きんっと刺すような風に凍え、
扉を開くと、温かく迎えてくれる花番さん。
年月培った木々の温もりに、静かに流れるジャズBGM。
幾つにも分かれたフロアで、
皆それぞれ穏やかに寛ぐ中…、
暖炉の置かれた一角に通して下さり、
ひざ掛けを出して下さる配慮がうれしいな 、
目の前に広げて下さった品書きから、
まずは、プレモル小瓶でそっと乾杯 。
お通しは、ほっこり浸し豆。
つまみながら、定番の一品料理の品書きに、
季節メニューを交互に眺め、
幾つか選んでお願いすると、
まず届いたのは、狭山の「無庵ファーム」で採れた、
「聖護院大根の炊いたん」。
大振りの大根、丸々半分、
上品な出汁で炊かれ透け、さっくり柔らか。
添えられた、唐辛子味噌を添え、
大根そのものの繊細な味わいに、
早速、お酒 。
東京五日市の地酒 「喜正」 純米吟醸、
すっきりとした飲み口の清い味わいがよく…、
お願いして頂いた、コースの中の、
「季節の点心盛り合わせ」ミニバージョン 。
盛り付け彩りが美しいお料理は、
「青柳と菜花の酢味噌和え」に、
目に艶やかな、「野沢菜の赤蕪和え」、
骨まで柔らかく炊かれた、「もろこの佃煮」に、
「能登の白菊」の大吟醸酒粕で作られた、
山葵がしゃきっとした「山葵漬け」。
どれもお酒をそそる充てばかり、くいくいと盃重ね…、
い~い匂いがふわ~、ぐつぐついい出された、
「あい鴨 柳川風」。
薄切りの鴨肉は食べやすくたっぷり。
鴨出汁の染みた牛蒡に、
ところどころ半熟のとろとろ玉子 。
これには熱燗、「白隠正宗」を燗して頂き 、
追加でお願いした、「焼き味噌」(ミニ)。
最後に、これも食べておきたく頼んだ、
「季節の蕎麦豆腐」は海老バージョン。
春らしいピンクの甘エビに、胡麻だれが絶妙。
「天寶一」(純米吟醸)でしっぽりと味わって…
尽きることのない話に、いつの間にかラストオーダー、
慌ててお蕎麦を注文。
季節の「暮坪蕪のおろしそば」と「碾きぐるみ」。
頼むとまず出された薬味、
「碾きぐるみ」の山葵に葱に、
「暮坪蕪」のたっぷりのおろしが出され…、
「せいろ」に「碾きぐるみ」が続いて到着~ 。
蕎麦は、八ヶ岳産石臼挽き。
「せいろ」でも、蕎麦のホシ散る粗挽きそば。
…ん?お蕎麦変わった?
以前のほろりっとした、たおやかな蕎麦が、
キリっとして凛々しく、これはいいっ 。
「碾きぐるみ」は、淡いグレーの細切りにホシが散る、
繊細で上品、かつ野趣に富み、
手繰った途端に広がる香りに、
喉落ち込み上げる、豊かな蕎麦の味。
久しぶりの無庵の蕎麦は、間違いのない旨さ 。
出汁円やかなもり汁が又実に美味、
そこに、暮坪蕪のおろしを加え絡めたら…
くー、辛っっぃぃ 。
辛味大根に匹敵する、キーンっとした辛さだが、
後味はまあるく、次第に甘みとなり、
その中で蕎麦の香ばしさが引き立ち、
くぅ~、これ、クセになる~ 。
それぞれの蕎麦で、暮坪蕪おろしを楽しみ、
熱々の蕎麦湯を注げば、蕪の柔らかな甘みが広がり、
注ぎ注ぎ、余韻に浸り…
ご馳走さまでした~
入った時から帰るまで、
一切の落ち度のない「おもてなし」、
贅沢なひと時を頂ける、それが無庵。
味だけではない、居るだけで寛げる、その良さを感じつつ…、
ああ、まさに、「立川に無庵あり」 だ 。

「蕎麦懐石 無庵」
立川市曙町1-28-5
042-524-0512
11;30~14:30 / 17:00~21:30
日曜、第1月曜定休日 禁煙
お店のHP 品書きなど
2013年 8月12日 「お昼の蕎麦遊膳」
2013年 4月 4日 「お新香」に「せいろ」と「挽きぐるみ」
2011年 5月24日 夜の無庵を堪能 「辛味おろし」「天せいろ」「挽きぐるみ」
2010年11月 3日 「漬物」に熱燗、「せいろ」に「挽きぐるみ」
2009年 3月11日 「無仙人の蕎麦遊膳」
2008年11月17日 「お昼の蕎麦遊膳」
2007年11月15日 「季節の点心」で蕎麦前、「生粉打ち蕎麦」
2007年 4月23日 「季節の点心」で蕎麦前、「せいろ蕎麦」
2005年 4月18日 「せいろ蕎麦」
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それはそうと、チキンストロガノフもぜひ♪
根津のお店にも行ってきました。(去年)
http://chibiyukarin.blog4.fc2.com/blog-entry-3192.html
写真が一切禁止とかで、
文字だけになっちゃいましたが…。
私は、五日市にいて欲しかったです(:_;)。
それはそうと、
先日早速行ってきて、事の次第を詳しく聞いてきました。
女将さんが、
「あの時のgunさん、すっごくカッコよかった!」
って言っていましたよ~(^^)。
結構大変な事になっていたんですね…。
(どこの話か分かりますよねっ)
しかし、土家さんに入れなくて無庵っていうの、
なんか…(^^;;
いつか絶対行きたかった雙柿庵が根津に引っ越
してしまったという話。残念すぎてへこみました。
大根、夕顔人参どれも歯ごたえや出汁の浸み具合が完璧
で高級感ありますが、味加減は普通な感じで。贅沢な雰
囲気だけにやはり割高感は強いなー。
お蕎麦はさすがに美味しいけど、やっぱり土家さんの
方が好み。
ここが長いというホールの男性が色々教えてくれまし
た。店の野菜畑は所沢の三ヶ島あたりにあって、主人が
ほぼ一人で作ってるとか、もともとこの店が自宅だった
のを東大和の雑色あたりに引っ越したとか。
土家さんのルーツを辿って無庵を訪れるお客さんが多
いとか。土家の予約が取れないというクレームを無庵に
してくる客がいたりとか。笑)
いえいえ…(^^;;
これは、たまたま光が入ってくれただけ、なんですよ~ん。
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