がらがらと音のする、年期の入った引き戸を開くと、
さすがのこの時間、お客さんは一人、
ビール瓶を前に、のんびりと新聞を広げてる 。
「いらっしゃい」と女将さん、
厨房の中から、ご主人もにっこり。
変わらずお元気そうな笑顔が、うれしいな。
すぐに出されたお茶を頂きながら、
置かれている品書きの、表裏をざっと眺め、
ざっくらばんとして長閑な、この空間が心地よく
とにかくまずは、蕎麦前。
お願いした「五百万石」は、
骨董のような徳利に猪口で。
「はい、お通し、これ『そばからあげ』」
カリっと軽い、揚げ蕎麦が添えられ…、
続いて、充てに頼んだ、「からすみ」も。
新聞のお客さんとご主人のかわす、
あちこちに飛ぶ話題を楽しく聞きながら…
「つけとろ」、「つけひな鳥」と悩んだけども…、
久しぶりに、ご主人の変わりそば、食べたいな。
「三色そば?、ここにあるのから好きなの選んでね(^^)」
いろいろ悩んで選んだ三色を、ようやく注文~。
頼むとすぐ、女将さんから、薬味にもり汁が出され、
さっと、きりっとした職人の顔になるご主人。
そして程なく置かれた、三つ筋に盛られた、「三色そば」。
敢えて「もり」以外を選んだ、
「芥子」に「ダッタン」「しらゆき」。
艶々ぴかぴか、透けるような「しらゆき」、とても美しい 。
手繰り口に含めば、ぷりっとした腰、・・・ではなく、
ふわっと解け、その途端、喉元から消えゆくはかなさ。
ふんわりとした甘い蕎麦の余韻を残し…
ああ、いいなあ、この「しらゆき」 。
続いて、大好きな「芥子切り」。
手繰り、口に含んだ途端、
ぱあっと芥子が弾け、実の香ばしさが口を満たす。
甘く香ばしく…、これは美味しいっ 。
これまで食べた芥子切りの中で、一番かも 。
汁を付けることすら忘れ手繰り…、
最後は、黒々とした「ダッタンそば」。
苦味は全くと言っていい程なく、
むしろ、蕎麦の甘やかな香ばしさがじわ~り。
食べやすい上に、風味も濃厚、これもいい 。
甘めのもり汁は、どの蕎麦にも合い、
最後に、熱々さらさらの蕎麦湯で、たっぷりと頂いて…
ご馳走さまでした~
肩肘はらず、実家に帰ったような、のんびりほっこり。
見送ってくれた、あったかなご主人の笑顔が忘れられず…
久しぶりに訪れたけど、「一栄」さん、いいなあ。
今度、あったかいお蕎麦も食べてみよう 。

「手打そばうどん 一栄」
豊島区東池袋3-9-5
03-3987-7051
11:00-16:00
日・祝休
2011年11月 9日 「からすみ」に「つけひなとりせいろ]
2008年 7月 3日 ビールで「からすみ」「つけとろそば」
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