神様の心憎い演出かと思うほど、言葉には言い尽くせないほどうれしかった出会い。
緊急入院を余儀なくされた私に、初めて声をかけてくれた女性。
素敵に年を重ねたような、かわいらしい奥さん。彼女が退院するという前日、「遠いから・・」と、控えめに何人かの人に渡していた名刺を私も頂き、目を落とした瞬間の、高まる鼓動と、どうしようもない程興奮した気持ちを今でも思い出す。
そう、突然大好きな蕎麦から切り離された、私の手の中の名詞には、「蕎麦屋」の文字。
あの夜、興奮しながら、彼女としばしの蕎麦談義をしたのが、つい昨日のよう

やっと、回復しつつある姿を見せられる・・・と、彼に頼んで車を狭山まで走らせる。
狭山市駅前すぐにある、彼女のお店。

「十割そば・うどん みぞろ木」
そうそう!みぞろ木さん♪
車を止めるほんの時間さえもどろかしく感じながら、はやる心を抑えながら店内へ・・。
鮮やかな暖簾をくぐり、店へと足を踏み込むと・・
はぁ 、ご主人と手作りで作れたような、ログハウスのような温かみのある空間。
全体が木で覆われた店内は、どしりとした一枚板の大テーブルを囲んだ席と、4人がけのテーブル席が3つ。
お昼の時間も過ぎようという時間・・、厨房に一番近いテーブルに座らせて頂き、しばしお互いの足の状況と、一緒に入院していた友達の話などなど。同じ時間に、同じ痛みを持って寝食を共にした同士を前に、筆舌に尽くし難い思いが湧き上がって来る・・。
では♪と、お蕎麦を。
こちらのお蕎麦は、二八で打たれた「田舎」と、十割の「さらしな」「挽きぐるみ」「十割そば」、そして狭山の地粉で打たれた「手打ちうどん」。
彼女の提案もあって、「さらしな」「挽きぐるみ」「十割」の三枚を二人で頂くことに。
まずは、目の前に江戸前の濃い目のつゆと、どっぷりつけて~の薄めの汁の二種、刻みのりと薬味のねぎと山葵、そして切干大根の小鉢の乗ったお盆が置かれる。
待つ間に、ちょっと舐めてみるつゆは、上品に香る鰹の風味の美味しい辛口のつゆ。
まずは・・、「さらしな」と「挽きぐるみ」から。
おおっ 、こ、これは良さそう♪
正直言うと、蕎麦よりむしろ彼女に会うのが目的だったので、この美しい蕎麦にびっくり。
さらしなは、ピカピカと光り瑞々しくぴんっと張った美しいそば。
そして、「挽きぐるみ」は、粗挽き仕立ての、蕎麦の粒が豪華に散った、勢いを感じる細切り。
見ただけでうっとりしてしまう「挽きぐるみ」に顔を寄せると、たまらなく香ばしい香りが漂う。
たまらず口に含むと、しっかとした腰が葉に返り、同時に滋味なる蕎麦の懐かしい味わいがいっぱいに広がる。時折掠めるざらつき感が、たまらない。
濃いつゆにちょいっとつけても、薄め(とは言えしっかりとした味わい)のつゆにどっぷりつけても旨い!
