何とか昼すぎにはその用事も済ませ、国領へと足を向ける。
この日を前々から楽しみにしていたのは・・・、tatenanoさんが紹介していた、先月末にオープンしたお店へ伺ってみたくて 。
駅南口を降り、右に見える牛丼の「松屋」の横のビルの間を歩き、「東秀」を通り、やお・・・、ありっ、あの安い八百屋さんがSoftBankに変わってる! などとびっくりしていたら~、
すぐ目の前に、風情のいい小さなお店が目に入る。
西八王子の名店、「坐忘」さんで修行なさった方が開かれたというお店。
新しいながらも、しっとりとした木でしつらわれた店構えは、ちょっと目を引く趣がある。
国領 「蕎麦 山河」
午後2時すぎ。
扉を開け入った店内は、途端にすぅ~っと体に感じる柔らかい木の温もり。手作りのような白木のテーブルと椅子が目に優しく飛び込んでくる。
すぐに出てきて下さった感じのいい花番さんに迎えられ、奥のテーブル席に腰を下ろす。
ゆったりとして、優しい空気。後ろには心地よく流れるジャズのBGM。
心地がいいなぁ・・・ 、
と出して頂いた美味しい蕎麦茶を口にし、置かれていた品書きに目を通す。
冷たい蕎麦、温かい蕎麦、それじれいくつかに、豊富とまではいかないが、きちんと欲しいと思うものの揃うお料理のお品書き。
一通り目を通し、まずは、蕎麦前を頂こうと、「緑川吟醸」をお願いすることに。
すっきりとして上品な口当たりのきれいなお酒。
それに合わせようと、中から好物の「しらす辛味おろし」を選び追加で注文。
程なくして出された「しらす辛味おろし」は、こんもりと大根おろしのまわりに、じゃこがたっぷりと散らされたもの。
添えられたもり汁を回しかけ、一口頂くと・・・、これが辛~っ。
後で伺ったところ、長野の辛味大根だそうで、これはよく利く。
これに香ばしく味のいいじゃこが美味しく、ゆっくりと口に運んではお酒を頂く、憩いのひと時。
奥では、楽しげに会話する女性の姿も好ましく、ひとしきりこの空間に時間を楽しんだ後は・・・、
いよいよ肝心のお蕎麦を 。
うだるような暑さの中くる途中では、「おろし蕎麦」が食べたいなぁ、などと思っていたのだが、たっぷりとおろしは堪能したので、基本の「せいろ」を頂くことに。
程なくして出された蕎麦は、高足の笊に盛られた、角の立った細切りの蕎麦。
薬味は山葵に、丁寧にしつらえた白髪葱。
手繰り顔を寄せると、穀物の温もりのような香りがふわりと立つ。
口に含むと、かなり細めにもかかわらずしっかりとした腰。しこしことした感触の、硬質感に近いくらいのしっかりとした歯ごたえが楽しい。
さらに透かし見ると、細かな蕎麦の粒の見える蕎麦は、強烈ではないが、次第に風味が広がってくる。濃い目の汁もよく、浸し頂くとさらに風味を感じさせてくれるよう。
そして、半分ほど頂いた後に・・・、
食べ切れなかった大根おろしを汁に入れ、俄かおろし蕎麦にして頂くとさらに旨い。ぴりっとした大根おろしの清涼感が、加わりするすると手繰ってしまう。
さすが、坐忘さんで修行なさってきた方の蕎麦。切り幅、長さにもむらもなく、腰もしっかりとしてのど越しもいいもの。
まだ一月にもならないというのに、これはいい 。
食べ終える頃合を見て出された蕎麦湯は、やさしく白濁したさらさらとした熱々のもの。これを大根おろし入りの汁に注ぎいれ頂くと、途端におろしが優しい甘みに変わり、非常に美味しい蕎麦湯。
注ぎ、注ぎたっぷりと頂いていると・・・
デザートまで出して頂ける 。
蕎麦茶のゼリー?羊羹かな?。ほんの~りとした甘みに蕎麦の風味のするもの。
ただ私には、ちょおっと甘さ控えめすぎるかな~・・・(^^;;
と、改めて出してくださったお茶を頂いていると,
