行ってみたい、と思いながら土地勘がなく、ぐずぐずと二の足踏んでて、早一年。
偶然にも昨日、「行ってきたよ」 の友人からのメールが届き、
それによると、今月半ばに某雑誌に載るそうで…。
となったら、しばらく混雑してしまうかもしれないのは、必然。
そうなる前に、行っておきたい…と、朝方の仕事を済ませ、
一路、池袋から横浜、日出町へと、慣れない京急電車に咄嗟に乗り込む。
初めて降り立った駅で、いそいそと携帯で地図を確認しながら入った路地裏。
おっ、これだ、これだっ、道案内の看板だ。
ひゃあ~、これを登って行くんだ…。
さすが、名前の通り「坂の上のそば屋」だよう。
が、これも蕎麦を食べるための楽しい試練っ、
と、歩幅に反した登りにくい階段を、息切れながら、ようやく登頂~っ。
ほおおお、上から見下ろすとさらに、これは絶景…。
(と思ったら、一区画余計に登ってた…)
せっかく上った階段を降り、そのすぐ横にある細い路地を入って行くと…
あったあった♪、視線の先に、蕎麦屋の旗が閃いている。
その先に…、ああ、なんていい感じ
自然の風合いを生かした竹柱の門に、どっしりと下ろされた大きな暖簾。
堂々とたなびく暖簾を潜り入って行くと…
点々と石畳が置かれた先に、坂上からの見晴らしのいい眺めをバックに、
しっとりと鄙びた、風情ある入口に辿り着く。
日乃出町 「坂の上のそば屋 司」
扉を開き入ると、これも何とも風情ある板の間の玄関フロア。
「あら~、いらっしゃい」 と、うれしくなる優しい声の奥様が迎えて下さる。
「どうぞどうぞ、ようこそここまで…」
と、丁寧で暖かなもてなしで入った先は、しっとり照明が落とされ、
畳にテーブルが4卓置かれた、和モダンのこれも雰囲気のいい客室。
ぐるりと見渡しながら、中の一つの椅子を引こうとすると、
「そちら寒いから、こっちにどうぞ~」
と、にこにこと、奥の掘り込みのテーブルのお座敷に招かれる。
なんて気持ちのいい女将さんの、心和ませるお持て成し。
少女のような笑顔に、すっかり緊張もほぐれ、薦められたまま腰を下ろすと、
ああ、これは気持ちがいいな~
柔らかい日の光が差し込むゆったりとした空間に、テーブルは手肌に優しい。
すっかり心地よく、出して下さった品書きを手にし…
ふと見るお酒の品書きは、奈良の珍しいお酒、「き長」の詳しい説明書き。
飲んだ事のないこのお酒、奥様にお聞きすると…
「お酒は好みですもの、それぞれ飲んでみて♪」
と、ひとつずつ試し飲みまでさせて下さる 。
中から選んだ、「き長」純米吟醸を、グラスの量で。
すっきりとして味わい深い、心地よい味わいのお酒に…
添えて出された塩辛がとても美味しい。
充てにも何か、とずらりと書かれた品書きを眺め、
野菜の天麩羅が食べたくて選んだ「玉ねぎのさっくり揚げ」。
さっくさくととても軽やかに揚げられた玉ねぎは、中がとろ~り。
玉ねぎの甘みに、衣は香ばしく、すっかりうれしくお酒と共に楽しんで…
もうちょっと飲みたかったところだが、帰りの坂が怖いので、
そろそろお蕎麦を頂こうと、お蕎麦を注文。
辛味大根好きとしては、50円と書かれた文字を見逃せず、
付けて作ってもらった、「せいろ」は、陶器の器に盛られ出される。
こんもりと盛られた蕎麦は、艶やかで伸び伸びとしたグレーの蕎麦。
ところどころ太さの違う、大らかで素朴な風情は、ご主人のお人柄のよう。
手繰り口に含むと、もちもちとしたしっかりとした腰。
純朴な穀物の風味が感じられ、するすると喉越しもよく入っていく。
素人っぽさがあるのに、妙に後をひく、田舎蕎麦に似た味わい。
素直に美味しいなぁ…と、手繰る手が止まらない 。
ほんのり甘めの汁も蕎麦によく合い、
途中で、添えてもらった辛味大根を、もり汁にそっと盛り入れ、
絡め頂くと、おおっ、辛~っ。
きんっとくる辛味大根の鮮烈な辛味が、ふわっと蕎麦の香ばしさを引き立たせ、
辛くて美味しい、これもするするっと手繰っていたら、あっと言う間。
そっと出して下さった蕎麦湯は、しっかりと白濁した濃厚蕎麦湯。
これもたっぷり、全部飲みきって…
