大満足で「源平」を後にし、
まだオープンして間もない「栃木ロマンチック村」にちょっと寄り道。
どっさりと盛られた、地元新鮮野菜など買い物などしていたら、
そろそろ2時、昼の混雑も過ぎた頃かな、
と、次の目的地、程近くの「石奈多」さんへゴーゴー
山と林檎、野畑の広がる、全くの里山景色を進んで行けば、
お店の周りには、たわわに実った栗の木。
林檎園の真っ赤に色付いた林檎を眺めたりと、
長閑な田舎の風景を楽しみながら小径を抜ければ…、
垣根の間に見えてくる、
赤い屋根のどっしりとした、暖かみ溢れた古民家 。
巣鴨「菊谷」で料理長として働いてきた杉山君のご実家、
ご結婚され、若い奥様と一緒に実家に戻られ早ひと月、
お父さまと共に働く姿を拝見したくて…
栃木 「そば処 石奈多」
入口に置かれた「本日のおすすめ」品書きに目を通し、
ずっしりと重みのある扉を開けば、
入ってすぐの扉の裏には、以前はなかった石臼が鎮座。
杉山くんが戻られ、自家製粉に変えたそう
その先の三和土には、もうじき赤々と炭が熾るだろう、
立派な薪ストーブが置かれ、広々としたお座敷が目の前に広がる。
靴を脱ぎ上がった、しっとりと体を包むような築150年の古民家。
高い天井には、年月培った黒い木々の梁が、何本も渡され、
幾つもの傷が懐かしい太い柱に、人々の息吹感じる壁に床。
懐かしい骨董和箪笥に、郷愁誘われ、
昔のじいちゃんちの風景がふっと脳裏をよぎっていく…。
「いらっしゃ~い」と、にこにこと大らかな笑顔のお父さまに、
久しぶりに会う杉山君は、すっかり落ち着き男前増したよう 。
どうぞこちらに…と、用意されていたテーブルに腰をおろせば、
目の前の囲炉裏が又、ほのぼのとした心地にさせられ…
ごろん~っとこのまま、寝転んでしまいたい
と、途端に憩っていると、すぐに出されたお茶に、
添えられたお新香がとても美味しく、
早速、置かれていた品書きを手に取り開けば、
「10月より夜の営業始めました」
「東京のお店で修業した息子による、野菜中心の
酒の肴を、美味しいお酒の共に楽しんで頂けます」
の一文。
戻られてまだひと月あまりだというのに、
既に東京から何人ものお客さんがいらして下さって…
と、目を細めて話すお父さまの姿が微笑ましい
杉山君の人気の強さを感じながら、
お天気の中、ロマンチック村で遊んできて喉がカラカラ。
まずは、ビールをお願いすると、
かわいい奥様、若女将が注いで下さる。
すっと出された「突き出し」は、上品に盛りつけられた、
「えのきのおろし和え」に「菊花のお浸し」
この充てに、早速お酒が欲しくなり、銘柄を尋ねると、
さっと出して下さった、以前はなかった数々のお酒。
「書いてないんですが、福島の『写楽』もありますよ」
の言葉で頼めば、出されたお酒は、味わい深い骨董の酒器。
注げば、ぴゅ~っと小鳥の鳴き声が立つのが風流。
注ぐだけでも楽しく、これ、いいな~
とそっと口にし始めれば、
「夜のお料理なんですが、出来るものもあるのでよろしければ」
と見せて下さった、半紙に書かれた、杉山君の野菜料理。
お薦めを聞きながら、幾つか選びお願いしたのは…
栃木軍鶏の、好物の「鶏わさ」に、「鶉の味噌漬け」
ふわりとした歯触りに、甘みのある旨さの乗った、鶏わさが絶品 。
鶉の玉子の、黄身が半熟という細かな采配が施され…、
コリコリっとした山栗に、まったりと絡む味噌が酒をススませる、
「山栗と鶏肝のもろ味噌漬け」に、
柚子の風味というのが珍しい、「柚子風味の粉ふき芋」
定番メニューの中から選んだ「揚げ茄子」はたっぷり。
さっと揚げられ、とろりとした茄子はやっぱり旨いっ
「菊谷」時代からの、杉山君のオリジナル
「とんぶりの葛練り」を頂き、お酒もお代り 。
会津のお酒「會州一」は、これも細工が素晴らしい、クリスタル。
是非に、とお勧めされお願いした「そばがき」は、これはすごいっ。
丸抜き蕎麦粒をすり鉢で摺って練ったそうで、
これは、まるで蕎麦粒おはぎだっ。
