蕎麦打ちしているご主人の姿を眺め、
入れば、昼時過ぎても、まだまだ賑わう店内。
「奥にどうぞ～」と、花番さんに通されて…、



靴を脱ぎ上がった、小上がり席は、
年月を思わせる、縁がところどころすり減った畳に、
使い込まれ、すっかり飴色になったテーブル。

座った途端に、ほおっと和み寛いじゃう 。



「つけとろろ」か、「鴨汁」にしようと思って来たんだけれど、
周りでは、鍋焼きに、鴨南蛮、丼を前にしてる人が多く、



見てたら、温かいお蕎麦が食べたくなって…

去年美味しかった「揚げ玉そば」に、
彼が選んだのは、「常夜うどん」



「友蕎子　片倉康雄」氏の直弟子だったご主人、
すっかり色褪せた額の書を、しみじみと眺めていると…



程なく、「お待たせしました～」と、二つのお盆が到着～。



ん～、美味しそう 、
まだパチパチと音の立つ、揚げたての揚げ玉に、
ふわ～っと広がる、かけ汁のたまらない匂い。

ほんのり甘めの、関東の醤油のかけ汁にほっとさせられ、
中の蕎麦を手繰れば…



んっ？、いつもの色白の「せいろ」とは違う、
グレー色帯びた、平打ち風のやや太打ち。
これは、限定の「田舎そば」だっ

うっすらと見える、蕎麦の粒片に、もっちもっちの歯ごたえ、
ほのかにざらりとした舌触りが感じられ、
温まった蕎麦は、甘く香ばしく、これは旨いっ 。



しかも盛られた具も楽しい　、
彩もいい金糸玉子の千切りに、



椎茸の旨煮に、質のいい板わさ。



初めさくさく、次第に汁をすったしっとり揚げ玉も美味しく…
手繰る毎に楽しく、後は夢中。



一方、「常夜うどん」は、平型の大きな丼に盛られ、
見るからにボチューム満点



ひらりひらりととじられた玉子に、鶏肉が入り、
薄口しょうゆ仕立ての関西風。
優しいとろみが付き、これも美味しい 。



固すぎないうどんは、つるつるっと滑らかに喉を落ち、
どこか、玉子粥に似た、滋味深さ。
ん～、これ、お蕎麦でも作って欲しいな…

すっかり食べ終えたら、二人で汗をぬぐい、
席を立てば、外には何人も待つお客さん。

不便な場所ながら、変わらない人気も納得しつつ…

ご馳走様でした～

亡き、宇津井健さんも、訪れていたそう。
なるほど、なあ…、

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