再び電車に乗り込み、うとうと夢心地で揺られながら、熊谷へ。
熊谷に着いたらすっかり日も落ちた夕暮れの中、
さらにバスに乗り込み、降り立った場所は、街燈も届かないような暗い街道。
そこから、ちょっと進んだ暗闇の中に
目立たぬような小さな看板。
矢印の示すまま、横の農道に入っていくと…
ぼんやり灯りが見えてくる。
ずっと伺ってみたいと思っていたお店 。
秩父「こいけ」さんで修行なさった、「菊谷」さんと兄弟弟子との…
熊谷 「蕎麦 藍」
上品で立派な日本家屋に、ほんのり漏れこぼれる明りが暖かい。
思っていた以上のその素敵な佇まいに、寒さも忘れてしまう。
営業中の札の上に、ちょこんと座る猫に迎えられ、
扉を開くと、これも素敵…
中扉の前には、坪庭などが作られた、エントランスのスペースがあり、
行き当たりには、広々とした打ち場が作られ…
さらに内扉を開き中へ入ると…、又これは、なんて素敵な空間 。
すっきりとしてところどころに、和の飾りがなされた店内は、
優しく暖かな空気に満ち、上品で心地のいい二つのフロア。
ほのぼのとして、のんびりできそうな小上がりの席と迷ったが、
こげ茶で統一された、居心地良さそうなテーブル席を選び腰を下ろす。
すぐに、にこにことかわいい奥さまに、
背のすらりと高い、美形の素敵なご主人 が顔を出して下さり、
お茶に、黒板書きされた品書きを出して下さる。
まずは蕎麦前に、新年にふさわしく「開運」を。
陶器の片口で出されたお酒には、これもうれしい、お通しが二品も。
「金山寺味噌」に、美味し~い「浅漬け大根」のお漬物。
そして、頼んだ「おつまみ三種」がまず出される。
「じゃこ山椒」に、柚子風味の「蕎麦味噌」、それに「山葵漬け」
一人だったら、これで十分お酒を楽しんでしまえそう~
続いて出された、手作りの「蕎麦豆腐」。
始め、さっくりとした感触の蕎麦豆腐は、口に含むと程良くまったり。
口の中でゆっくりと転がして行くと、じんわり蕎麦の風味が漂い…
この蕎麦豆腐も美味しいな~。
奥さまが静岡出身との事で、何かと静岡の名物が揃う中、
頼んだ、静岡ならではの「黒はんぺん」に…
「生桜海老」の掻き揚げ。
2つの掻き揚げを切り分けて出して下さる配慮が又うれしい。
さすが、生の桜海老。
からりと揚げられた掻き揚げは、海老そのものの香ばしさに甘みがじわ~。
これに合わせて、とお願いした「木戸泉」のにごりが又旨いっ。
そのお通しに、と出された「白和え」。
上品な味わいは、にごり酒にとてもよく合い、すっかりまったり~としていると…
ひと組、さらに又ひと組と、お客さんが入り始めたので、
そろそろ、我々はお蕎麦を頂こうと、改めて品書きを開き吟味。
「せきざわ」さんとお親しく、ヒントを得たとの品書きは、
三種の蕎麦がそれぞれ楽しめるよう作られた、「醍醐」「初島」「由比」。
これは、いいな~…と思ったが、3人いるので…
今日打たれている産地の蕎麦をそれぞれ一枚に、変りそばを頼んで、
皆で手繰り、食べ比べようと注文。
快く受けて下さり、程なく各々蕎麦猪口にもり汁が置かれ、
まず出されたのは、長野県は下水内郡栄村の蕎麦。
ほんのり緑がかった蕎麦は、きりっとした角が立ち、丹精に切り揃った細切り。
瑞々しくしとやかで、口に含もうとすると、ふわりと香る爽やかな香り。
噛み締めると、もちもちとした腰が心地よく、じわりと広がる香ばしい風味。
…と、余韻に浸ろうとした所で出された、二枚目は、茨城境町。
なんて鮮やかな、鶯色。
先の栄よりも微粉で打たれた蕎麦は、上品でいてしっかりとした腰。
噛み締めた後に広がる香ばしさに、優しい甘みも感じ…
三枚目は、福井大野の蕎麦。
この風味が、さらに濃い。
上品かつ力強さも併せ持ち、喉越しよく仕上がった、すべてのバランスのいい旨さ。
ご主人の生き生きとしたお心が映されたような蕎麦に、すっかり満喫。
食べてみたい…と思っていた「藍」さんの蕎麦、
「こいけ」さんの蕎麦とは又違う蕎麦に、すっかり魅了…
