がらがらと引き戸を開くと、
懐かしい今や希少な、昔ながらの蕎麦屋の風景。
使い込まれたテーブルに角椅子、
黒光りする柱に年月培った壁に天井。
この時間でもちらほらと何人かの客が寛ぐ。
ああ、いいなあ…、この空気 。
すぐに迎えてくれた花番さんは、
「先に食券お願いしま~す」と、
コロナ対策からか、まずは入り口レジでお会計。
大テーブルに腰を下ろすと、
何とも言えない懐かしさにほっと寛ぎ、
程なく目の前に置かれた、
「熱燗一合」に、お通しの枝豆、
充てに頼んだ「お新香」 (250円)。
この「お新香」が実にいい。
浸かり具合のいい胡瓜に大根の糠漬けに、
沢庵にラッキョウ、野沢菜がしみじみと旨い 。
帰る人あれば、又がらがらと扉が開く
老舗の店ならではの和やかさ、
ゆるりとしばし、寛がせて頂いて…、
品書きは迷う程にずらりと豊富。
温かい蕎麦と迷いつつ、
久しぶりだし、やっぱりここに来たらこれ、
「翁庵」名物「ねぎせいろ」 。
使い込まれた蒸篭にこんもりと、
盛られた蕎麦は乱れなく断たれた細切り。
香り風味は穏やかながら、
きりっとコシあり、喉ごし軽快、江戸の粋 。
この蕎麦を浸した、熱々の汁が旨い 。
烏賊がごろごろ埋まったかき揚げのつけ天で、
柔らかな出汁に天ぷらのコク、
ぷりっとした烏賊の旨みが染み、
たっぷり絡めた細身の蕎麦は甘みが広がり、
次に次にと後引く味わい 。
しかも嬉しい、ナルトも発見~。
崩し絡めとあとは一気、
さらさらとした蕎麦湯を注ぎ飲み干して…
ご馳走様でした~
10年ぶりの店は全く変わらずにいて、
その良さをしっかりと残してる。
いいなあ「翁庵」。
ずっとずっと、このままであって欲しいなぁ 。

「上野 翁庵」
台東区東上野3-39-8
03-3831-2660
11:00~20:00
日曜・祝日定休
2011年10月31日 熱燗に「ねぎせいろ」
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