千葉鴨川に、竹やぶ出身のお店が出来たと知り、早3年…。
行きたいなあ…と想い募らせ、ようやく今日、訪問する事に 。
生憎、夜明け前から激しく降る、雨の中を出発すると、
鴨川の山里に入った頃には雨も上がり…
大らかで、青々とした長閑な山並みに抱かれ、
うっすら霧がかった幻想的な風景の中に、
どっしりとした無骨な手の温もり溢れた丸太柱の門が見えてくる。
こっここが…、ああ、なんて幽玄な情景…。
広々とした敷地の中には、ヤギが無邪気に草を踏みしめ、
牧歌的で和やかな風景もあり…
門をくぐり入れば、見えてくるずしりとした古民家。
おはじきでアートされた石畳をゆっくりと歩けば…
お店の前には、これもいいなあ…
あずまやのような、待合の離れ(?)があり、
その後ろに、自然の風合い醸す板壁の間に、
切り株で囲まれた扉は、一種異様な魅惑的な雰囲気漂う。
鴨川 「手造りそば 打墨庵 加瀬」
竹やぶのお店独特の、表側の壁には窓がない佇まいは、
自ずと店内への期待を膨らまされ、
どきどきしながら重厚な扉をゆっくりと開いてみれば…
おぅっ、意表をつく、ここに又ワンクッション、
店内へ入る前のひと時の間があり、さらに扉を開いてみれば…
わあ、素敵…。
雨上がりのしっとりとした空気の中、柔らかな灯りが店内を包み、
高い天井の下に、一枚板の大テーブル。
奥には、窓に面してゆったりと置かれたテーブル席…。
壁には、阿部さんの独特のユニークな手彫りの額が飾られ、
木々で囲まれた店内は、素朴な温もりでいっぱい。
古民家の良さと山小屋の長閑さを携え、ほっと和む心地良さ 。
昼時とは言え平日、この場所にありながら、店内はほぼ満席。
皆、ゆったりと寛ぎ楽しんでいる様子が見てとれる中、
すぐに、にこやかな笑顔の素敵な奥様が迎えて下さり、
この大テーブルに三人囲んで腰を下ろす。
しっとり手に馴染む、一枚板の木肌が手に心地よく、
置かれた、ずしりとした品書きをゆっくりとめくれば…
まるで絵本を眺めているような、楽しい品書き。
一通り目を通し、長年焦がれてきたお店、「おまかせ」でお願いする事に。
…となったら、お酒もやっぱり頂きたい 。
竹やぶ系のお店にしては、お酒の種類が多いのもうれしい限り。
中から、ここは鴨川、この土地の地酒を頂こう
と早速お願いした、「寿万亀」。
充てには、蕎麦味噌、蕗味噌、山葵茎の醤油漬け添えられ…
すっきりとして清らかなお酒をそっと口にしていると、
まず出されたのは、「冷しそばがき」。
「そばがき」の冷やしとは…、これが初めて 。
と、張られた汁を口にすれば…、
きりっとして鰹の風味が広がる上品な冷や汁。
その中に浸る蕎麦がきは、ぷるる~んとして柔ら~か。
中にぷちぷちっと蕎麦粒が混ざり、蕎麦豆腐のような食感。
ん~…、これは美味しい 。。
と汁まですっかり飲み干せば…
続いて、熱々蕎麦湯に浸った「そばがき」が出される。
茶巾しぼりに浮かぶ蕎麦がきは、優しい面持の滑らかな表面。
箸を入れれば、ふわっふわとろ~…
マショマロよりも、耳たぶよりもとにかくとにかく柔らかく、
まるでシルクのような、滑らかな舌触り。
口に含んだ途端に、ほろろ…と溶け、
喉元すぎた瞬間にくっと鼻孔に抜ける、濃厚で深い香ばしさ。
こっ、これは美味し~い 。
軽やかで優しく、蕎麦の香ばしさが凝縮したこの蕎麦がきに、
すっかり魅了、しばしうっとり…
としているところに、そっと出された二点盛り。
しゃきっとして、仄かな粘りが独特の、
生姜と共に和えられた、甘酢漬けの「わらび」に、
しゃきっとした歯ごたえが心地のいい、甘辛具合が絶妙な「ぜんまい煮」。
この二点だけで、お酒一合十分楽しめてしまいそ~う 。
続いて、竹やぶ独自の、海老の掻き揚げ「天だね」が登場~。
狐色きれいに揚がった、見るからにカラリとした天麩羅は、
箸を入れると、さくっさくでものすごく軽やか。
中にはぷりっぷりの海老が埋め込まれ、
海老の周りをとろりまるでカスタードクリームのような衣が包み、
さくっとしてとろけ、海老の濃厚な旨みで口の中が満たされる。
唯一無二のこの掻き揚げ、これは絶品~。
