前日に突然決めて、行ってしまった。 秩父へ・・・と。
駅に降り立ち、待ち合わせた友人と出会い、外を見上げると小雨が降り注ぐ。東京を発った時には止んでいたけど、そうか、ここは埼玉だったんだ。
静かに、霧雨のように降り注ぐ中の、駅ほど近く。ずっと行ってみたいと思っていた「こいけ」さんへ辿り着く。
想像していたよりずっと、庶民的なさっぱりとした店構え。昼もすぎ1時を回る頃合だというのに、目の前には車がいっぱいに止められている。

秩父 「手打そば こいけ」
(帰り際に撮ったので、暖簾が内側に・・・)
桜でもなく、芝桜ででもなく、温泉でもなく、ただただ、「こいけ」さんのお蕎麦を食べてみたくて・・・。
年季の入った扉を開くと、飾り立てのない年月の積み重ねを感じられるような、落ち着いた店内。
テーブル席が5卓ほど並べられ、奥には真四角の囲炉裏仕立てのような大テーブルが置かれている。余計なものは何もないが、染み付いたような蕎麦屋のしっとりとした空気が、全体を覆っているよう・・・。
外に止められていた車で予想したが、案の定、中もかなりの賑わい。平日のしかも雨降りの今日だから、閑散としてるかと期待していたので、ちょっとびっくり。さすがの人気店なんだなぁ~・・・。
テーブル席がひとつ空いていたが、ゆっくりしたいね、と小上がりの席に座らせてもらう。
すぐにお茶が出され頂くと、これがとても美味しいお茶。
さてっと、まずは・・・
品書きは、壁に貼られたものがそうらしい。
冷たい蕎麦、温かい蕎麦がいくつかに、お料理は天ぷらと蕎麦味噌のみのシンプルな品書き。
「お酒」としか書かれていないけど、花番さんに尋ねると、地酒の品書きを出してもらえ、結構な種類のお酒が並んでる 。
まずは、中から地元のお酒「秩父錦」を冷で。
かわいらしい片口の酒器で出された秩父錦は、ふわりとしながらも旨味のあるしっかりとしたお酒。
アテには、椎茸の軸の煮物。これ、美味しい♪。歯ごたえのある軸がざっくりと裂かれ、蕎麦汁で煮たのだろか・・、非常にいい味わい。これだけで飲めてしまいそう~。
ほどなく出された「蕎麦味噌」は、しゃもじに焼き付けられて。白味噌仕立てで、そばの実など混ぜられた味わいはいい。
けど・・、作り置きかな?
温かくなかったのが、ちょっと残念。。
(その分、早く出てきたけど・・)
蕎麦味噌でちびちびとやっていると程なくして、「天ぷら盛り合わせ」。
海老が3本に、山菜が混じっているのがちょっとうれしく、ふきのとうに、こしあぶら(かな?)、オクラ、葱、しめじがやさしくさっくりと揚げられたもの。塩と天つゆが添えられ、この天つゆがとても美味しい。
お酒を、香露、豊の秋と重ねつつ頂いていると、
「山葵菜の醤油漬けなんですが、どうぞ」と。
これがっっ・・、か、辛~っ
柔らかい山葵菜がよく漬け込んであるのだが、後から目の覚めるくらい、山葵独特のツツーンっが、とても強烈。いやあ、これはいい!
