久しぶりに「いしおか」さんのお蕎麦を頂こう~♪と向かおうとして、ふとご主人の修行先のお店を思い出す。
お天気もいい事だし、今日は一度行ってみたいと思っていたご修行なさったお店へ行ってみよう。
特別な打ち方との特許を持っているとの師匠のお蕎麦。
住所を頼りに学芸大から目黒通りへ出、さらに歩いていくと・・・、細いバス通りの入り口に「手打ち」の看板が目に留まる。
こ、ここは・・・
時折、バスの中から見かけていた蕎麦屋さんではっ!
屋号が書かれていなくて、ずっと気になっていたお店。
ここが、そうだったんだ・・・
と、近づくお店は、年季を感じるどっしりと、そして静かに構えた貫禄ある佇まい。
目黒区中町 「手打蕎麦 武蔵野」
入り口へと向かい暖簾を潜ると、すぐ目の前にはガラス張りの打ち場が外に面し、白衣を身にまとったご主人が丁寧に丁寧に蕎麦を扱っている。
この方が・・・
かなりご高齢そうなご主人は、とてもとても優しいお顔。
扉を開き入るとすぐに気づいて下さり、手を休め、にっこりと「いらっしゃいませ」と迎えて下さる。
午後2時も当に過ぎた昼下がり。
ほかにお客さんのいない店内は、時が築いたようなしっとりと古めいた壁の上品な空間。
テーブル席がいくつかきちんと並べられ、奥には小上がりの席が作られている。
「お好きなところにどうぞ」
と、続いて出てきてくださった花番さんに通され、テーブルのひとつに腰を下ろす。
程なくして出された、おいしいお茶を頂きながら、置かれていた品書きを開く。
「お酒」と書かれているそれを、冷でお願いする事に。
出されたお酒は、すっきりとして柔らかく口当たりの優しいお酒。
そして、一緒に添えて出されたあては、器たっぷりに盛られた豆もやしの和え物。
お豆がほこほことし、味付けの程よいお通しに、これだけで十分飲めてしまいそう。
音もなく、しっとりと落ち着いた空気の中で、ゆっくりと寛ぐ静かなひと時。
いつしか再び打ち場に戻られたご主人を眺めていると、丁寧にやさしく蕎麦を見つめる姿に、何か感動のようなものが胸にこみ上げてきてしまう・・・。
長い長い間、こうして蕎麦を慈しんできたんだな~・・・と、じーんと。
そんな気持ちを感じながらゆっくりとお酒を頂き、いよいよお蕎麦、「せいろ」をお願いする。
四角の小さめの蒸篭に盛られた蕎麦は、透明感を感じる白めの蕎麦。
角がぴんと立ち、艶々と輝く丹精な細打ち。
手繰り上げると、ふわりと優しく通り過ぎる蕎麦の香り。
口に含むとぷりっぷりとした心地のいい腰加減。
噛み締めると、ほどけて行くようなたおやかさがあり、優しくぬくもりを感じてくるよう。まるで、ご主人の姿そのまま蕎麦に写されているように感じ、そのまま何も付けずに幾度か口に運んでしまう。
その後で頂く汁は、辛口ながらもまろやかなもの。
この蕎麦とのバランスがよく、あっという間に頂いてしまう。
美味しかった・・・と、思いながらも、かなり少なめの蕎麦。
今日は、「いしおか」さんでカレー蕎麦を食べてみようと思っていたのを思い出し、追加で「カレー蕎麦」もお願いしてしまう。
程なくして出された「カレー蕎麦」は、ぐつぐつとして見るからに熱々そう。
まずはその汁を頂くと、甘さを控え上品な蕎麦汁を感じさせながらも、カレーならではのスパイシーな味が旨い。
中に入ったいくつもの鶏肉は、ふわっとして柔らかく、葱はとろ~り。
かなり熱々で、冷まし冷まし、それでも美味しく蕎麦を手繰ると、たっぷりとこのカレー汁の絡まる蕎麦。
さすがに蕎麦の風味は感じることは難しく、このカレーもとても美味しいのだが、せっかくのお蕎麦、まずは「かけ」を頼めばよかった・・、などとも。
とは言え美味しく、すっかり汁まで食べきったら、もう大満足。
お勘定をしようと、ゆっくりと席をたつと、ご主人も近づいて下さり、にこにことゆっくりゆっくり話しをして下さる。
もう、このご主人のお顔を見ているだけで、暖かい気持ちでいっぱい。
ご馳走様でした・・
念願のご主人のお蕎麦を頂け、お会いできた事が本当にうれしく、あったかい心地を胸にお店を後に。
又・・・、訪れ、ご主人にお会いしに来たいな。
今度は、「せいろ」と「かけ」を頂きに。
そして、もっともっとご主人のお話もお聞きししに・・・。
帰りは、「杉本」さん、「卯月」さんの「新そば」の張り紙を確認しながら、祐天寺まで~
*お品書き
せいろ 700円、天せいろ 1,600円、とろろ 1,100円、納豆、おろし 1,000円、天ぷらそば 1,900円、若鶏、なめこ 1,100円、月見、わかめ、玉子とじ 1,000円、たぬき 800円、釜揚げうどん 1,100円、なべやき 1,500円、カレーうどん 1,100円、天丼 1,900円、
お酒 550円、ビール 650円、板わさ、なめこおろし
「手打蕎麦 武蔵野」
目黒区中町 1-40-6
03-3715-2241
11:00~19:00
水曜・木曜定休日
禁煙
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30数年も前から・・・。
はい、ご主人、お元気でした!
