前日の天気と打って変わってのぽかぽか陽気 。
旅行前に辛汁さんにリストアップして頂いたお店の中から、前日「じん六」さんとのお話の中に出てきたお店に伺ってみよう!と決断し、嵐山方面へと出かけることに。
早めにホテルを出て、四条大宮の駅まで歩き、チンチン電車のようなかわいらしい「嵐電」に乗り込む。地下鉄と違って外の景色を眺めながら、まずは終点嵐山にて、ちょっと散策。
足湯に入ったり、ぶらぶらと散策などをしながら、お腹がすいたなぁ・・・と、思ったら、すでにお昼も過ぎてしまってる。急いで目的のお店へと「車折」まで。
無人駅の「車折」を降り、小さな商店街を渡ると、もうすっかり住宅街。
他に店舗などない人通りも少ない中、踏切を渡りきって程なくすると、ひとつの住宅のベランダ横に、しっかりとした看板が置かれている。
シンプルな壁にひょっこり現れる小さな間口。かわいらしい暖簾のかけられたお店の横には、小さな「営業中」の札。
これは・・・、いわゆる「住宅街の蕎麦屋」に間違いない 。
右京区嵯峨 「蕎麦処 いしたに」
1時半になりかかろうとする昼下がり。
暖簾をくぐって入った店内は、シンと静まっている。手作り感あふれた白木の大テーブルが真ん中に置かれ、横に4人がけのテーブル席が二つ置かれただけの、シンプルな店内。
だが、天井の高くとられた店内は、狭苦しさを感じない。
一歩足を踏み入れると、すぐ右手には玄蕎麦の入ったシリンダーが並べられ、いくつもの蕎麦の産地が書かれてる。
その後ろには、剥き出しの石臼が3台並べられ、何やら手作りっぽいオーディオのコードのようなものが繋がっている。
工房のような雰囲気をも感じながら眺めていると、すぐに「いらっしゃいませ」と、まだお若そうなご主人が出てきて下さり、横の4人がけのテーブル席に腰を下ろす。
お茶を頂きつつ、テーブルに置かれている品書きを見ながら、とりあえず、「熱燗をお願いします」と告げると、奥からお料理の書かれた品書きも。
程なくして出されたお酒は、猪口、とっくり、箸置きがすべて同じ素材で出来たような揃いのもの。
品書きを見ると、熱燗は「月桂冠」。さすが、京都・・・、なとと思いつつ、出して下さった品書きを吟味。
そば味噌に板わさ、出し巻き、棒鰊煮、それとえびの天ぷらと、とてもシンプルなお品書き。でもよく見ると、それぞれ細かく素材について書かれている辺りに、ご主人の拘りが感じられる。
中から、ちょっと気になった「蕎麦味噌」と、「愛媛八幡沖で水揚げされた近海えそが主原料で、無添加、卵白は一切使用していません」の言葉に惹かれ「板わさ」をお願いすることに。
程なくして出されたのは「板わさ」。
宇和島のかまぼこに似た、薄めの形の板わさは、しっかりとした歯ごたえのあるもので、味も濃い。なかなか美味しい板わさはない中、これは美味しい。
添えられた山葵も、これもよく利く瑞々しい山葵。
そして、少し遅れて出された「蕎麦味噌」は、カリカリに炒られた蕎麦の実を、柚子味噌で練りこんで丸められたもの。カリッカリと食感のいい蕎麦の実が香ばしく、それに絡まる柚子味噌が風味よく、とても美味しい 。
こ、これは・・・、味噌の味こそ違うが、下北沢の「くりはら」さんの蕎麦味噌にとてもよく似ている
静かなこの、手作り感に満ちた部屋で一人、のんびり辺りを見渡しながら、ゆっくりとこの板わさに蕎麦味噌で、お酒を頂くほんのひと時 。
たっぷり一合強ほど入っているお酒を頂き、お蕎麦をお願いしようと改めてみる品書きはとてもシンプル。
「ざる」、「玄碾」、「かけ」、「おろし」、「鴨ねぎ」、「天ざる」のみの潔さ。「土日限定」と書かれているのだが、それでも一応、
「『玄碾』は今日はないんですよね?」とお聞きすると、
ちょっとすまなそうに「はい・・・」との答え。
もちろん、承知の上なので、「ざる」をお願いする。
程なくして出された蕎麦は、底下げの笊に盛られて出される。
これは細い!。
東京でもこれはかなり極細のうちに入る蕎麦。
ほんのり緑がかった瑞々しい蕎麦は、切り幅、長さにもムラのない丹精なもの。きちんと角も立った蕎麦を手繰り寄せると、濃くはないがふわりと穀物の香りが立つ。
口に含むと、細さのせいかやや柔らかめな感じも受けるが、しっとりとし喉越しがいい。噛み締めると、これも強くはないが、ふわりとお日様を思わせる穀物の風味が漂う。
