扉を開き入れば、忙しくしながらも、
癒されるような笑顔で、迎えて下さる山中さん。

テーブル席では蕎麦前を楽しんでいるお客さんがあり、
我々3人、カウンターに並んで腰を下ろし、



蕎麦前は何にしようかな、と見ていると…



「寒かったでしょう、燗付けておきましたよ（＾＾）。」
すっと出して下さった、熱燗一合。
ご主人、嬉しすぎですっ 、



「磯自慢」の燗酒は口あたり柔らかく、
冷えた体にじわりと染み…。

添えられた、「野芹」のお浸しに、
「切り干大根の牛蒡巻き」がしみじみ美味しい。



しかも、ほかほか湯気立てた、
大根とがんもの煮物まで 。



これに、好きなお酒を各々追加。
私は、今度は冷やで、「磯自慢」の純米吟醸 。



続けて、「きぬたや」さんお決まりの、
蕎麦湯に浸った、「蕎麦刺し」も 。



今日打たれている蕎麦の、三枚の蕎麦刺し。
もちもちとした蕎麦刺しは、そばがきとは又違う魅力があり、
一枚ごと微妙に味わい異なり、とても楽しい。

カウンター越しに、ご主人を交えての会話も楽しく…



いよいよ、今日打たれているお蕎麦、５種類。
順番に出されたお蕎麦は…、



1枚目、福井　福井在来種　「ひこべえ」挽き　＃40



すぅ～と鼻孔を過るのは、清々しく青い香り。
爽やかな喉越し、爽やかな味わい、
優等生の姿を思わせる、素直に美味しさが伝わったくる 。



2枚目は、三芳　常陸秋そばのヌキ、「ひこべえ」挽き #40



ん～、これは甘やかな、い～い香り。
さっぱりとしてふっくら、もっちりとした粘りに、
噛みしめるとじわ～と広がる、芳ばしき甘み 。



続いて3枚目、雲南　横田の小蕎麦、玄そば手挽き　#32



むわっと広がる、深く渋みのある香り。
もちもちとした粘りも強く、
手繰るうちに、大豆に似たミルキーな風味が口に広がる。

これっ、美味しいっ



4枚目は、赤城　深山のキタワセ　ヌキ実の手挽き　#24
去年の蕎麦で、この鮮やかさはすごいっ



馥郁とした実に豊かな香りに、もっちもっち。
口いっぱい広がる香ばしさに、ふっくらとした甘みが追いかけ、
これも、素晴らしく美味しいっ

「きぬたや」さんの蕎麦は、繊細で軽やかで、
するするっと、いくらでも入ってしまう。
あっという間に、4枚たいらげ…



とうとう最後、5枚目は、辛味おろしが添えられた、
対馬　対馬そば　玄そば手挽き　#24



手繰り上げた途端に押し寄せるような、
ふっくらとした豊穣たる香りに思わずうっとり 。

もっちもっちの歯ごたえに、心地のいいほのかな粘り、
と思った瞬間、ふっとはかなく喉元に消え、
甘く香ばしい、力強い穀物の豊かな味の余韻を残す。

くぅ～、これは美味しいっ



キーンとした辛味大根おろしを添えれば、
辛さの中から、じわじわどんどん風味が押し寄せ、
すっかりこの蕎麦に没頭～

鰹出汁香る、すっきりとした汁が又美味しく、
ほんのと濁った蕎麦湯をゆっくりと頂きながら…

「きぬたや」さんの蕎麦を食べると、いつも感じる、
なんとも言えない、優しい心地 。

穏やかな口調で話して下さるご主人の言葉に、
3人で、ほっこり癒されながら…

ご馳走様でした～

「せいがん」さんとの再会できた事もうれしく、
いいなあ、お蕎麦を通じて繋ぐ人の輪。
私も又、岐阜にも訪れます

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