がらがらがらと引き戸を開けば、
明るく清潔感に満ちた、すっきりとした店内。



囲炉裏風大テーブルに、テーブル席、
横には、ゆったり寛げそうな小上がり３卓。

「いらっしゃいませえ～」
ちゃきっとした明るい花番さんの声に迎えられ、
囲炉裏風テーブルの隅に腰を下ろし…



まずは、仕事明けの一献。
すぐにお願いした「黒龍」の熱燗一合。



程なく出された熱燗は、すらりとした白磁の徳利に、
飲み口薄い揃いの猪口、これがいい 。



添えられた「蕎麦味噌」は、ほんのり甘めでこってり。
カリカリの蕎麦の実がとても香ばしく、
美味しいな、別で注文したい程 。



落ち着いてきたところで、じっくりと品書きをめくり…
野菜物が食べたく探した「お新香」はないようで、



中から、お願いした「トマトサラダ」は、
盛り付けも美しく、美味しそう 。

旬を外しているとはいえ、好物のトマトはトマト、
さっとかけた中華ドレッシングに、
蕎麦屋ならでは、散らされたのは刻み海苔に紫蘇千切り。

うんうん、これはいいなあ、
すっかり寛ぎしっぽりと熱燗を傾け傾け…

お蕎麦は何にしようかな 。



冷たい蕎麦も暖かい蕎麦も、さすが藪系統、豊富に並ぶ。
久しぶりに、あの濃く辛いもり汁でさっと「せいろう」を、
とも思ったが…



座った時から気になっていた、目の前に置かれたこの品書き。
以前頂いた、「天ぬき」の美味しさを思い出し…

「天ぷらそば、お願いします 」



奥からチリチリと聞こえる揚げ音に心躍り、
程なく出された丼は、うれしくなる素敵な景観。



ふっくら揚がった掻き揚げの、羽毛のごとき繊細な衣は、
まるで芸術品のよう 。



まずは汁を、と蓮華を入れれば、
汁が動いた途端、パチパチっと衣が音を立て、この音もご馳走。

耳で楽しみ口にする色濃い汁は、見た目程濃くなく、
甘さ控えめのすっきりとした、出汁がまろやかな旨汁。
ん～、美味しいなあ…

しばし蓮華をおけず、汁を堪能し、



中の蕎麦を手繰れば、かなり細めのしゃきっとした歯ごたえ。
熱々汁に浸ってもへたれぬ腰が心地よく、
喉越しもよく、するすると胃に治まって行く。



手繰っていくうちに、じわじわほろろと衣が崩れ、
その揚げ油のコク香ばしさが汁に溶けだし、
食べる間に刻々と移りゆく旨みが、とても楽しい。

さくっとした衣の良さを楽しみ、
ほろりと溶けだした衣が又旨い 。



中にはぷりっとした芝海老が幾つも潜み、
旨みがギュッと詰まりこれも溜まらなく…



すっかり夢中で手繰り、汁すっかり飲み干し大満足。

ご馳走様でした～

気になる種物がまだ幾つもあるし…
中休みはたった１時間だけ。
又、さくっと寄り道してみようっと

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