今だったら、まだ間に合う…、と先日行けなかった「上杉」にちょっと寄り道。
井の頭公園へと続く道沿いに、そこだけほっこり時間が止まり昭和の空気が流れているような、風情たっぷりの佇まい。

吉祥寺 「上杉」
思えばかなり久しぶり。一時はここの「さらしな」に魅せられて幾度か足を運んでいたのだが、おばさんのあまりにもさっぱりとした対応に、いつしか足が遠のいていて…。
営業中の札を確認し、年代を感じる扉をがらがらと開く。
変わってない…。
中も外見同様、郷愁を思わせる懐かしい風情がそのまま。一枚板をカットして作ったようなテーブル席が3卓、一列に並んで置かれ、向かい側にはこれも一枚板のテーブルが置かれた小上がりが2つ。
先客はなく、「いらっしゃいませ」と、すぐに女将さんが出てきて下さり(おおっ 笑顔だ…)、端のテーブル席に静かに腰を下ろす。ほお…、座るとますます懐かしい気持ちになり、ゆっくりと店内を見渡してしまう。
すぐにコップ水が置かれて、慌てて品書きを広げる。まずは…、ここでは、初めてのお酒をお願いする。「お酒」(菊正宗)とシンプルに書かれたものを、冷で。
一輪さしにもなりそうな徳利と猪口が置かれ、あてにゴーヤのお浸しが添えられる。
さっぱりとして瑞々しいゴーヤは苦みも薄く、清々しい美味しさ。
それと、大好物な「からすみ」があったので、(以前から頼んでみたかった)それを頼むと、「一緒にお蕎麦もお聞きしてよろしいですか?」と聞かれ、久しぶりなので「三色を、後ほど」とお願いする。
ゴーヤでちびちびとやっていると、しばしして念願の「からすみ」が出される。漆器のお皿に薄く切られたからすみが8切れ。絶妙の加減で炙ってあるのが非常にうれしく、大事に一切れずつ頂く。ん~、やっぱりこれはお酒にはたまらないな~
BGMもないしんとした空間で、なんか妙に寛いでしまう。のんびりと、ここもいいな~などとしみじみ思い、最後の一杯を猪口に注いでいると、…びっくりっ。前触れもなく、いや、それとも最後のお酒を注ぐのを見ていたのかもしれないが、突然目の前にお蕎麦が出される。
(さ、最後のお猪口を楽しもうと持ったんだけど…
「しらゆき」「せいろ」「田舎」の三種の蕎麦は、一茶庵独特の区切られたせいろではなく、小さな四角の蒸篭が並べられて盆に載せられて出される。
まずは、「しらゆき」から。
純白の「しらゆき」は美しく凛とした楚々とした姿。口に含むと優しい腰加減の蕎麦で、かみ締めると非常に甘みが濃い。そのままでも楽しめそうな味わいだが、残念な事に非常に短い…。手繰るというよりは、箸でつまんで口に運ぶ感じで、今日はたまたまだろうか、もうちょっと繋がりがいいといいんだが…
つづいて「せいろ」そば。やや太めの中細切りのグレーの蕎麦を、手繰り口元に寄せると、ふわりと香り漂う。
口に含むと、これもやや柔らかい。が、蕎麦の風味はしっかりと感じる味わい深い蕎麦。上品な出汁の風味のまろやかな汁にちょっと浸して頂くと、蕎麦の風味がぐんと増し、これも甘みが強い。味のいい蕎麦だが、個人的にはもう少し腰が欲しいかなあ。今日はちょっと茹ですぎたのだろうか…。
最後にしっかりとした太打ちの「田舎」蕎麦。
すするというよりは、もぐもぐと噛み締めて味わう蕎麦で、これも蕎麦の風味は濃い。もそもそとした感じはなく、噛み締めていくと解けていくように口の中に広がる風味。
これで、「鴨汁」を頂いてみたいなぁ、などとふと思う。
頃合をみて、すっと出して下さった蕎麦湯は、ナチュラルに優しく白濁したもの。注ぎいれ頂くと、汁の旨さを改めて感じられる。
何よりも、久しぶりに訪れた「上杉」の蕎麦を食べられ、満足した思い。
以前感じたよりは、やや柔らかく感じる女将さんの対応にもほっとし、さて、ここで長居は無粋と、席を立ちお勘定を。
ご馳走様でした…
こちらの温かい蕎麦も気になるところだし、たまに又ここも訪れてみようかな。
でも、やっぱりまだ、ちょっと緊張しちゃうお店だなぁ~
*お品書き
せいろ 550円、田舎 580円、さらしな 620円、三色 950円、鴨せいろ 950円、天せいろ 950円、かけ 550円、たぬき、きつね 650円、月見、鴨ととじ 700円、鴨南 1,150円など 山葵 80円
そばがき 700円、板わさ 450円、からすみ 320円、焼きみそ 370円、天ぷら盛り合わせ 1,600円、ビール 600円、酒(菊正宗)550円
「手打そば 上杉」
東京都武蔵野市御殿山1-3-7
0422-42-0521
11:30~18:45
11:30~18:30(土日祝)
火曜定休 店内禁煙
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ああああ~・・
その感じなんですよねーっ。
落ち着くようで、何というか(^^;;
そのコメントだけで、tatenon様にお会いしたくなっちゃいました。
いや、単に好きなばっかりで(^^;;;;;
こちらの「からすみ」、間違いなく320円なんですよっ。これは頼まなくては!ですよね♪
多い量ではありませんが、一人でちょっとお酒と頂くには十分に満足してしまいます。
>県北
はい!ぜひぜひっ、
いつも、水戸周辺どまりになってしまうのですが、帰省する前にでも足を伸ばしたいと思ってます。
その時は・・、
ぜひ、寄らせて頂けたらいいな、と思ってます。よろしくお願い致します。
夜の営業がない、というのも、拘りなのだと思っています。(残念だけど・・・)
「しらゆき」、本当にあの甘みは美味しい・・。
久々に訪れてよかったです。
え! からすみが320円?とありますがこれ間違いないのでしょうか。
それにしても毎日の蕎麦屋めぐりには脱棒です。
茨城県北まで足を伸ばすことありましたらぜひお立ち寄りください。
「しらゆき」は芯だけで打っている感じで、大変めずらしいですね。
→ yuka (05/23)
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→ chameleon_arms (05/23)
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