽きが苦手な人でもこれはよさそう。
非常に上品で繊細な粗挽き、そして何とも優しい、不思議な感覚…。
と、それぞれの蕎麦に余韻を感じ、あれこれ4人で語りあいながら、
どうしても気になる品書きの「桜えびせいろ」、
友人達はさらに欲張り「鴨せいろ」も気になるとの事で…。
予約した「十割粗挽きそば」と「手挽きそば」が、あと二枚ずつ残っているので、
この二つの汁を一つず添えて頂きたいとお願いしたところ…
なんてうれしい、ご主人のお心遣い
二枚分のお蕎麦を4等分して盛りつけて下さった上、
「具はちょっと少なめだけど…、一つを回し食べっていうのもなんだから」
と各々汁を作って出して下さった、「桜えび汁」に「十割粗挽き蕎麦」。
とは言え、薄く衣をつけカリっと揚げられた桜えびが器にいっぱい。
そのまま食べてみると、さくっとして香ばしい凝縮した海老の味わい。
さすが、地元の桜エビ、これをヌキでお酒を頂きたくなってしまいそう。
これに、先ほどの抜きで打たれた粗挽きそばを絡め頂くと、これがたまらない。
海老の香ばしい出汁が、染み入った汁。
それに、蕎麦の香ばしさが加わった素晴らしい味わい。
さらに、「鴨せいろ」も各々作って頂き、今度は「手挽きそば」も等分に盛られ出される。
ふわっと身が柔らかくジューシーな鴨肉。
桜えび汁の味わいとは全く異なる鴨肉の出汁が染み入る汁。
代わる代わる、汁を変えながら、二つのお蕎麦もペロリと。
頃合い見て出して下さった蕎麦湯は、別に作られたとろっと白濁した蕎麦湯。
それぞれの汁に注ぎ入れ、味の違いを楽しみながらすっかり頂いてしまったら、
もう、大満足~
だったのだが…
さらに、我々の好奇心と欲望が合致した、「温かい蕎麦も食べてみたい」。
と、中からきのこがとても美味しかったので「きのこ蕎麦」を選び、
普通は微粉で打たれた「せいろ」の蕎麦のところを、「粗挽きそば」でお願いする。
程なくして置かれた「きのこそば」が、又なんて美味しそう~
つまみで頂いたきのこと同じ、様々なきのこがたっぷり。
このきのこを口に含み、中の粗挽きの蕎麦を手繰り口に含むと…
これは美味しい
熱を帯びた事で、ほろりとした穀物感が増す粗挽き蕎麦。
どこかに感じるざらつきがたまらなく、汁に交わった粗挽きの美味しさ。
やっぱり、この「粗挽きそば」は美味しい~と、「もり」でも「かけ」でも心から感じ入る。
みんなで回し食べたら、これもあっさりと
「よく食べましたね~」
と、すっかりお客さんのなくなった店内に、ご主人も顔を出して下さり、
あれこれ質問などしながら、お話して下さるのがうれしい。
これまでの試行錯誤、創意工夫、そして、さらに又一つ新たな粗挽きができそうとの事。
これは、又しても楽しみな一言に、是非完成した折には、訪れたいと。
ご馳走様でした~
久々に、心の底から満喫した心地を感じ、再び車に乗り込み…
来てよかった、と皆口ぐちに。
ご主人、本当にありがとうございました~。
新たに作られているお蕎麦も、とても楽しみ。
又、ぜひ…、訪れたいと、
頂いた蕎麦を、ゆっくりと反芻して思い起こしながら、しかと思う・・・・
Tさん、Sさん、Kさん、ありがとうございました~
「手打そば ながいけ」
静岡県藤枝市志太5-9-2
054-644-8518
11:30~14:30 夜は予約のみ
月曜、火曜定休(祝日営業)
禁煙
Pあり
お店のHP
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今とっても行きたいお店のひとつなんです。
どうやって行こうか…
と画策していたのですが、やはり車がいいんですね。
近いうちに、
とは言えないのが悲しいところですが、
絶対、行きます♪
お勧めです。
荒挽き好きなyukaさんにぴったりのお店ですよ。
ただ・・場所がかーなーり奥まっているので、ドライブがてらに・・・って感じでしょうか。
その、「こばやし」さんの事を、ついこないだ某所で薦められたところなんです!
(ゴルファー?)
調べてみて、ものすごく行きたくなっているのですが、なかなか駅から歩くのは・・・(汗)
どうやって行こうかな、なんて思っていたところでした。
さすが!喰い師様…
でも、「ながいけ」さんも、本当によかったです。
最近の静岡のレベルに目を見張るばかりです。
(まだ、いくつか行きたいところが…)
もっと手前の富士市の「こばやし」は良いですよ。
香味、風味、吟醸黒、吟醸白(黒・白は時期によって切り替わるから実質三種です。まあ、事前に伺いますよと言えば・・・)
綺麗にヌキにした実を粗めに手挽きして中太に打った香味は、殻の星でなく白い星が散っていて・・・
あちら方面に行かれる折りには是非かも・・
某T氏に「山・・」と同じ時に報告しておきました。
ながいけさんも良いですよね。
私の文章で、感動が、蕎麦の旨さが伝わるかどうか…。
ここまで満たしてくれる蕎麦は久しぶりでした。
こういう蕎麦に出会うと、本当にうれしくなります。
又、行きたい…。
4兄弟も楽しみにしているところです。
ぜひ!
というか、私の欲求を満足にしてくれるものでした。
ご主人のお人柄もよく、
お店もとても気持ちのいい空間でしたよ~。
是非、一緒に行きたかったです!
どの蕎麦もお店のフラグに出来そうなもの
贅沢な三兄弟 また 食べたい。
完成度と 研究熱心さの震源地は 藤枝にありと言うところです
少しの間は どこで粗挽きを食べても
ながいけの蕎麦を思い出すことでしょう
またまた 長池さんと話したくなり 蕎麦が
食べたくなる そんな蕎麦屋です。
いっこうも未だに思い出します(笑)
記憶に残るだれにも話したい蕎麦屋って
そんなに多くないのが 最近身にしみます。
美しい、素晴らしい。
家族で訪れてみたいです。
→ yuka (04/08)
→ yuka (04/08)
→ sherbetsST (04/02)
→ gun (03/27)
→ yuka (03/19)