ちょっと前にそっと教えて頂いた、
志ま平さんで今、「こそば」を出している、という貴重な情報。
あの幻の「こそば」、それを志ま平さんが打っているとなったら、
どうしても食べてみたい、とお聞きすると、確かに今「こそば」だそう。
そうとなったら、あるうちに行かなきゃ!、と友人2人と、
牛込神楽坂に、こっそり灯る小さな行燈目指して…
初めて訪れた時は、一瞬億した、ずしりとした貫録ある蔵扉。
粋で風流な、ご主人らしいな…。
牛込神楽坂 「巽蕎麦 志ま平」
扉を開き靴を抜いで入った床の間は、
古民家の空気たっぷり、郷愁誘う、居心地の良さ。
カウンタの中からは、にこっと迎えてくれる、クリっとした目のお茶目なご主人 。
掘りこみのカウンターは座り心地よく、まずは…、ビール。
今日は特別、沼津の地ビールベアードビールがあるそうで、
頂いたこのビールが、とても美味しい。
香り華やかで、フルーティー、清々しいホップの香り 。
車で駆けつけた友人一人は、ノンアルコール。
ごめんなさいっ…
ビールを口にしながら、やはり、妙高の蕎麦かと聞いてみると、
なんとっ、妙高の「こそば」ではないそう 。
どこのか聞いても、にやりとしているだけの、ご主人。
「秘密」の「こそば」、「小粒蕎麦」なのだそう…
う~ん、もう待ちきれない、早速「こそば」を頂きますっ。
頼めばすっと釜前に向かい、目の前に置かれたのは、
謎の「こそば」で打った、手挽き粗挽き「深山」そば。
置かれた瞬間に、プンプン香り立つふっくらとした芳しさ。
粗い粒がびっしりと詰まった蕎麦は、もちもち感強く、
噛みしめると、ざらりと口肌をなでる粒の、ゾクゾクとする快感。
香ばしさに甘み、何よりも、香ばしさの密度の濃いこの味…!。
前回頂いた北海道の蕎麦とは全く違うっ、
こ、これは美味し~い
…と、続いてすっと出された、色の濃い「深山」がもう一皿。
「芳醇」との、同じ「こそば」の熟成蕎麦。
うわっ、何この濃い香りは~っ
むせかえる程濃厚な、豆系の甘みのある香りがむわむわ~。
噛みしめれば、香りと共に口いっぱい広がる、
甘く芳ばし、アーモンドとも小豆とも、何とも言えない濃縮した味に、
思わずのけぞりそうに成程の、魅惑的な味わい。
「ちょっと熟成の仕方を変えてみてね…」
とのこの熟成蕎麦の、危険すぎる程の強い香り味わいに、クラクラ…
お、お、美味しすぎるぅぅぅ~…
「これが、それを打った粉」
と見せてくれた、こそばの粉のこの粗さ。
まるで砂利、これを打っていたのか…と、
感心しながらつまみ舐めてみると、とても甘い。
ん~…、どこの「こそば」なんだろ~う…
と、「獺祭」を頂き、あれこれ詮索していると…
「今夜はいつもとはちょっと変えてみたよ(^^)」
と目の前にコンロと陶板が置かれ、
ど~んと見せてくれたお皿に盛られた、見事な鴨肉。
今夜は「鴨の陶板焼き」を用意してくれたそう。
一瞬鴨、大丈夫かな自分…と、やや不安は覚えたが…
でもこれは、ちょっと食べてみたい 。
「それを付けて食べて」と、
刻み胡瓜が混ざった、たっぷりの鬼おろしが目の前に置かれ、
カウンターから乗り出し、ご主人自ら焼いて下さる。
まずは、鴨の脂身でじっくりと脂を出し…
じゅわ~っと湯気立て広がる香りがたまらな~い 。
葱に椎茸も焼かれ始め…
程なく焼き上がったところを、さっと盛って下さった鴨は、
こんがりと焦げ目がつき、じわりと脂が滲み、艶めかしい 。
ではっ、と大根おろしをたっぷり添え口にすれば、
こっ、これは美味し~いっっ
脂身はカリっと香ばしく、さっくりと柔らか兎に角ジューシー。
繊細な肉質から、じわりと鴨の甘みさえある旨みが染み出し、
濃厚で芳醇、官能的な鴨の美味しさに、目が見開いたまま…。
友人達と目を合わせて、凝固…
その瞬間に、又小鉢に没頭。
こんな美味しい鴨肉、生れて初めてカモ…
鴨の脂をたっぷり纏った、とろりとした葱に、
身厚のどんこ椎茸の風味に鴨の旨みが染み、これが又たまらなく…
早速熱燗を頂き、舌包み。
さらに、繊細に包丁目の入った茄子に、
焼かれたえのきは最後にすっかり鴨の旨みを染み込ませ、
あっという間の夢見心地の甘美なひと時 。
たっぷりと鴨肉を堪能した後の、
すっと出された、べったら漬けが清々しく、
酒の充てに、としっかりとした味の「肉味噌」で、
さらにお酒をお代りし、話に花を咲かせていると…
えっ、目の前に置かれた瞬間、目がハート。
大好きな、自家製からすみ、大ぶりに切られ3枚もっ 。
西京味噌を混ぜて漬け込んだという唐墨は、
味わいまろやか、独特の風味に粒々感が口の中でざわざわと泳ぎ…
う~んっ、、、この唐墨も又、絶品~っ
島さんから、注いで頂き、もう感無量…
すっかり濃密な時間を楽しんで、
最後に「こそば」の「おせいろ」も食べて見る?