そして・・、やっぱり頂いてみたい「そばがき」を。
ここでは、一口大に作られた蕎麦掻きを湯に張られて出される。
しかも、少し遅れてご好意で「揚げ蕎麦掻」まで作ってくださり、両方頂けちゃった
耳たぶのように柔らかく、ふんわりもっちりとした蕎麦掻きは、蕎麦の風味に加え、なんだろうか・・、非常に味わい深いものがある。蕎麦汁を出され、山葵をちょっと漬けて頂くと、優しい気持ちになってくるような美味しい蕎麦掻き。
そして、揚げ蕎麦掻き!これが・・、マシュマロかと思うくらいの、とてもふわっふわ。周りがカラリとしているだけに、これがとても心地よく、非常に気に入ってしまった・・。こちらは塩で。
すっかり長居をしてしまって、くつろいでしまい・・、そろそろお蕎麦を。
せっかくだから、「三色そば」を二人で分け合って頂くことに。
三色そばは、長細の蒸篭に三つ山に盛られて出される。
まずは・・、今日の変わりそばの「芥子切り」から。
透けるような蕎麦は、幅広で非常に薄く伸されたもの。表面には水滴のように芥子の粒が所々に込められ見ているのも美しい。
口に含むと、しっとりとした腰。この薄い蕎麦がとても優しい口当たりで、まずは蕎麦の甘みがふわ~と広がる。・・と思っていると、芥子の香ばしい風味で口いっぱいに。こういう切り方の変わりそばは珍しいが、とても繊細でいて上品、かみ締める途端に溶けてしまうかのようで、これはいい。
続いて、「せいろ」蕎麦。
こちらで自家製粉したいくつかの産地の蕎麦をブレンドし、生粉で打ったという細打ちの蕎麦。
手繰り寄せ、口に含もうとした途端、非常に濃くうっとりするような香ばしい蕎麦の香りが豊かに漂う。
口に含むと、しっとりとした腰。何というか、かみ締める歯をゆったりと包み込むような弾力感があり、もちもちとした感触。かみ締める毎に、蕎麦の風味がじわじわと広がり、そしてなんともいえない優しさを感じてくるような、素朴でありながら上品で、しかも暖かさのある蕎麦。
これは・・・、う、旨いっ
まるで、いつまでも食べていたくなってしまうような蕎麦。
そして、幅広の太くて濃い色の「田舎そば」。
見た目ほど、硬い感触はなくしっかりとした腰だが、もちもちとした感覚の方が強い。すするというよりは、かみ締めて食べる蕎麦だが、ぼそぼそ感はなく、素直に食べられる。蕎麦を「食べている」という実感を感じさせるもので、これも又楽しい。
そして、最後に・・・、周りで食べている人の「かけそば」があんまり美味しそうだったので、これも二人で取り分けて食べよう♪と頼んでしまった、「かけそば」。
たっぷりと菜の花が浮かべられ、やや濃い色の澄んだ汁のかけそば。
まずは・・と、そのかけ汁を頂く。お、美味しいっ・・・
鰹のとても上品な風味がしっかり漂い、その味加減、濃さの按配がとてもよく、非常に美味しいかけ汁。この汁だけでも堪能してしまいそう。
汁に張られた蕎麦を頂くと、温かい汁の中で、さらにもちもちとした食感が増し、腰のしっかりとした蕎麦。かけ汁にからまり、さらに風味に豊かさが加わり味わい深い。
このかけそば、絶品と言ってしまいそう。
すっかり満喫し(お酒も?)、満足なお蕎麦に二人でほおっと・・。
ふと見渡すと、あんなに入れ替わりいたお客さんも帰られ、閉店まもなくの店内は、いつの間にか静寂を漂わせている。
と、ご主人がゆっくりと厨房から出てきて下さり、なんとなく二人でご主人とお話しなどを・・・。
なんて、なんて素敵なご主人なんだろう。ゆっくりと穏やかにお話されるご主人と言葉を交わしていると、こっちまで心が暖かくなってくる思い。おおらかで、とても深みのあるお人柄のご主人で、ああ・・、あのお蕎麦は、このご主人のお人柄が表れた蕎麦なんだなぁ・・、としみじみと思えてくる。
まるで、大海に流れ行く前の、広大でおおらかに流れる下流のような、そんなご主人の、「こいけ」という蕎麦屋。
ああ、来てよかった・・。
「今の時期だけなんですよ・・、混んでいるのは 」
