このところ、又あのお蕎麦が食べたい、
ご主人に会ってお話ししたい…、
とじわじわと思っていたところ、お友達からのうれしいお誘い。
まだよく歩けはしないけど、この予定はどうしてもキャンセルしたくない…
…と、何とか辿り着いた国分寺駅、
いつになったら秋は来るのか、今日も太陽がぎらぎら。
暑さに加え、さすがに歩いて辿り着く自信がなく、
今は案じ、タクシーの助けを借りよう。
「お鷹の道にある、『きぬたや』さん、お願いします」
と告げれば、すぐ分かってくれた運転手さん、
乗りこめば、あっという間に、目の前に到着 。
こんな時、タクシーって本当にありがたいな…
ああ、懐かしい…、思えば早1年ぶり
ゆったりとして穏やか、優しく暖かな、温もり満ちた佇まい。
来る度に、じわじわとご主人のお人柄が染み出てきてるよう。
国分寺 「きぬたや」
扉を開けば、すぐに笑顔のご主人がお出迎え。
「あれっ、どうしたのっっ?」…と、足の包帯に驚かれ、
まあまあ、そこに座って、と、すぐに冷たいお水を出して下さる。
天井にテーブル、椅子に柱…
山の中で出会ったような、素朴な木の温もり溢れた空間に、
ほっとさせられ、途端に和み癒されるよう 。
…と、ぼおっと寛ぎ初めていると、汗を滴らせて待ち人到着 。
早速、ハートランド(小瓶)を頂き、乾杯してくぅ~っ。
お通し、蕎麦の耳の「揚げ蕎麦」は軽やかポリポリ。
塩加減もぴたり、この揚げ蕎麦、美味しいナ…
と、飲みほしたら、お酒も少々…
どれにしようか眺めていたら、「半々づつ出しましょう」、
と、注いでくれた、「磯自慢」に「開運」涼々。
添えて出された、胡瓜の浅漬けに、
大好きな「きぬたや」さんの「奈良漬」を頂き、しみじみ 。
頼んでいた「旬の天ぷら盛り合わせ」も、飲んでる我々には、
揚がった順から、都度出してくれるのもうれしい、
インゲンに、オクラに、ピーマン…
んっ!、天麩羅、以前に比べぐんっと美味しくなっている
続いて、ズッキーニに子供ピーマン、ゴーヤに伏見トウガラシ…
南瓜にさつま芋はほこほこっとして甘みが濃く、
茄子に玉ねぎの串刺し天麩羅。
衣薄く軽やかでさっくさく、どれもがとても美味しい野菜天 。
「去年の夏あたりから、徐々に昔みたいに戻しているんですよ」
蕎麦を始め、天麩羅も素材を変えてみたんだそう。
ちょこちょことお話しを聞きながら、お酒のお替り。
「黒龍」に「獺祭」を頂けば…
これが楽しみだった、蕎麦刺し二種。
蕎麦湯に浸る、一反蕎麦の「お浸し」は、もっちもち 。
丸抜き、玄挽き二種の味わいの違いも楽しく、
冷水でさらした「刺身」と食べ比べ。
刺身の濃厚な味わいに、これから食べる蕎麦への期待高まり…、
早速お蕎麦、お願いします 。
待っていました、と語るような頬笑みで、
「今日は、4種打ってるので、順番に出しますね」
と、やわらかな口調で応えてくれ…
程なくだされた1枚目は、
福井の丸岡在来種、そのヌキ実を手挽きし、
24メッシュで篩い打たれた、鮮やかな鶯色帯びた繊細な細切り。
清楚で清純、透け浮き見える丸抜きの粒を眺めていれば、
すぅ~っと清々しい蕎麦の香りが鼻孔をくすぐる。
噛みしめれば、しっとり心地のいい歯ごたえに、
ふわっと広がる溌剌とした蕎麦の味わい。
優しく労わられるような、穏和な味わいに、
ああ、これこれ、山中さんのお蕎麦だ…
とじ~んと感じ入りながら食べていたら、あっという間。
間髪置かず置かれた2枚目は、全く異なる姿 。
玄挽き、長野浅間の、信濃一号。
手挽きし打たれ、篩い24メッシュの挽きぐるみ。
透けるようなグレー色、輝くような透明感、
角はキリリと立ち、野趣あふれながらも、繊細 。
手繰り上げれば、渋い香ばしい香りが漂い、
口に含めば、もちもち感強く、かさりと掠める欠片の感触。
噛みしめれば、焙煎したような香ばしさ、
力強く、包み込むような大らかさ、これは美味しい…
と、余韻に浸る暇なく、続いて出された蕎麦が、又美しい…
新潟以外にもあったなんて…と、思わずびっくり、
島根雲南の「小そば」だそう 。
それの玄蕎麦を手挽きし、24メッシュで篩った蕎麦の、
玄挽きでありながら、このはかなさ…
透ける薄墨の中に、ぽつぽつ浮かぶ様々な色合いの蕎麦の粒。
見つめている間に漂う、芳しき蕎麦の香り…
その姿に見とれ口に含めば、…!!
