さて・・・、と、ふいに想いが駆け上るかのように、咄嗟に電話をしていた、昨日。
行って見たい・・・と、何年も思っていてまだ、訪れていなかった、恋焦がれていたお店、「雙柿庵」。
平日ということもあり、難なく予約が取れて、うきうきしていたっていうのに、今朝はこんな日に限っての、雨模様・・・。
いや、それも結構いいかも、と大好きな本を携えて向かう。

バス停すぐ近くの小道の入り口に、貧相に立てられた看板を目安に、ドキドキしながら、山里のような風景を眺めながらゆっくりと進む。
ふいに、ほんのり明かりが見え、
ここもまた、ほんとうにさりげなく、
風景に溶け込んでしまいそうな看板。
ここだ・・・


回り込むと、
小道のようなアプローチは、
やはり、自然のまま・・・、
期待と緊張した気持ちを抑えながら。。

この周りに広がる自然の中に溶け込んだような、まるで草庵のように静かに静かにたたずんでいる。。ずっと、あこがれ続けて・・・今目の前に。
地酒と蕎麦 「雙柿庵」
ちょっと緊張しながら、この看板も何もない、いわゆる店とはかけ離れた・・その、御簾の奥の扉を引いて店内へ。
ほの暗い店内は、しっとりと、そしてまったりとした、なんともゆるやかな時間が、ここだけ流れているかのような・・・、不思議な空気。
一歩入っただけで、現実からちょっと逃避したような、そんな感覚を覚える。
すぐに出てきてくれた、テキパキとした楚々とした花番さんに名前を告げると、すぐ、
「お待ちしておりました」と、気持ちのいい笑顔で、ちょっと仕切られた個室に案内される。
4人分は悠にあるテーブルに、「予約席」とカードが立ててあり、たった一人なのに・・と、なんかとても贅沢な気分になってしまう。
まるで、心行くまで憩ってくださいな・・と言って貰っているかのような。。
垣間見える隣の広間では、先客の方々がすでに、楽しげに憩ってるのが伺え、BGMがない空間に、それがちょっとしたBGMに感じられる。
「お飲み物はどうしましょう・・」
と聞かれながら出された、お酒のメニューに目を通し、「田酒」「愛の澤」「今月のお酒」(濁りとのこと)の中から、「田酒」をお願いする。
「グラスにでもできますが・・・」と、気を使ってくださったけど、せっかくだもん!しっかり一合を 。
そして、食べる進み具合を、適宜に見て出された品々。。
「焼き味噌に蕗味噌添え」
西京味噌かな?の中に、蕎麦の実、ネギなどが練りこまれ、丁寧に焼かれた一品。そして、ほんのりと柚子の香りのする蕗味噌で、これだけでもお酒が進んでしまいそう。
「ブロッコリー寄せ」
ブロッコリーを、ほろりとするように卵で寄せた一品。
小海老を盛り、京風の餡がかかり、やさしく繊細な味わい。
「鯛の造りと菜の花」
さっと出汁をくぐらせてあるのか・・・、そのままで山葵を添えただけで楽しめる一品。
菜の花も素の味を大事にした、さっぱりとした下味もとても上品。
「鰊煮」
ほかほかで出され、これが・・・、ひっじょ~に美味しい!