ご主人がすっと顔を出され「今、お時間ありますか?」と・・・。
他にお客さんもなくなり、私がお酒を頂いていたからだろうか。
柱に貼られた張り紙を指しながら、
「この季節のお酒、ちょっと味見てみませんか?」
とおっしゃって下さるではないの 。
喜んでお願いすると、すっと出してきて下さった二本のお酒。
まずは、「神亀純米、上槽中汲」。うっすらと濁った、やや発泡した感じのお酒で、口に含んだ途端に、ふわ~っと広がるフルーテイーな味わい。すっきりとして爽やかで柔らかい口辺り。これまでの神亀のイメージを覆してしまいそう。
もうひとつの「うきたむ」も、爽やかながらもなめらかな口辺りの、切れのある美味しいお酒。
ううむ、これは是非、どちらかを今度頂いてみたいなぁ、などと思ってしまう。
美しいガラスの器に、ちょっとづつ注いでくれ、熱心に説明して下さるご主人。
多くはなくても、選りすぐったお酒を置くようにしたいんです、と。
さらにお蕎麦の話にも移り、蕎麦は今、40メッシュと60メッシュのものを混ぜて打っているとのこと。
だんだんに、ちょっと太めの田舎蕎麦も打とうと思っているとのことで、さらに楽しみになってしまう。
お料理も、今「鴨つくね」が完成したそうで、
「これが美味しいんですよ」
と、にこにこと話て下さる。鴨よりも鴨つくねが好きな私には、これもうれしい。
オープンしてから、もう少しで一ヶ月。
まだまだ、期待たっぷりの楽しいお店が、この国領にできたことがとてもうれしい。
ご馳走さまでした~
もうちょっと過ぎたら、又是非訪れて、「かけ」に自信があるとのご主人の、温かいお蕎麦も食べてみたいな 。
*お品書き
せいろ 800円、辛味おろしせいろ 1,050円、納豆そば 1,300円、鴨汁せいろ 1,500円、海老天せいろ 1,800円、かけ 800円、きつね蕎麦、辛味おろし蕎麦 1,050円、納豆蕎麦 1,200円、にしん蕎麦 1,400え、鴨南蕎麦 1,600円、海老天蕎麦 1,800円
板わさ、しらす辛味おろし、焼き味噌 550円、うるめ鰯/たたみ鰯/エイヒレ 650円、おひたし 500円、冷奴 550円、にしん 750円、玉子焼き 850円、海老天ぷら 1,100円、季節の治部煮 1,200円、合鴨の陶板焼き 1,800円
緑川、黒帯、神亀 650円~、吉ろく、中々、山翠、仁右衛門 650円、エビス 630円
「蕎麦 山河」
調布市国領町4-8-7
042-484-7270
11:30~15:00 / 17:30~21:00
(夕方の営業時間は延びる予定)
水曜定休 禁煙
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駅からも近いし、京王沿線に又素敵なお店ができたと喜んでいるところです。
感想も、お待ちしていますね(^^)
ぜひ行ってみたいと思います。蕎麦の表情がよくわかる記事、さすがですね。
はい、まだできたばかりながら、素敵なお店でうれしくなってしまいました。
お近く、あるいは沿線に出向かれた際には、ぜひ。
駅からすぐ近くというのも、うれしいお店です。
やっと行ってきました。
できるなら・・・、この沿線に住んでいる頃からあってほしいと思ってしまいました。
本当にこれからが、ますます楽しみ。
又、伺ってみたいと思っています。
わざわざ、遠方から訪れる価値ありそう。
日本酒もわたくし好みでございます(笑)。
それにしても、本当にお蕎麦お好きなんですね。
いつもブログ拝見して感心しています。
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