暖簾を潜れば、ふっと体を包み込む、
古民家ならではのしっとりとした空気がたまらなく、



待ち合の土間には炭が赤く熾り、
ヒーターには決してない柔らかな温かさ 。

入ったときからすでに「車家」。



優しく丁寧に迎えられ、
通されたのは、大広間のゆったりとしたテーブル席。
出された緑茶がとても美味しい。



すすりながら、「季節の品書き」を手にし・・・、
これこれ、お目当ての「淡き水そば」 。
これをまず頂いて…、



久しぶりに「三色せいろ」を頂こうかな、と思ったら…！



なんとっ、これは品切れっ？。



新年は昨日からだからか、
「水そば」も「更科」も「田舎」も、
コース料理もまだ提供されていないよう 。



ないものは仕方なし、
ならばシンプルに、「蕎麦寿司」もつく「かけそば」に、
彼は、この餅が美味しいんだと、「峠の力餅」に決め注文。



待つこと程なく、丁寧に置かれたお盆の上も、
実に品位の高い設え。



丼に注がれた汁は琥珀に澄み、
はらりと盛られた菜の花に、柚子の黄に春を思わせ…、



「峠の力餅そば」は盛りだくさん。
焼き餅にお揚げ、蒲鉾に鴨つくねが浸り、
ふわりとかかった銀色の白髪葱。



…と、二つあるからっと、彼から蒲鉾がっ わーいっ



まずは蓮華で汁をずずっと…。

はぁ〜、濁りなき芳醇な鰹出汁がじわ〜と体に染みわたる 。
何度も何度もすすり、その都度はぁ〜。
しばし蓮華を放せない。



ようやく手繰った蕎麦は、
温蕎麦用に、太めの蕎麦にしているのか、
細うどんと言ってもいい程、かなりの太め。

これが全く嫌な感じがなく、もちもちとして腰しっかり、
太くても硬すぎず、蕎麦の風味が広がり、
この蕎麦で、「カレー南蛮」食べてみたい 。



添えられた薬味も美しく、



繊細な葱に、さくさくの揚げ玉を添え、
ふわっとした揚げ玉のコクの、味の変化の旨さ 。



そして…、これが嬉しい蕎麦寿司。

こちらの蕎麦は極細できりっと巻かれ、
胡瓜とでんぶ、穴子と見事なバランス、
素晴らしく美味しい



蕎麦寿司をほおばり、汁をすすり、
二人ですっかり汁まで飲み干して…

ご馳走様でした〜

ああ、さすがの「車家」。
空間の心地よさに、納得の味に接客。
改めて…、八王子に「車家」あり、と…

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