町田市成瀬。ほんとに「もち月」さんの目と鼻の先ほどに、全くタイプの違う佇まい。

老舗の趣きも感じられるような、落ち着いた正しい日本の蕎麦屋風情。
短い暖簾の掛かった入り口すぐ横には、いかにも使いこなされたような打ち場が、外に面してある。
石挽き蕎麦 「一葉」
扉を開けると、明るい空間。
真ん中に存在感のある大テーブルがあり、それを囲んでテーブル席が3つと小上がりが3卓。奥のふすまには個室もあるらしい。
店内の角や隅に飾れた、小さな坪庭のような作りがあったりと、なかなか雰囲気もいい。
お昼真っ只中だったので、店内はほぼ満席。かろうじて空いていた小あがりの席に腰を下ろすと、ほっと安心するような寛ぎを感じる。日本人なんだなぁ・・、なんてしみじみ思ってしまうような。
品書きを広げると、町の蕎麦屋で定番の数々の品書き。蕎麦の種類も豊富な上、ご飯もの丼ものと揃ってる。
ただ・・、珍しいのがこれこれっ
噂通り、こちらでは蕎麦を選択するしくみ。
白い花の蕎麦(北海道産の蕎麦)と
赤い花の蕎麦(ヒマラヤの蕎麦の原種)
のどちらかを選べるらしい。
他に田舎(白い花の蕎麦の挽きぐるみ)
と変わりそば(日替わり)。
とても感じのいい花番さんに、詳しく尋ねると快く説明して下さり、彼は白い花の蕎麦を、わたしは「だったん蕎麦に近い香りの強い」赤い花の蕎麦を選んでみる。
まずは・・、「赤い花の蕎麦」の「せいろそば」。
茶褐色の、ちょっと平切りっぽい細切りの蕎麦。切り口は鮮やかで、角がぴんと立っている♪。
口に含むとふわりと蕎麦の香りが立ち、まずはそのもちっとした感触がおもしろい。
この腰のある蕎麦をかみ締めると、豊かな蕎麦の風味。懐かしいような優しく素朴な蕎麦の味。そして後から、じわ~と濃い甘みが広がる。
これは、美味しいっ
蕎麦の原種という感じが実感できるよう。
そして、彼の「白い花の蕎麦」のせいろと、小玉子丼。
赤い花の蕎麦に比べて、やや細めのしゃきっとした白めの蕎麦。
ちょっと交換して食べ比べると、こちらは上品な感じ。それでも、蕎麦の風味はよく、腰もしっとりと。
すっきりとした感じの喉越しで、蕎麦前なんか頂いた後なんか、こっちはよりよさそう。
どちらの蕎麦もつゆなどいらない位に美味しい。
・・・と、どうしても気になってしまったので、「田舎そば」をおかわり(つゆなし)で頼んでみちゃう。次回に・・と思ったけど、なんだかとっても食べてみたい。取り分けて食べようか、ということで。
そして、頼むとほどなくやってきた「田舎そば」。
わあっ。こ、これは・・・、大好きな粗挽き。かなり豪華に散った蕎麦の欠片を見たら、もうたまらない。そして、濃いグレーだが、とても透明感がある。
さてっと、手繰ると予想通りに香ばしい香りが立ち込める。
そして、口に含むとざらりとした舌触りを感じ、蕎麦の香ばしさが追ってくる。しばらくこんな粗挽きは食べていなかったので、とてもうれしい。
やや、長さが短めなのが気になるが、この粗挽き感、風味はとてもいい。赤い花の蕎麦と違う蕎麦の風味。
つゆは、ちょっと甘めのどちらかとしうとしっかりとしたタイプ。鰹の風味がよく、どっぷりよりは、ちょこっとつけて食べるといい感じ。でも、この田舎にも負けないつゆなのがすごい。
白い花の蕎麦には、やや濃い目かな?