そして、最後の一枚、今日の「変りそば」の「青海苔切り」。
透明な細切りされたその中に、これも透けるような翡翠の欠片。
口に含むと、プルンっとした腰が心地よく、
噛み締めた途端に広がる、磯の香ばしい味わい。
と、ここまできたら、もう拍車が止まらない。
どうしても食べてみたくて頼んだ、「かけそば」。
澄んだ美しいかけ汁に浸る蕎麦が、頼もしい。
取り分けるように、と小鉢も添えて出してくれるのもうれしく、
まずは汁を口に含むと、すっきりとして柔らかく上品で、
ああ、ここのかけ汁も美味しいな~…
中に横たわる蕎麦は、熱を帯びた事でもちもち感を増し、
きちんと歯ごたえもあり、これが又、もりで頂くのとは違う感動。
さらに…、ちょっと残しておいた「桜海老の掻き揚げ」を持って頂くと、
途端に、ふわ~っと桜海老の風味が汁に溶け込み、。
んん~、これは、たまらない…
最後に、うっすらと白濁した蕎麦湯で堪能し、幸せなひと時を噛み締める。
にこにこともてなして下さる、かわいい奥さまに物腰しスマートな素敵なご主人。
このお二人のお人柄がすべてに行き渡ったこのお店に、
初めて来たにも関わらず、すっかり心惹かれてる。
ご馳走様でした~
ここも又、是非、伺いたい…と、すっかり夢の中、電車に揺られて。。
Mさん、Tさん、ありがとうございました~
「蕎麦 藍」
埼玉県熊谷市中奈良1896-4
018-522-6654
11:30~15:00 / 17:30~19:30
火曜日、毎月15日定休
月曜昼のみ
禁煙 Pあり
お店のHP
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まさしく、「熊谷に藍ありき」です!
暖かい接客に、本当に心安らぐ空間。
そして、お料理も気のきいたものが揃い、そして、あの蕎麦!
ぜひとも、近くに欲しくなってしまいました。
訪れられた事を、今も幸せに思っています。
の記事を見ました。オープンしたてと去年12月の2回しか行っていませんが、
接客についても、板につき、蕎麦もこいけの蕎麦とは違う、その独自性に自信が現われたそばに感じました。
「熊谷に藍あり」です。
ここに紹介されたら・・・、夜の懐石の予約は、お早めに!。
まあ、黒はんぺん、お好きじゃないんです~…
(私、練り物好きなもので…)
こちらの奥様が静岡出身との事で、静岡ゆかりのお酒にお料理が揃っていました。
素敵な、素敵なお店でした…(u_u*)~
黒はんぺん・・こちら静岡では、おでんに入れることが多いですが、私はあんまり好きじゃないです・・。
でも、栄養満点なんですよ~。
それにしても素敵なお店ですね♪
こちらこそ、先日は本当にご馳走様でした。
どれもこれもが美味しくて…。
又ぜひ、伺いたいと思っています。
ん?
そんなに酔ってなかったですよ~(^^)
ちゃんと、目は確かに開いてました♪
ぜひ、次回は、生桜海老も楽しみに、訪れたいと思っています。
駅からも離れているので、電車、バス、タクシーなんかでご来店いただくお客様にいつも申し訳ないなあ、、、と思うんですよ~(^^;)
それにしても・・・「かわいい奥さんと美形のご主人」 かなり酔ってました???(笑)
ちょっと遠いですが懲りずにまたいらしてください♪
ありがとうございました!
本当に、素敵なお店で、お料理も蕎麦にも大満足です。
ああ、近くにあればいいのに~っ
と、心の底から思ってしまいました。。
埼玉県です。
青春18きっぷを使っての電車の旅もいいですよ~。
ほろ酔い気分に、ごとごと揺られる電車が心地よくて。
まがりさんも、ぜひ(^_-)-☆
青海苔興味深い
お店もおされですな
しかし、熊谷市ってどこよ!
いやいざとなれば調べますが
埼玉って遠いわぁ
田園都市線沿線のみならず
横浜ってお蕎麦屋さんが少ない気がするわぁ
中華の街?
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