ああ、この「天麩羅そば」も食べてみたい…
と、しっかりとお料理を楽しんだ後は、いよいよお蕎麦 。
「今日、たまたまちょっと打ってみたので」
…と出して下さったのは、何と「さらしな」。
清楚で無垢、清らかに煌めく姿に見とれ、
口に含めば、ほろりとした、しなやかでたおやかな優しい感覚。
さらしな独特のぷるんっとした弾力とは全く違う、
優しく繊細、細やかな舌触りに、柔らかく広がる蕎麦の甘み。
こ、このさらしな、これは又素晴らしい…
と、余韻に浸っていると、続いて丸い漆器で「せいろ」が置かれる。
角はキリリ、端正に切り揃った蕎麦の整然たる美しさ。
手繰り上げれば、繊細な丸抜きの粒が透け見え、
ふっくらとした蕎麦の芳しい香りがふわりと立つ。
心地いい絶妙の歯ごたえに、ふっと消え落ちる、軽やかな喉越し。
手繰り続けていけば、じわじわと香ばしさが口に残り、
そっと浸す汁の、濃厚な旨みがさらに蕎麦を引き立てる。
ああ、これは美味しい、精妙たる「せいろそば」だ…。
と、さらりとした蕎麦湯を注ぎ、汁の旨さをしっかりと味わって…
これは、是非とも「かけそば」も食べてみたい
と追加でお願いした、「かけそば」。
美しく琥珀に澄んだ、清らかなかけ汁からは、
置かれた瞬間に、鰹の品ある香りがふわりと漂い、
れんげですくい口にすれば、こっ、これは美味し~い…。
すっきりとして円やかで柔らかく、
それでいて、出汁の旨みがしっかりと感じる、絶妙なかけ汁。
しばし、れんげをすくう手が止められず…
中の蕎麦を手繰れば、熱々汁に浸ってもきちんとした腰を残し、
もちっもちとした歯ごたえがあり、せいろとは又異なる旨み。
汁を纏った蕎麦の、香気がたまらなく、
手繰り、汁を口に含みと、汁まですっかり飲み干して…
最後の甘味は、豆乳パンナコッタに蜜りんご。
ぷるるんとして、優しい甘さのパンナコッタに又舌鼓み、
しゃくっとした林檎は、シナモンの香りが広がり、
最後まで、隙なく美味しいお料理にお蕎麦に大満喫 。
優しそうなご主人、加瀬さんのぽそぽそとお話しされる言葉も心に染み、
きれいで、暖かいお心伝わる奥様二人のもてなしがとてもうれしい。
想像を超えてのもてなしに、心いっぱい満たされて…
ご馳走様でした~
トカイモイイネ
ウミモイイヨネ
タマニハヤマオク!
ソバヤモタシイヨ
加瀬 啓輔 美奈子
本当に、その通り、又ぜひ訪れたいな…
A様、U様ありがとうございました~
「手造りそば 打墨庵 加瀬 」
千葉県鴨川市打墨2329-1
04-7093-5209
11:30~18:00
(18時以降前日予約)
木曜定休
禁煙 P多し
お店のHP
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そしてあのさっくりとろりぷりっの天だねも、よかったですよね(^^)。
お陰で、とても楽しいひと時になりました。
本当にありがとうございました。
千葉の山は、信州の山と違って、穏やかでほのぼのとしていいですね(^^)
竹やぶ出身の方のお店も、いろんな姿があって楽しいと、しみじみ…。
こちらよかったです♪
奥様のあの笑顔は癒されますね~。
>鴨川周辺の主要道路
なるほど…。
うーむ。
ぜんまいの茹で加減、味付けも絶妙。
神田やぶを思わせる中がトロトロの天たね。
竹やぶ系では珍しいさらしな蕎麦。
温蕎麦にしてもしっかりした腰のある蕎麦。
どれもが素晴らしく最高峰でした。
御覧の通り、周囲はしっとりとした山の中…
ちょっとね、異彩を放つ、って感じですよね。
でも、この(系列の)お店なら…
そうです、ロケーションも(ヤギも…すっかり大きくなりました)
「サービスのうち」ということで。
お店もまだ少しずつ変わりつつある段階のようで、エクステリアは
門とか待合兼喫煙所?などは確か最近まで見かけなかったかも?
冷やしそばがき、面白いですねえ。
当方には、お店そのものよりアプローチが少し難があります(笑;;
=鴨川周辺の主要道路の面白みがないのです...orz
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