もうすぐ2時、昼の混雑を過ぎた店内は、
テーブル3卓に、厨房を囲んだカウンターの、
小気味よくまとまった、すっきりとした空間。

先客は一人のみ、馴染みのお客さんのよう。
親しそうに話している中…、
「お好きなところにどうぞ」
感じ良く迎えてくれた、爽やかな笑顔の素敵なご主人。

おずおずとテーブルの椅子を引き、
ほっとしつつ、雨に降られて、とにかく寒くて…
「あの、お酒いいですか？」
とお聞きすると、

にっこり手渡された、お酒のメニューは、なんと３枚 。



「冷酒」 と記されたお酒に、





冬だからかな、それともご主人の好みかな 、
「燗酒」の品は２枚にずらりと書かれ…、

うれしいな、「日置桜」がある 。
すぐに決め、熱燗で注文～。



頼めばすぐ出された籠には、
作家物かしら、素敵な陶器の猪口がいっぱい。



楕円にゆがんだ平盃、中は薄紅の猪口を選び、
程なく届いた「日置桜」をそっと含み…、

一緒に渡された、手書きの品書きを手にすると、



うわあ、これはすごいっ 、
びっしりと書かれたお料理。

さらに、置かれていた綴りを開くと、



まずは、冷たい蕎麦が幾つも書かれ、



温かい蕎麦、これも豊富



さらに、「おすすめ」との、季節の蕎麦に、ご飯もの、



レギュラーの「一品料理」だけでも、充分豊富。
さらに、壁には、「肉豆腐定食」や「掻き揚げ丼定食」などなど、
も～う、どれを頼んでいいのか、パニック～っ。

とりあえず、目に留まった、
「手挽き粗挽き」があるか確認すると、
さすがにもう終わってしまったそうなので…

一人だし、天麩羅に小鉢の付く、
表にあった「本日の日替わり膳」にしようかな、
とお願いすると…

「すみません、ご飯も終わって、ないんですが…」
と、再びすまなそうにご主人。
大丈夫、お蕎麦があれば全然オッケー、お願いします 。



お蕎麦はお声かけで、のお願いもすんなり、
程なく届いたお盆には、
「豚肉ときのこの掻き揚げ」に、冷奴、それに沢庵。

熱燗に、さっぱりとした「冷奴」は言うまでもなく 、



豚肉と言うのは珍しい「掻き揚げ」には、塩が添えられ、



衣薄くさっくり、薄切り豚肉は柔らかく、
なるほど、豚肉掻き揚げ、これはなかなかいいアイデア 。

しゃきしゃきしめじと豚肉の相性もよく、
ゆっくりと熱燗で味わって…、

ようやく、お蕎麦のお声かけ 。



頼めばすぐ、出された蕎麦は、
笊にちょんっと盛られた、かなり細い極細の蕎麦。



顔を寄せれば、ふっくらとした香りがふわりと広がり、



手繰った蕎麦は、ピンっと張った、
固めのしっかりとした腰に、しゅっと落ちる軽快な喉越し。

噛みしめる毎に、香ばしい豊かな味わいがあり、
「満志粉」さんの蕎麦とは違うけど、この蕎麦美味しい 。

しかも、汁が又いいなぁ。
鰹がふわっと香る、角のないまろやかさ 。



さらさらとした蕎麦湯を注ぐと、すぅ～っと雑味なく伸び、
しみじみと美味しく、何度も何度も注ぎ頂いて…

ご馳走様でした～

すっかり蕎麦街道の神楽坂、
それぞれ全く異なる魅力があり、これが楽しい。
是非、ご主人の手挽きの蕎麦も食べてみたいな 。

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