ご主人の心が流れ伝わるような、やさしく温かみの感じられる、折り目正しいいい蕎麦でしたよ。
ぜひ・・・
久しぶりにご主人にお会いになされたら、きっととても喜ばれると思います!(本当に・・・・)
はい、量は、とても上品盛り。
でも、あれがなんだかいいな~っと思わせるものでした。
行ってよかった、と、心から思ったひとときでした。
良く行ったのは30数年前ですが、蒸籠の形も寸分変わらずで。
まだ東京に手打ち蕎麦屋が希少な頃始められたお店。
懐かしいなあ~yukaさんにお教えしようかとズット前から。
近頃の味がどうなのか判らなくて、ご主人お元気なのですね♪
お蕎麦は極めて少量だったのでは?
昔の練馬の田中屋よりも少なかったのでは(笑
手打ち蕎麦行脚の初めの頃のお店です。
今も変らずにとは、うれしいことです。
やっと伺うことができました♪
蕎麦はもちろん、もう、私はご主人に胸がいっぱいで・・・。
しかも、流行のお洒落で雰囲気の良さとは違う、なんというか、しっとりとした、茶の湯を思わせる落ち着いた空気。それでいて緊張するわけではなく、あの何とも言えない空間に、とても癒された思いがします。
又、ぜひ、訪れたいと思っています。
はい!次回は「かけ」でなく
たぬき」で♪
そうそう、祐天寺には、「卯月」さんもあるので、ほんっとに迷います(^^;
土曜の昼にお蕎麦屋巡るルーチンになって、祐天寺と学芸大学は危険です。たくさんのいいお蕎麦屋があるので、どこに入るか迷います。杉本が武蔵野とは徒歩圏内。いしおかや夢呆もほど遠くなく、越前そばのみぞれは駅からすぐ。吉法師や中目黒の驀仙坊も身を惹かれてしまう。まったく困った目黒の秋刀魚、じゃあなくって、おそばですね。
武蔵野では確かに二品くらい食べたくなってしまう気持ちがよく分ります。各々が量の少ないこともあるでしょうが、酒の肴を板わさくらいしか置いておらず、蕎麦前酒でお腹を膨らすことがないせいもあるでしょう。こんどせいろなんぞの後にかけが食べたくなったら、ちょっとだけエキストラ料金を払ってでも「たぬき」をお奨めします。揚げ玉が問題なんではなくて、たっぷり入れてもらえる南蛮葱が美味しいのです。ぜひ、お試しあれ。
「カレー」。
はい、うどんにしようかとも思ったのですが、せっかくなのでお蕎麦にしちゃいました。
それと、「しんとみ」さんのカレー!
そういえば、頼んでいる人がいて、すっごく美味しそうだったです。古奈屋さんには時々行くので(あのカレースープがすきで)
「しんとみ」さんにも是非行って見ます♪
情報ありがとうございました。
もう、ご主人がいいんですよ~・・・
リズミカルに打ち場で饂飩や蕎麦を打っていたっけ。蕎麦専門のブログをやってる方にいうのもなんですが、武蔵野でカレーならそばよりうどんだと思います。ちなみに、用賀の「しんとみ」のカレーそばは古奈屋風のクリーミーなカレーで結講イケます。
行ってみたいです。
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