暖簾をくぐった先の、入り口の扉は骨董の擦りガラス。



幾つもの祝花が飾られた土間で靴を脱ぎ、
通された店内は…



ああ…、いいなあ 。
入った途端にほおっと心和む、
心地のいい古民家ならではの、懐かしき空間。

幾重にも梁をわたらせた、高い天井に、
足裏に心地のいい、畳の感触。



築150年のご主人の生家なのだそう 。



さりげなく飾られた、野の花や、調度品、
居るだけで、心癒される空間の中、



通されたのは、お庭を望める窓際のﾃｰﾌﾞﾙ席。



座ると程なく、出して下さったのは開店祝の「振舞い酒」。
奈良の120年の歴史を持つ酒蔵、「梅乃宿」。

添えられた揚げ蕎麦をつまみ…、
今日頂くのは、予約してたお昼のコース 。



前菜は、「大根と湯葉の炊き合わせ」



上品に炊かれた大根に、揚げ湯葉、
赤米のお粥に、「生姜の泡」の風味が絶妙。



このお料理を前に…



ノンアルビールに、（運転、すみませんっっ）



お酒の品書きを見せて頂き、



頂いたのは、奈良の地酒、「倉本」純米酒。
口当たり柔らかく軽やか、美味しいな 。



そして…、あの「夢のコラボ」で出されたお料理の、
さらにバージョンアップした、見ただけでうれしい、
「旬菜の盛り合わせ」 。

一品一品、花番さんが丁寧に説明してくださった、



「生麩と胡桃の揚げ出汁」に、



「味間芋と春菊の胡麻和え」



「新蓮根とモロッコインゲンの胡麻和え」に、



カリっと揚げられた、「自家製厚揚げ」、



涼し気なガラスの器は、
「結崎めぶかとフルーツトマトの山かけ」、



「薩摩芋の胡麻揚げ」に、「茹で落花生」、
小さな木べらに盛られた「焼き味噌」に…、



感動的な美味しさ、
原木椎茸と長茄子の、見目も美しい「押し寿司」 。

どのお料理も、素材の味わいを大切にした、
優しく上品な味付けで、
それぞれの異なる味わいに、頂くお酒がたまらない 。

はぁ～、改めて「一如庵」の料理に感動。



天ぷらは、すべて地の野菜、
さくりと柔らかく甘い蕪に、金時人参、
白ネギに、さくさくっと軽やかな舞茸、

さっと降られた塩加減もよく、
しみじみと野菜の滋味を味わって…、



次は、いよいよお蕎麦 、



淡い色合いの、細く繊細な「せいろ」は、
つなぎなしの十割蕎麦。
茨城水府の常陸秋そば。



手繰り口にした蕎麦は、ぷるんっと心地のいい腰に、
ふわっと消えゆく独特な喉越し、
ふうわりと広がる甘みがエレガント 。

すっきりとした辛口の汁もよく合い…



続いて、蕎麦のホシ散る「手挽き蕎麦」。



透明感のある、きらきら輝く上品な細切り。
瑞々しく軽やかな食感に、
ふっと消えながら立ち込める芳しさ。

ああ、なんて素敵なお蕎麦…

添えられた汁は、「せいろ」とは別の、
コクのある鯖節仕込みという細やかさに、
うっとりとと、でもアッという間に手繰り終え…、



既に、お腹はいっぱいなんだけど、
品書きの中の「そばがき」の文字に、



「そばがき」も、追加で注文～。



湯ダメ仕立ての蕎麦がきは、見るからにふっくら。



そっと刺した箸がふわっと埋もれる、
びっくりする程柔らかく…。



まるでマシュマロ、ほろろと口で蕩ける、
何という心地の良さ、
溶け広がる甘く芳しい味わいに、

くぅ～これは、美味しいっ



頃見て出された、蕎麦湯は濃厚ポタージュ。



「せいろ」の汁に、「手挽き」の汁と、
両方に注ぎ、違いを楽しみ…



最後の甘味は、「栗と紅芋のきんとん」。
しっとりとした、まろやかな自然の甘さが
食べた後にたまらなく…、

居心地よく、心地よく、
顔を出して下さったご主人と、たっぷりお話しさせて頂いて…、
最初の奈良での、心に残るひと時に。

ご馳走さまでした～



３年越しの、憧れの「一如庵」は、
日常の喧騒を忘れる、極上の癒しのひと時。
季節を変え、又ぜひ訪れたいな 。

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