ふんわりと、柔らかく煮込まれ、その味付け具合がたまらなくいい。共煮された大根の柔らかさも、含まれた味も、申し分のない一品。
「鯛と穴子の蕎麦寿司」
鯛は塩味でさっぱりと、そして、穴子はほんのりと甘めの味加減が、しっかりと絞められた酢の風味の蕎麦にとてもおいしい・・。
添えられた赤カブ、山葵の醤油漬けも、叉とてもおいしい物。
そして最後に「出し巻き玉子」
ふんわりとしていながらジューシー。
返しを含んだ、やや甘めのある玉子焼き、私のとても好きなタイプ。
たっぷりと添えられた大根おろしがこれまたおいしく・・・
ゆっくりと時間をかけて頂く。せかされることもなく、許されたこういう時間というのは、なんて贅沢なんだろう。ゆるやかと流れる時間を思う存分楽しみ・・、
そして、待ち焦がれていたお蕎麦に。
薬味とつゆの張れたそばちょこがまず出され、そしてお蕎麦がくる。
ん~・・・ なんて、好みの感じなのっ。細切りの、挽きぐるみのグレーの蕎麦には、贅沢に蕎麦の星が覆われている。そして、ひとつひとつの蕎麦がぴんと息をしてるかのような、存在感がある。
顔を近づけることもなく、強烈な蕎麦の芳香がたちこめ、それだけでもうっとり。
口に含むと、そのとたんに蕎麦の滋味なる香ばしい風味がいっぱいに広がる。しっかりとした腰を持ち、粗挽きではあるが、たおやかさも含め持った・・・、
素晴らしい味わい、舌触り、そして喉越し。
多少短めな部分はあるにせよ、この蕎麦は絶品と思ってしまう。
つゆは、はじめそれだけで口に含んだとき、返しを含んだ濃い目の辛口の中に、どこか酸味・・というか、クセ?のようなものを感じたが、蕎麦と合わさると、不思議と非常にいい。
そして、この山葵が叉・・・、すこぶるおいしい山葵。
さらりとした、白濁した蕎麦湯を飲むと、
とてもとても幸せな気分と共に、
食べ終えてしまったのを、惜しく思ってきたりさえも。。
一息おいて、最後に出されたのが、
これまた意表をついた
「お抹茶」。
これで、ふと、〆・・・
2時間近くかけて、ゆっくり寛がせて頂いた時間も
・・エピローグ。
いろいろ、晴れないこともあったけど、なんだかここに座っていると、そういうことさえも、どこか遠くへ行ってしまったかのような、そんな静かな時間を、心から楽しませて頂き、感謝したいような気持ちで一杯。
ごちそう様でした・・、と席を立つと、初めてご主人が、顔を出してくださる。どんな方なんだろう・・と、思っていたご主人は、おだやかな、そしてちょっとシャイな感じの、まるで文学少年の面立ちを残したような方。こういうご主人だからこそ、この地で、そしてこういうたたずまいのお店で・・、となんだか納得してくる。
丁寧に挨拶をして頂き、店を後に。。
あれは、なんだったんだろう・・。なんだか夢の中でのひとときだったかのような。そんな、ぼんやりと夢うつつの気持ちで、再び駅へ。
電車の中で・・、夢の続きのように、心地よい眠りが~・・・.。oO
*お昼の蕎麦膳 3,000円
地酒と蕎麦 雙柿庵
西多摩郡日の出町大久野1487
042-597-3802
11:00~売り切れじまい
水・木休 P3台
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楽しまれたようで・・・♪
そう、意外と近いんですよん。わたし、帰りは歩いて駅まで(当時は)行っちゃいましdた。
季節を変えて・・
又、訪れたいと思ってるんです~。
思ったよりも遠くなかったです。
やはりよかったですね!
記事が遅くなりましたが、
アップしましたので、
TBさせていただきます。
あの独特な雰囲気、そして蕎麦。
いつまでもあってほしいです。。
ありがとうございます。
そうなんです・・。こんなことになってしまって、
仕事の方も、しばらくできなくなってしまって、とてもがっかりしてたところなんです。
でも!はいっっ!
今、本当に一生権命リハビリやってて・・・、また、元のように駆け巡りたいです。
コメントありがとうございます。
うれしかったです・・・。
Yさま
ありがとうございます。
よくなって・・、ばったり出会いたい、そう思っています。。
入院とのこと、びっくりしてます。
でも蕎麦が恋しそうなので、回復は間近かかなっと信じています。
ミニヒマワリのように小さくても明るく、山百合のように可憐でも力強いYukaさん・・・元気いっぱいになって、かけ一杯もり一枚!
