
あの縁台で寛ぐにも、お天気になるといいなぁ、と思っていたのだが・・・

生憎、朝方から、ぱらぱらと振り出した雨は、次第に強くなってくる。
まあ、これもこれ、お部屋で寛ぐのも又一向と、中野駅からバスに乗り込み、住宅街の一角へ。

「水道タンク」のバス停で降り、閑静な住宅街の中へと入って行くと、懐かしくも記憶の中に鮮明に残っている、目印の看板がぼんやりと灯っているのが、見えてくる。
全くの住宅街の中。
目印は、この小さく灯された看板のみ。
知ってはいても、やっぱりこの秘密めいた看板に、わくわくしてしまう。
そんな気持ちを押さえながら、横の細い路地を入り込み、突き当たった先を横に入ると・・・

看板も何もない。ただ、すっと暖簾が降ろされただけの入り口。
このひっそりとした遊び心たっぷりの演出がたまらない・・・

落合 「そば処 遊」
がたがたと音がしそうな古めいた扉を開くと、玄関があり、その後ろには懐かしい廊下が伸びている。
ゆっくりと靴を抜いて上がるとすぐに、いらっしゃいませ、とお兄さんが出てきてくださる。予約を入れていた名前を告げると、さすがにこの雨、今日は入ってすぐのお座敷に通される。
ほぉ~・・・
これ又なんて、ノスタルジックな風景。。
前回は、外の縁台で、ちゃぶ台を囲んでだったので、部屋に入るのは初めて。
これぞ、昭和初期の風景というものだろうか。
肌電球の、ワットの低いぼんやりとした明かりの中、懐かしい茶箪笥が置かれ、ところどころにくすみのある障子の扉にふすまの壁。
使い込まれた畳の上には、どっしりとした木のテーブルが置かれ、その横に並べられた座布団に腰を下ろすと、もう、これだけでタイムとリップしたような、不思議な心地にさせられる。
昔のおばあちゃんの家?
ぼんやるとした記憶の中にか、あるいはDNAの中に組み込まれた、優しく懐かしい古めいた日本の「家」の温かみにすっぽりと埋もれてしまうような心地。
と、ぼんやりししそうになってしまいながら、
待ち合わせた友人と、まずはビールで乾杯~。
一人、ちょっと遅れそうとのことなので、
とりあえず、軽く頂きながら待つことに。
定番の品書きのほかに、お兄さんが「本日の品書き」の書かれた看板を持ってきて下さり、その中から選んだ、小さな品々。
まずは、あると頼んでしまいたくなってしまう、「自家製ポテトサラダ」。
いかにも手作り!という、あったかみのある味わい。ゆで卵が加えられているのかな?ほんのりコクがあり、家庭的なポテトサラダはほこほことして美味しい。
そして、お店によって、作る人によって味わいが様々な、「卯の花」を。
様々な野菜が一緒に炊かれた、しっとりしみじみとした卯の花。
これも美味しいな~・・。
そして、この季節ならではの「山独活の胡麻酢和え」。
しゃきしゃきとした歯ごたえに、独活独特の風味が胡麻酢と合わさり、春ならではの味覚を楽しめる。
そして、大好きな「帆立の磯焼き」
醤油にくぐらせた帆立貝が炙られ、海苔に載せられて出される。
しっかりとした身厚の帆立が、香ばしくて旨い。これはお酒で頂きたいな~・・・
と、思っているところに遅れてきた友人も到着 。
早速お酒も注文することに。
まずは・・・、好きな山口の「貴」があったので、それをお願いし、それぞれ好みのお猪口を選んで改めて乾杯を。
すっきりと軽やかでありながら、ふわりとした口当たりのお酒は、帆立はもちろん、卯の花、独活、ポテトサラダにもぴったり。
頂きながら、ぼんやりと窓の外を眺めると、雨にぬれた縁台に、ぼんやりと照らされたお庭が見えて、これもまたひとつの風情。
ん?以前来た時よりも、縁台が広くなっているような・・・、
と思ったら、最近広げたとのこと。これは夏にでも、また訪れて、この縁台でしみじみのんび~りとくつろいでみたいな、と思ってしまう。
と、友人も到着したので、さらにお料理も追加でお願いし・・、
友人リクエストの「レンコンのキンピラ」。(ちょっと食べちゃった)
大きめに切られたレンコンは、ほこほこっとし、しっかりと味も染み入り、きちんと美味しい。
それにやっぱり食べたい、「玉子焼き」。
ほんのり甘めの、しっかりとした味付けされた玉子焼きは、日本酒にぴったり。