丁寧に打たれたのが伺える上品な蕎麦に違いないが、個人的にはもう少し太めだとうれしいなぁ。
汁はそのままでも頂けてしまうほど、鰹の風味高い、品のいいすっきりとした辛口の汁。そのままだと、とても美味しい汁なのだが、蕎麦にはやや弱いかな?。
様子を伺うように、食べ終えるぴったりのタイミングで蕎麦湯が出される。
とろとろのクリーミィな蕎麦湯を頂いていると、ふいにご主人が、ためらいつつ、
「どちらかでお聞きにならはったんですか?」と。
「蕎麦101」や、前日の「じん六」さんのお話などをし、東京から来た旨を話すと、こちらのご主人は、以前神田にあった頃の「いし井」さんで修行なされたとのこと。
流れから、銀座の「流石」、烏山の「典座」さんのお話に移り、果ては、ちょっと前に秦野の「くりはら」さんがいらっしゃったお話へと、話が盛り上がる。
話出すと、くりくりとした愛らしい目のご主人は(イケメンの )とても素敵な方。
後ろにある石臼もすべて原石から自分で作り、電動の配線なども自作とのこと。さらには、八ヶ岳で栽培している蕎麦の写真なども見せて頂きながら、話がつきない。
ご主人の熱心に語る話を伺っていると、底知れない意力、未知なる可能性を感じてくるよう。
楽しいお話を十分にさせて頂き、「又是非来ます」と告げ、お店を後に。
とても楽しい時間をも、ご馳走さまでした~
又、ぜひ訪れたい。
そして、今度はぜひ、玄碾の蕎麦も頂いて、又お話をお聞きしたいな・・・。
*おしながき
ざる 800円、玄碾(土日限定) 1,200円、かけ 800円、おろし 900円、鴨ねぎ 1,300円、天ざる 1,500円
蕎麦味噌 300円、板わさ 500円、出し巻き 700円、鰊棒煮 700円、えびの天ぷら 700円
金澤屋 700円、三千盛 900円、熱燗 600円
「蕎麦処 いしたに」
京都市右京区嵯峨折戸町2-3
075-871-5500
11:30~14:30 / 18:00~20:00
月曜定休 禁煙
P店の横にあり
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いしたにさんの、臼に対する熱意の深さはすごいです。
私も、ほのぼのとした嵐山から、隠れ家のように都会で始められた、そのお店に行ってみたく思っているところです。
蕎麦は、どのように変ったのだろうか、
臼の挽きくらべ、なんてあるのだろうか…
などと、興味しんしん。
でも、京都、今日辺りはさぞかし暑そうですね~(^^;
京都四条で、拘りの臼粉を お振る舞いになるとは随分持ち味もグレードアップされのデビューと拍手贈りたいですね!
嵐電車折から都入りする意気込には可能性を感じ賞賛したいです。
粉ひきを目的とするのか? それをお蕎麦としてご提供するようになされるのかが興味津々です。
美味今一度、確かめにまた上京してみたくなりました。
車折まで行かずに済むことが取りあえず 嬉しく思えます。
理工系のテク 大いに四条で発揮してほしいものです~ 京そば文化一新してくれること切に願うばかりです 嗚呼(麺)!
是非、京都に訪れ伺ってみたいと思っているのですが…。
今年の間に行きたいなあ…。
私も、玄碾きをまだ頂いていないし、
これからが、さらに期待のあるお店。
又、是非訪れてみたいと思っているのです。
か、体・・・?
えっと、半分くらいかも、です・・・(^^;;
これが出来たら是非とも味わってみたいと思ってます。
っに、つけても良く動き回るな・・・
体 幾つ持ってるんですか??
じん六さんへは、ぜひ、混雑していないときがおすすめです。
私もすっかり京都で頭がいっぱいになってしまいました~(^^;
やっと行って参りました(^^)。
トロッコは乗りませでした。でも、嵐電も、世田谷線のようで楽しかったです。
今度は、大阪にも・・・♪
最初でした。
丁度、流石の女ご亭主が訪問された
直ぐくらいでした。
石井さんのお弟子さんですから
やはり蕎麦も同じように細いですね。
↓じん六さんはいつも京都に入るのが、
土曜なので、混雑を恐れて
行っておりません。
残念です。
後どこに行かれたのでしょう。
楽しみです。
トロッコ列車乗りました?今乗ると寒いよう。
車折にスーパー銭湯があって(いしたにから徒歩5分)そこで温まれば大丈夫。
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