はい・・・そうなんです。
なんともはや・・・(^^;;
そうなんですそうなんです。
院内生活もそろそろ一週間・・・、
禁断症状でへとへと~。
でも!コメントありがとうございました。
いつも楽しみに、拝見させていただいています。
院内では、大好きな蕎麦も食べられなく、さぞつらい思いをしていると思いますが、無理をされないよう、しっかり治して下さい。
しばらく、ブログがupできませんが、みなさん、どうぞご心配なさいませんようお願いいたします。
週末にお見舞いに伺い、また私がおってyukaさんの近況をかわりにお知らせいたします。
つまり、行ってみれば分かるんですけど。
(雰囲気を大事にしているってことか、都会?でもコレで大丈夫ということか?)
ちょうど、暑い盛りだと、土日といえども
人が行かないから序に多分イインだな。
もちろん、秋も良いですよ。なんか昔の小学校時代の、それも教員室の雰囲気があるよね、アノ部屋。
やっと、行ってきました。いつも、花まきさんの日記読んでて、指くわえてぼぉ~っと読んでたのですが。
はい・・・一人で(^^;。
優雅にテーブル独り占め・・・(汗笑)
花まきさんの、日記のひとつひとつを思い出しながら・・・。
叉、私も行きたいです。春や秋なんて、格別なんだろうな、って思っちゃいました。
そうそう、あれ、片手で取りました~。
お久しぶり。そう、歩こうって思ったら、丁度バスがやってきたので、乗っちゃいました。
雨降りだったし。
帰りは歩いて駅まで行きましたよぉ~。
(下りだし・・)
つるつる温泉は、昔行ったことあるのですが、叉行ってみようかな・・・
春になったら、叉、さぞかしいいんだろうな、って私も思いました♪
駅からバス? 歩いても15分位ですよ(登りだけど)
花番さん? 何時からそんな人居るの?
こんどは「つるつる温泉」まで足を伸ばしてください。
>そりゃ、石臼まわして~・・(なーんて)
ユカさん、けっこうデキマスね!
「もとおか」さんは、○川市の高額テナント料に参ったようです・・・。
そんなに大した町ではないのに(失礼)・・・。
最悪ご自宅で再開したいと仰ってましたから、これっきりという
ことはないでしょう(と願いたく)。
今月中にはもとおか、再訪したいです。では。(そーしあんに関係ありませんねえ)
わたしも、ずっとそうして思ってきたお店だったんです。
是非・・、機会みて行かれてください。
よかったです!
やはり素晴らしそうですね!
とても、ゆっくりと、貴い時間をすごせました。
恋がれた場所で、夢見てたお蕎麦で。。
夢のような一日になりました・・・。
でも、んー、上回ってるかも。。
それより、「もとおか」さんがっ??
なにか体調をお壊しになったのかしら。。えっ、残念。。
来月は、再開するのかしら。。
「悟空」さん、まだうかがってないんです。
えっ??石臼挽きの粗挽きっ(^^♪♪。
これは、すぐにでも行きたいじゃないですかっ。。
んー、すごいうれしい情報、ありがとうございます!
>(まわしものだな?)
そりゃ、石臼まわして~・・(なーんて)
鯛の菜の花造り、器は黄瀬戸のようですね、鰊の鉢は欅、そのたびにきっと器を変えている、
穏やかな時が、お蕎麦と一緒に流れて寛げましたか?
何かうれしそうに思えて・・・
お蕎麦を湯もりでいただいても美味しいですよ(なおさら)。
シャイなご主人は○川市無○で修行された
とか・・・。ちょと加藤ゴーを丸く仕立てたような・・・?
今は修行先を些か超えた境地におられるか(良い方向で)と思います。あれくらいでやるのが本来いいのでは?と思いますが、関係ないですけど、先の○川市の「もとおか」が今月中に一旦閉店に・・・。
(寂しい、ヒジョーに~)
また、小平市学園にある「悟空」では、石臼挽きの粗挽きを提供し始めました。
手挽きです。(なんか両腕で臼を抱えて廻してるそうです。)
軽井沢から取り寄せたという臼が、で~m
とばかり狭い打ち場に鎮座ましまし、です。
二八を裏切る風味です。
あっ;;、・・・そうしあん、好きですぅ。
(まわしものだな?)
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