と、横で彼がしきりに、「さらしな」美味しい!と言っているので、さらしなへ・・。
ぴんっと、張った蕎麦はその歯ごたえも、のど越しも申し分ない。
滑らかでありながら、かみ締めると蕎麦の甘みが広がる。
ふうむ、さらしなは、あまり好みではなかったけど、このさらしなも美味しい。つながりもむらのない切り幅も、これは・・。。
ほお~・・、と、期待以上の蕎麦にちょっと感激してしつつ、二種を食べ終える頃合を、ご主人がきちんと見てくださって、最後に「十割そば」。
薄いグレーの細切り。独学で打たれたというのに、この丹精な蕎麦は・・。
香り豊かなこの蕎麦も、たまらず手繰りよせる。
ああ、これは又・・。
心地よい腰を持ちながら、なんて優しい、たおやかな蕎麦。
喉越しのとても爽やかな蕎麦でありながら、もちもちとした粘りをも持っている。
なんでも、この蕎麦は「石臼で挽く」のではなく、「鈍つき」で丁寧についた蕎麦とのこと。だからこそ、滑らかでありながら、弾力のある蕎麦に仕上がるそう。
ほおぉ・・・、十二分に満足しながら、ナチュラルに白濁した蕎麦湯を注ぎ、このつゆの旨さを改めて味わう。うれしくなり、ご主人ともしばし蕎麦についてなどなどをお聞きする。
入院中は、あまり詳しく聞いてなかったが、もともとは彼女の作る陶器の器を生かしたお店を作ろうと思ったとのこと。それから、二人で蕎麦を食べ歩きつつ研究して、今年で5年と・・。
頂いた素敵な器のすべてが、彼女の作。
アトリエまで持った彼女の作品は、お店のところどころに飾られていて、どれもがとても素敵な作品ばかり。
いいなぁ・・、
こういう生き方。彼女の退院に添われた時、ちらと伺った時も、なんて素敵な旦那様・・と、思ったけど、今日改めてお会いし、あまりにダンディで素敵な方でちょっとドキドキ。
デザートに、と出された夕張メロンもとても美味しく。
ああ、飛ばしてでも又来たい・・とおもっている。いや、今度は電車で来てみよう!
特別な思いを持って訪れたけど、それ抜きにしてもお気に入りになってしまいそう。
ああ・・、よかった
今回の骨折は、今思い返してもたくさんの辛抱と辛い思いが多かったけど、こんな素敵な出会いもあったんだ・・。今日しみじみとかみ締める。
みぞろ木さん。再会できて、本当にうれしかったです・・。
今度は、松葉なしになって、お酒も頂きに~、又来ますっ
*お品書き
十割そば、変わりそば(日替わり)、挽きぐるみ 各895円、田舎そば 650円、
そばセット(蕎麦、天ぷら、ご飯、サラダ、お新香)980円、
まぐろ丼セット 1.050円、野菜天丼セット 980円、鴨汁そば 1.200円など
地鶏たたき 765円、馬刺し 765円、鴨スモークロース 580円、天盛り 630円など
手打ち 十割そば・うどん 器
「みぞろ木」
狭山市入間川2-1-17天竜ビル1階
11:30~14:30 / 18:00~22:00
月曜夜、火曜日休業 P有り
お店のHP
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いいなぁ、私も夜にも、又是非伺いたいと思ってるんです。
お蕎麦も美味しかったし、お料理、ぜひ食べてみたいです。
あと、Mrs.みぞろ木に会いに♪
地鶏のたたき・・、いいですねぇ~・・(^^)
面白いお店ですね。
横田ベース近くのバーみたいな雰囲気。
地鶏たたき、胸肉と腿肉の二種類をたっぷり出してくれて楽しめました。
お蕎麦も十割をいただきましたが、
美味しかったです。
夜は、近所の方がた一杯方々集まってくるようです。
今、もうちょっと筋肉がもどれば、なのですが、ここにきて、今度は足の甲が倍ぐらい腫れちゃったんです・・。クスン。
なかなか、すんなりとはいかないのです。やれやれ・・
ぜひぜひ、寄ってみてください。
あ、電車でも駅から近いので、清瀬に行く前にでも。
関係ないんですが、なつきさんの、「嫁ちゃん」っていうフレーズ、大好きです♪
んー、本当に神様でも、精霊でも、憑いてくれるなら、うれしいかもですっ。
あ、そういえば、お酒、出てないですねぇ。
ありましたよっ、もっちろ~ん。
今回は、車なので敢えて聞かなかったのですが、瓶がいっぱい並んでましたもん♪
(それに、私も次回は・・・^^v)
すぐ傍にね~(2点)。
メチャクチャ美味しそうです。
お店の雰囲気がまた抜群ですね。
嫁ちゃんの実家(清瀬)のついでに行けないかなぁ。
普段電車で行くことが多いのが難点ですけど。(^^;
これほどのお蕎麦屋さんの方とは...
やはり、yukaさんには、蕎麦の神様が付いて(憑いて?)ますねぇ。
ちょっと質問です
お店のHPのお品書きには、
おつまみが書いてあるのに
お酒は書かれてませんでしたが、
お酒は、置かないお店なのでしょうか?
→ yuka (05/26)
→ ここ (05/24)
→ yuka (05/23)
→ yuka (05/23)
→ yuka (05/23)