出来たてほかほか立つ湯気は、むわ~んとたまらない香ばしき香り。
口にすれば、もちっとしながらもふわっと軽やか。
口中駆け回る粒感に、飲み込めば、いつまでの残る芳しき余韻。
ん~っ…、これ、ものすごーく美味しい 。
さらに、地元で採れたという、びっくりするほど大きな椎茸。
かぶりつけば、じわっと滴るような瑞々しさに、
濃厚な椎茸の味わいが広がり、これはたまらな~い 。
さらに「四季桜」黄ぶなのお代りもして、
久しぶりの杉山君のお料理にお酒をしっかり満喫。
いよいよ、お蕎麦を頂きましょう 。
と、昼のメニューお父さまのお蕎麦の品書きと揃えて眺め、
まずお願いしたのは、お父さまの打たれた、「会津のかおり」の二八そば。
三っつに分けて盛ってくれるのが、うれしいな 。
鼻先に寄せれば、い~い香り…。
しっとりと落ち着いた香ばしい香りに、二八ならではの喉越しのよさ。
もちっとした腰の歯ごたえも気持ちよく、
素朴でほのぼのとした良さ溢れた、美味しいお蕎麦 。
あっという間に手繰ってしまえば…
これも三等分して盛られた、息子杉山君の打たれた、
益子産常陸秋蕎麦の、十割蕎麦。
極細近く、端正に断たれた繊細な蕎麦は、洗練された輝きがあり、
しっとりとしたしなやかな腰に、噛みしめる途端に広がる芳しき香り。
ふっと消えるように落ちる清々しい喉越しに、
巣鴨からぐんっと磨きがかかり、これは美味しい 。
田舎の古民家で頂く、垢ぬけた清らかな蕎麦を頂いて…
さらに、もちょっと、とお願いした「玉子とじそば」
ふっくらとした玉子がたっぷり丼覆う、見事なとじそばを、
三人で取り分け頂いて…
すっか~り、お腹いっぱい、
とろとろ蕎麦湯をゆっくりと頂いていると、
いつの間にか、若女将が炉の前でお茶を点て始め…
最後に頂いたお抹茶が、ほおっと心に染みていく 。
添えられた、栗と南瓜の羊羹を頂き、
満喫した、古民家での昼下がり。
ご馳走様でした~
お父さまに、お二人の笑顔に見送られお店を後に。
父から息子へと次の代へと引き継がれ、
さらに飛翔し、生き続ける大切な何かを感じさせられ…
又訪れたい、ますます成長していくだろう、
新しいお二人に会いに…。
運転して下さったT様、そしてM様、ありがとうございました~
「そば処 石奈多」
栃木県宇都宮市石那田町1101
028-669-3033
11:00~16:00
火曜・第2、第4月曜定休
禁煙、Pいっぱい
お店のHP
2011年 1月27日 古民家で頂く、心に染みる料理に蕎麦
りんも早くも、いや、ようやく(?)2歳。
甘えん坊なのは、相変わらず…
ずっとずっと、一緒にいようね
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東京とは違って、繊細な野菜料理というのは、又田舎にあって珍しいものようで、近くのお客さんも徐々に増えてきているようです。
菊谷という枠から離れ、のびのびと仕事されているようで、安心しました。
お料理もますます、個性が出てきているように思います。
蕎麦も、手挽き、石臼挽きと使いこなしているようで、丁寧な美しい蕎麦でした。
交通の便は不便ですが、一度ぜひ…。
杉山くん、きっととてもとても喜ばれると思います。
私も杉山君は石神井時代から好青年という印象があり、それに加えて「菊谷」で見せていた繊細な野菜料理の数々から、良い料理人になったことを嬉しく思っておりました。
実家を継ぐことは喜ばしい反面、勝手の違う場所で、彼の仕事が受け入れられるかどうかを案じておりましたし、最近訪れた方々の店の主人からも心配する声を耳にしました。
何とか好調なスタートが切れている様子、安堵いたしました。
私も何としても訪れてみたい気持ちはあるものの、やはり便の悪さからなかなかチャンスが有りません。
yukaさんの文章や写真を拝見し、是非一度伺わなくてはいけないと言う思いを強くしました。
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