なんて、にこやかにおっしゃっていたけど、又、ゆっくりと訪れたいな・・・。
今日は、二人で本当にのんびりとすごさせて頂き、ごちそう様でした~ 。
いつしか、外の雨もなんとか上がってる。 さあて・・・、ぶらぶらと駅まで。
(スタンプラリーのスタンプも押してもらっちゃった♪)
*お品書き
せいろ、田舎 850円、変わりそば 1,000円、天せいろ 1,700円、三色もり 1,700円、もりうどん 850円、かけ 850円、天ぷらそば、うどん 1,700円
焼き味噌 500円、天ぷら、野菜天ぷら 1,200円、そばがき 1,100円
秩父ビール 550円、四季桜、豊の秋、木戸泉、菊姫、西の関、秩父錦、大七、香露、春霞、秩父花暦など 650円~
「手打そば こいけ」
埼玉県秩父市野坂町2-14-34
0494-22-1610
11:30~15:00
火曜、水曜定休
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他の情報も集めてみたい気がします。。
代変わりでもしたのでしょうか。
ちょっと残念です。
しばらく伺っていないので、又足を伸ばしてみます。
はずれ、です(^^)♪
まさか、それだけじゃあるまい(笑)。
となると、お蕎麦はどちらで?。
いろいろ推理していましたが(笑)、「こいけ」さんじゃなかろうかと。
当たり?ハズレ?
あたしゃラーメンすすってます。
ここが何よりも一番好きな店、
と言っている人を何人も、私も聞いています。
私にとっても、
思い出深く、蕎麦もご主人も雰囲気も・・・
かけがいのないお店です。。
今は遠いのと、混んでいるのとで、
なかなか訪れられないのですが、
又ぜひ伺いたいと思っているお店です。
美味しいものだと気付かされたのは。
社会人になってバイクを買って、秩父に
1人でミニツーリングによく行って、たまた
まこの店に入って…。この店がなかったら
蕎麦好きにはならなかったかも。ここより
美味しい店はまだ今までに数軒しかない。
偶然っ。土曜日ですね。
やっぱり混まれていたんじゃないかしら・・・。
今度は、ちゃんと(?)シバザクラを見て、ぜひ一度食べてみたい「秩父のカキ氷」をもセットで行ってみよう♪と思っているところです。
偶然ですねぇ。
次回は、やってみたいです。
でも、そうなると、一泊したほうがよさそうですね(^^)
秩父も奥が深くて、また行きたいです♪
余り話題にはのらないけど「長尾根」さんのお蕎麦も好きです(ここ、変なお店でイタ飯系もメニューに有り) 「田中屋」さんも結構良いお蕎麦を出してくれます。
今回の面子でしたら、ハシゴ蕎麦も可能だったと思うけど・・(きっと続編で夜の部もあったとふんでいますが)
次回行かれる折りには「こいけ」さんで軽く一杯、しかる後、バッグにビール、ワイン、日本酒、こいけさんの揚げ蕎麦・・・etcを押し込み、ロープウェーで宝登山に登って景色を楽しみ、〆には通し営業の「田中屋」でもつ煮で一杯、限定粗挽き蕎麦 もしくは、「長尾根」で蕎麦とニョッキなんて手もあります。
あの、仲見世もおもしろそーですよね♪
う・ふ・ふ。
こいけさんのお蕎麦、いーいですよー。
お酒も、結構イロイロ。
今度は、馬をつないで・・
ぜひです。
いっつもね、S武T父では馬をバラして(そう、アシこの
交番の目の前だよ・・・よっく退歩するぅ~!!って言われないなぁ)
「馬」ですからね、重いです、それを持って!!改札へ!と急ぐ。
そういうことがあると、当然「当店」には寄る機会がない。
精々、チチブほてとを土産に買うなり。あと、ゲンサク爺さんのヴァインかな?
こんだは蕎麦も食したく・・・
(いつだかね)
初めて伺ったのですが、tatenon様のおっしゃる通り。
大好きなおそばやさんっていうの、納得しちゃいました。
で(^^)、帰りは心地よい眠りで・・・。
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