とはいえ、半分くらはつゆなしで食べちゃったほどだけど・・・
彼が追加した、「小玉子丼」(525円)
味付けなどなど、美味しいとのこと。
(食べてないのでわからないけど・・)
杖あわせの御新香がまたよかったらしく、自家製の額づけ。
蕪を一切れもらったら、非常に瑞々しく、漬かり具合がすごくいい。
蕎麦湯を頂きながら、ほっと・・。いやぁ、かなりここ気に入っちゃった
蕎麦もよかったし、何より花番さんの接客がとてもいい。こういう、当たり前のきちんとできた花番さんに出会うと、本当にうれしくなってしまう。
どちらかというと、町の蕎麦屋に近い感じで、近所の方々がふらりと訪れているような空気。こういうのが又、ほっとさせてくれる。
又来たいな・・。帰り際見かけた、鴨南蛮が又とっても美味しそうで、今度は赤い花の蕎麦で、種物なんかも頂いてみたい。
ごちそう様でした・・ 町田もレベルが高いなぁ~・・
*お品書き
せいろ 630円、田舎、変わり 840円(お変わりつゆなし200円引き)
とろろ、おろし 840円、納豆 945円、鴨せいろ 1155円、天せいろ 1,470円
なめこ 840円、カレー南蛮 945円、鴨南蛮 1,155円、掻き揚げそば 1,370円等
小ライス 210円、味噌汁 157円、小玉子丼 525円、親子丼 945円、かつ丼1,155円
「石挽き手打ち 一葉」
町田市小川2-6-2
042-799-5010
11:00~14:30 / 17:30~20:30
水曜定休
P3台
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そして、違う雰囲気で食べればまた、しかり。
だから・・、やめられないんです。。
ってことは、詳しく説明が書かれてなかったのと、尋ねてなかったので確信はないのですが、高嶺ルビーなのかしら・・。
ま、難しいことは抜きにしても、こちらの赤い花の蕎麦は私はおいしく思いました。今度訪れた時には、聞いてみたいです。
高嶺ルビーは、ヒマラヤの赤花をつける蕎麦を日本に持ち帰って改良し、品種登録したものですから。
もっとも、ネパール産の蕎麦が輸入されているかどうか、調べてみないとなんともいえませんが。
ところで、もしかしたら、こちらのは、「高嶺ルビー」とは違うのかもしれないかも。ヒマラヤの蕎麦の原種に近いものらしく、こちらの蕎麦は、本当に風味が豊かでした。風味も、なんというか・・、北海道の蕎麦と比べると、素朴なやさしさのある深い感じのものだったんです。甘みが強くて。
ぜひぜひ!試してみてほしいです。そして、喰い師様の感想も聞いてみたいです。
いつまでも、師でいて下さい♪
蕎麦の原種がそうなんですねぇ。
見た目も、はい(^^)きれいでした。
そして・・、蕎麦もよかったんです。遠いけど、一度ぜひ。。
私の経験では「南無庵」で高根ルビーという赤花の蕎麦を供しておりますが、新蕎麦の時期に食しても 「ンン~~~ッ??」 っと言う物でした。まあ、蕎麦をどう刈るか、どう干すか、どのように製粉するか、どのように打つか・・日々刻々と変わります。だから面白いのでしょうが・・ 赤花が香が強いと言う事は初めて聞きました、その逆の事は多々耳にしておりますが、そして、南無庵で感じましたが・・
ウッヒャ~ッ、久々に真面目に書いちゃった。
「蘊蓄」は嫌いだと言う方も多々居りますが、少なくとも蘊蓄が無かったら、はるばる遠くの美味しいと評判のお蕎麦屋になんか行きません。ご近所の立ち食い蕎麦屋で充分ですよね(それも楽しいけれど)
赤い花のお蕎麦に対しても自分なりの出来てしまった思い込みが有るのか・・また、そのうち機会を見つけて赤い花を再度試してみようと思いました。思い込み、決めつけはよろしくない、自然体であるがままに物事を感じていないと偏屈な頑固ジジイになってしまうから・・・
山梨県の白州の方へ出かけた折に一面の白い蕎麦の花畑の中に
赤い蕎麦の花が咲いている一画がありました。
不勉強ゆえその時は、特になんとも思わなかったのですが、
韃靼蕎麦か原種に近いそばの花だったんですね。
ほんのり赤くてなんとも綺麗でした。
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