ほっとしていると、お茶を出して下さりながら、女将さんとちょっとお話し。
以前は、出前もする街の麦屋さんをなされていたそうで、
去年、そこを辞め、自宅を改装して手打の蕎麦屋を始められたそう。
「そこでは、ずっと中休みもなく働いてきたのでね…」
と、今も中休みも、基本的な定休日もなくなされているそう。
「蕎麦、どうだった?」
と、にっこり頬えみながら顔を出して下さるご主人のお人柄もよく、
ああ、ちょっと遠くても又来たいなあ、と心から 。
本当に本当にありがとうございました、と丁寧に奥様に見送られ、
来てよかった…と、心底思いながら、あったかい心地で駅までと。
ご馳走様でした~
やっぱり蕎麦屋はいいなぁ。
又、かけがいのない出会いを一つ頂いて…
「坂の上のそば屋 司」
神奈川県横浜市西区東ヶ丘23-27
045-251-0738
11:00~20:00
基本的に無休
禁煙
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女将さん、ご主人のお元気な様子をお聞きでき、ありがとうございます。
横浜に何か用事を作らないと…(笑)。「花湖」の情報うれしいです。ありがとうございます[undefined:i-178]
女将さんも、ご主人も気さくで、もちろんお蕎麦も素晴らしく素敵ですよね。
先週、元町の裏通りにあるお蕎麦屋さんに行ってきました(╹◡╹)石川町駅からすぐです。【花潮】というお店です。
なかなか美味しかったです
なんだかとても寂しい現象で…。
又近いうちに伺ってみようと思います。
ところで…、三鷹の大将、お店閉められるんてすか?。DWさんの読んでいて気になって気になって…。
女将さんのパワーが何より大きい。胸に染みます。
き長、よかったですよ♪
私も又、伺いたいと思っているお店です…。
そうそう、大人の○日に掲載されるそうです。
今回は、私の活動範囲なので嬉しくなりました。一度しか伺っていませんが、心に残るお店ですよね。
桜海老の頃でしたので、天せいろを桜海老蕎麦にしてもらいました(くどいかな?)
蕎麦のゼリーを試食させてもらったり、お米に混ぜて炊いてみてと蕎麦の実をひとつまみ頂戴したり、女将のイリュージョンが楽しかったです。
獺祭を目当てに次回と思っていたのですが「き長」いいですねぇ。早く再訪しとかないと、、、
このお店の近くに住んでいたらな~・・・
なんて思ってしまったお店。
でも☆
飲みすぎチューイです♪
京急の横浜から先とか桜木町の
みなとみらいの反対側って
一回行ったことがあるかどうか
野毛山動物園も行ったことが無いのであた
でも、こーゆー階段のある街は大好きなので
これは階段拝みに行かないとあきまへんな
でも、この階段転げ落ちたら命が無いので
お酒は拙者もほどほどにしたいです
はい
それも素敵そうです。
そうそう、この坂はやっぱり飲みすぎは注意です(^^;
情報ありがとうございます。
行くきっかけになりました。
horikoshimさん、頑張って下さいっっ
登るのはつらいけど、登った後の素晴らしい眺めに、蕎麦があるなんて、こんな素敵な事はありません。。
ぜひ、
行かれてみて下さい(u_u*)~
素朴な蕎麦で、こういうのもいいなあ、といくらでも食べられそうお蕎麦でした。
でっ、京急でのお仕事はいつなんですか(^^)?
坂の下の街とのギャップもまた面白い、
でも一番素敵なのは女将さんの人柄!
horikoshimさん、自転車で行こうよ(^^)
たまらなく素敵ですね。
いつか訪れたいです。
自転車で行こうと言われる前に行っておこう。
でも、行ったら、又絶対に来たい、
そう思わせるお店です。
女将さんのお心に、もう癒されますよ~(^^)
そうなんですよ♪
坂はきついけど、とても素敵なお店です。
ぜひぜひ・・・
(飲みすぎは注意ですが・・笑)
温かみを感じさせる、素敵なお蕎麦屋さんですね。
それにしてもこの階段、確かに酔っぱらうと怖そうだ(苦笑)
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