と、お料理に話にと花が咲き、追加で、風の森、長珍、それに初駒を熱燗でお願いし、ゆっくり三人で憩うひととき。
話ながら、「ここの『もも焼き』は絶品」と言う友人の言葉に、食べてみたくて頼んだ「鳥のもも焼き」。
表面の皮目がパリっと焼かれ、皮が苦手な私にも美味しい。かぶりつくと、じゅわっと鳥の旨味が染み出る、ふわっとジューシーなもも焼きに大満足
あっという間になくなってしまった、「鳥のもも焼き」。
そして、やっぱり頼んでしまった・・・、「漬物盛り合わせ」。
自家製と思われる白菜は、白菜そのものの甘みを引き出した美味しい漬かり具合。それに、茗荷、たくあん、ごぼうの漬物と、これもたっぷり。
すっかり、これらのお料理にお酒に、楽しい話であっという間に過ぎ去る時間・・・
もう少し、お酒を頂きたいような心地を抑え、そろそろ肝心のお蕎麦をと・・・。
頼むとまずは、もり汁にたっぷりの山葵に葱の薬味が出され、程なくして陶器の器に盛られた蕎麦が出される。
ところどころに蕎麦の欠片が盛り込まれた黒めの細切りの蕎麦。
その切り口のざっくりとした鮮やかさは見るからに野趣あふれ、手繰り寄せると、ふわりと草のような清々しい香りが漂う。
口に含むと、冷水で〆られたしゃきっとした感触が心地よく、かみ締めるとしっかりとした腰。男っぽい感覚を感じる凛々しい蕎麦は、かみ締めると、ふわりと香ばしい穀物の風味が広がる。
口に運ぶのが楽しく、このしっかりとした腰の蕎麦を食べ進めていくと、香ばしさが次第に濃い甘みとなって残っていく。
ん~、やっぱり美味しい・・・
洗練された、というよりはむしろ、大らかで野性味のある素朴な蕎麦の味わい。
そして、ここの汁が又独特。
全く、と言っていいほど甘みを含まない、鰹の風味を全面に感じる汁。
まるで鰹節を口に含んだような、濃い鰹の風味のすっきりとした汁。
これがこの蕎麦によく合い、蕎麦の風味、甘みをさらに引き立てる。
味わい、納得しつつ・・、
たっぷりお料理を頂いた後にもかかわらず、するりと頂いてしまう。
頃合見て出された熱々の蕎麦湯を汁に注ぎ頂くと、上品なお吸い物そのもものような汁が、これまた美味しい。
ん~、飲んだ体にすうっと入っていく、この心地・・
長いこと、又訪れたいと思っていたお店に、再び来れたことに心から大満足。
ご馳走さまでした~
3人そろって、満足な心地で、優しく応対してくださるお兄さん、ご主人に挨拶をして、お店を後に。
なんて素敵な夜のひととき。
ここも、時折訪れて、この不思議なタイムスリップを楽しみたいな・・・
Kさん、Nさん、ありがとうございました~
*お品書き
もりそば、かけそば 700円、
玉子焼き 700円、地鶏のもも焼き 1,300円、じゃこのごま油サラダ 800円、冷奴 500円、湯豆腐 600円、漬物盛り合わせ 500円他本日の品書き(卯の花 400円、ポテトサラダ、レンコンきんぴら 500円、山独活のごま酢和え 600円、ほたて磯焼き 700円)
おまかせコース(2人~)3,500円、軽めのコース(1人~)2,500円
ビール 500円、初駒、風の森、長珍、貴など 600円~
「麺工房遊・そば処遊」
新宿区西落合3-24-14
03-3950-9001
18:00~22:00
日曜・月曜・祝日定休
禁煙 お店のHP
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それはそうと・・、
そうなんです。(多分)40Wあるかどうかの豆電球だけの明かりなので、カメラ泣かせなお店です(^^;;
もう少し、技術をつけないとだめです・・(涙)
でも、むかーしに戻ったような、素敵なお店です。
一度行ったきりだったので、ぜひ又行きたいと思っていたのですが、やっぱりいいですね、ここ♪
満月の夜に縁台で呑み、魂を抜かれてみたいです。変身しちゃうかも(笑)
気づいたのですが、新井薬師から歩けそうですね。お天気のいい日に、ぷらぷらと訪れてみようかな、と思ってます。
高感度で撮ってらっしゃるということは、きっと薄暗い、いい雰囲気のお店なのでしょうね。
天気がいい夜、月を見ながら縁台で呑んだら、きっと魂を抜かれますよ(笑)
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