の言葉に、もちろんと、二つ返事でお願いし…
これも二種、打ちたての「おせいろ」に熟成「おせいろ」。
丸抜き、細挽きの「おせいろ」は、繊細で上品。
口にし噛みしめれば、はらりとはかなくふっと溶け、
ふわ~っと芳ばしさに甘みをしっかりと残していく。
ふっと抜ける香りがたまらなく、
志ま平さんの蕎麦は、どちらも本当に美味しいなあ…
熟成そば「芳醇」は、「深山」程の変化はないものの、
やはり甘みと芳ばしさの深みを増し、どちらも甲乙つけがたい。
こんなに食べた後だというのに、不思議とするすると入ってしまう。
最後に、柚子一片浮かべた蕎麦湯をじっくり頂いて…
すべてが心の底から美味しく、
楽しかったひと時をしっかりと胸に刻んで…
笑顔のご主人に見送られ、お店を後に。
ご馳走様でした~
志ま平さんのお蕎麦、毎日でも食べたいなあ
と、しみじみと、改めて…
*「鴨の陶板焼き」のコース 6000円

「巽蕎麦 志ま平」
新宿区納戸町33
03-5261-8381
12:00~14:00ごろ / 18:00~22:00ごろ
日曜休 (祝日営業)
禁煙
2012年 7月25日 「熟成そば」食べ比べ
2011年 5月20日 おまかせコース
2011年 4月27日 お昼に、前菜と「二色そば」
2006年 6月21日 おまかせお料理に「二色そば」
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何とかお礼したかったので、よかったです(u_u*)~。
鴨焼き、これもぜひ!
鴨って美味しいんだっ、と心底思わせられました。美味しいですよ~(^^)
先日はなんとかお伝えしたく、「志ま平」さんとは関係ないレポートへの非公開のコメントを使わせて頂きました。
「芳醇」を食べた感動が蘇りました。記憶が曖昧ですが、長野か新潟のものだとご主人かおっしゃっていたような。。。
鴨焼きも美味しそうですね。
12月頃から、正式に入荷予定とおっしゃっていたので、再訪しなくてはと思っていたところです。
ぜひぜひ(^^)、です♪
憧れのお店です。
いつかは志ま平・・・
手挽きを始めてから、なにかの殻が剥けたかのように、ぐんぐん志ま平さんのお蕎麦が進化しています。
この「こそば」もぜひ!
そして、さすが、禅味会出のご主人、鴨、すごいです。
これは、特別じゃないので(^^;ぜひ。
(鴨陶板焼きコース6000円)
鴨ってこんなにも美味しいものだったんだ…
と開眼させられました。
(でも、そちらの方が寒いのかしら…)
ぜひ!、こちらの鴨とお蕎麦を…。
自信を持ってお薦め致します。
お蕎麦とお酒って、なぜこんなに合うんでしょうね…(u_u*)~
これは食べなくちゃ!ですよっっ。
ちょっと前にDWさんが頂いていた、専門店より…おおっと。。
でも、ほんっと、これも同じく味が濃い!
謎のこそば、いや、小粒蕎麦なんですが、これもすごいですよー。
こちらにはちょくちょく寄っていますが、最近蕎麦のスタイルが変わってきましたね。
挽きを粗くしてみたり、熟成蕎麦を出したり、今回の「こそば」にも新たなものへのチャレンジの姿勢が見られます。
「鴨の陶板焼き」は‘yukaさん特別メニュー’なのでしょうか。
ご主人の笑顔に自身の程が窺えますね。私も一度頼んでみたくなりました。
誘惑に勝てません、きっと。
妙高までこそばを食べに行った記憶が蘇りました。(URL)
ほ〜んと!味が濃厚なんですよね、
なかなか外に出まわらない蕎麦なので
東京で食べられるもことは貴重ですね
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