なんという感触 、
プルンっと跳ねるようなぷりぷり感。
噛みしめた途端、粒が弾けたかのように広がる、
甘みを含んだ、豊かな穀物の香ばしさ 。
思わずゾクゾクするような快感に、
語りかけてくるような芳ばしい味わいに…
「きぬたや」の蕎麦の原点を見たかのような、不思議な感覚。
蕎麦の精霊を思わせる、この蕎麦。
これは、た、たまらな~い…
と、余韻引きずっているところに、すっと出された最後の一枚。
1枚目と同じ、福井の蕎麦を電動「ひこべい」で挽き、
40メッシュで篩った、微粉の蕎麦。
楚々として軽やか、ふわっと喉落ちる上品な味わい。
「一番、ノーマルな蕎麦なんですよ…」
との蕎麦は、奇抜さを抑えた品ある美味しさ 。
ほおっと一連の蕎麦を食べ終え、出された蕎麦湯は、
まろやかに白濁した、熱々の蕎麦湯。
たっぷりと頂きながら、改めて語り始めるご主人とのひと時。
優しくて、あったかい、
ゆっくりと語ってくれるご主人の一つ一つの言葉に、
心から癒され、和ませられた、午後のひと時。
ご馳走様でした~
無理してでも来てよかった、と心から。
要予約で夜の営業も始めたそうで、「夜も来てみて下さい。」
の言葉がとてもうれしく…
ぜひ又、ご主人に、そしてあの蕎麦に癒されに訪れよう…
O様、ありがとうございました~

「きぬたや」
国分寺市東元町3-19-34
042-326-7399
11:00~16:00 / 17:30~20:00
(夜の部は15時までに要予約)
月曜、第1,3火曜
禁煙
2011年 6月 9日 六種の蕎麦
2011年 3月 2日 「5種の蕎麦」
2010年 5月19日 「6種の蕎麦」食べ比べ
2009年 9月 9日 「天ぷら」に絶品6種の蕎麦
2009年 8月19日 再び訪問、6種の蕎麦を堪能
2009年 6月24日 「『きぬたや」にて、野菜天ぷらにせいろ三種」
移転前のお店
2006年 9月13日 「賛・きぬたや」最後に頂く蕎麦三種
2006年 2月23日 私の為に打ってくれた蕎麦
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今、行きたくてうずうずしているところなんです
いいですね~(^^)。
お話し好きのご主人との話も楽しみです。
私も早速行ってきます(u_u*)~
府中本町から歩いたのでかなりありましたが。
美味しいお蕎麦とすっきりした汁に感激して、ご主人と話し込んでしまいました。
ゆかさんのことも話しておられました。
また是非寄りたいと思います。
行ってみようかな(^^)。
蕎麦刺し、お願いしちゃっていいんですよー(^^)
でも、ご主人の心の希求はやはり止められないんですね(^^)。
いろいろな蕎麦屋がある事が、私にはうれしい限りです。
いつまでも…
がんばってやっていってほしい、
願うばかりです。
素敵なお蕎麦でしたね~(^^)
に「ムタヒロ」という強敵が出現したからで
す。ラーメンなんですが、板前さんなら激怒
するような煮干しの苦みやえぐみを強烈に
前面に押し出したこの常識破りのスープがハ
マるのです。
きぬたやさんで、お願いしないと蕎麦刺し
が頂けなくなったというのも小さな要因では
ありますが。
でもこの記事を読むと、やっぱりたまには
行きたい。
なかなかいけませんが、先般、久々に行ったら、一時の業態を改め、昔のに戻したといってました。蕎麦好きにはそのほうが嬉しいですが、商売となると、なかなかのようです。
沢山の方に味わってもらいたい気持と、あまり押し寄せると困る~このあたりのせめぎ合いですね~
最適の数の人が常に店にいる~そんな店になって、ご主人の笑顔ばかりが見える店として繁盛してもらいたいですね~♪
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