これまでに、何度も何度も行こうと思っていたのに、
気付いたら、前に訪れたのは、既に8年も前の事。
随分前に、行きましょう~との話が盛りあがり…
楽しみに楽しみにしていた今日、素敵な方々と待ち合わせ 。
ぎらぎらと照りつける日差しは容赦なく、
今にもアスファルトが溶けてしまいそうな陽気でも、気持ちはうきうき。
砂煙立て車が行きかう、墨堤通りを曲がれば、もうすぐ。6
そうだった、このしっとりと落ち着いた、禅味溢れる佇まい。
途端に、8年前どきどきしながら目の前にした気持ちが蘇る…。
千住大橋 「手打蕎麦切 千寿竹やぶ」
日曜日の丁度昼時、入った店内は、文字通りの満席御礼。
予約していてもらっているので、名前を告げると、
奥にどうぞと、通されたのは、
客席の間にそっと作られた、通路の先の…
コンクリ壁に、掘りこみ床の、ゆったりとした小上がり席。
広々としてゆったり、心地よくBGMが流れる、素敵な空間…
ちょっと早く着いてしまったようなので…
あまりにも喉がからから、一足先にお願いした生ビール。
からりっと揚げられた軽やかな「揚げ蕎麦」をつまみつつ…
待つ間に、久しぶりのお店、品書きをじっくり拝見~。
開いてまずすぐの、「もりそば」は、3種類。
以前なかった、「手挽き」の粗挽きが増えている 。
しかも「田舎」も、以前とは違う、「太平打ちの蕎麦」だそうで、
息子さんの代に変わられ、お蕎麦も進化してるんだ。
途端にこれだけで、期待がむくむく…
さらに、種物が又美味しそ~うっ。
「春夏限定ぴり辛クリーミーな胡麻汁」も気になるし、
「トマトの冷やしかけ」ときたら、「トマト氷」に「辛味大根鶏ワサ」?
こっ、これは、ぜひぜひ食べてみた~い 。
追加のお蕎麦や、平日限定の品書きもあり、
暖かいお蕎麦も、「竹やぶ」のお店には珍しく、バリエション豊富。
お料理の品々などを眺めていると、
ようやく、一人二人と到着し…
それぞれ選んだ飲み物で、ようやく乾杯~。
何を頼みましょう…と言いかけたら、
うれしいな、憧れのU女史、既にお料理は頼んで下さっているそうで、
程なく、ご主人が顔を出して下さり、
「今日も暑いので…、まずは冷やかけを食べて涼んで下さい」
の言葉に、目がキラ~ン 。
嬉しぃっ、食べたいと思った「トマトの冷しかけ」が目の前に 。
別盛りにされた薬味は、「トマトに鶏わさ、辛味大根」。
これだけで、お酒の充てになっちゃいそう、
小盛バージョンの「トマトの冷しかけ」は、
横に、じゅん菜が涼しげに浮かび、
真ん中には、しゃりしゃりのトマトの混ざった出汁かき氷。
目の前に置かれただけで、涼味満点~。
まずは、そっと丼に口つけ汁を一口。
きりっと冷えた汁は、思ったよりもしっかりとした味わい。
汗かきバテ気味の体に、程良い塩分が感じられ…
そっと蕎麦を手繰り口にすれば、
きりっとしまった心地のいい歯ごたえに、汁を纏った旨み。
噛みしめれば、じわっじわっと広がる風味が濃厚。
ああ…、これは、美味しい~
と、何度か蕎麦だけ楽しんで、薬味のトマトにかぶりつけば、
糖度の高い、美味し~いフルーツトマト。
これと一緒に蕎麦を手繰るのが又たまらなく…
この鶏わさは、これだけでお酒呑みたくなる程、ふっくらしっとり。
蕎麦と一緒に口に含めば、ん~、贅沢極まれり…。
と、その間にじわじわと、出汁氷が溶けだし、
これは素晴らしい、次第に汁が薄まり、爽やかになっていく…
最後に添えられていた酢橘を絞れば、
すぅっと酢橘の清々しさが広がり、後は夢中で一気にくくくっ。
食べた後には、体の芯まで涼味感じ、暑さなんてどこへやら。
げに素晴らしき、夏の冷かけ… 。
と、余韻にふけっている間に、お料理が出され始める。
「大鹿村の小松菜の煮びたし」に、
「にしんと季節野菜煮物」の二品。
ほこほこ里芋に、しっとり南瓜、とろりとした茄子に、
ほろろ…と、崩れる程柔らかに味染みた、鰊煮。
これにたまらず、早速お酒…
と、本日の酒「菊姫」山廃純米を頂いていると、
続いて、あをさ入り「たたみいわし」が置かれ、
さらに、炭のおこった七輪に、上には鮎の一夜干し。
皮目もこんがり焼かれ、
表の身もじわじわと焼き…
焼き立て鮎の皮目はぱりっと、身はふっかふか。
今が旬、品ある鮎の風味いっぱい
たたみいわしもさっと炙って、お酒をじっくり楽しんでいれば、
さらに、ぐつぐつしたお鍋が目の前に登場。
中は、熱々出来たての「蕎麦がき軍鶏なべ」。
取り分け食べれば、「微細蕎麦がき」は、とろ~り柔らか。
滑らかな舌触りが口の中でほろりと溶け、
軍鶏の旨みがじっくりと染み、蕎麦の香ばしさにしっとりと絡まる。
なんて、贅沢な蕎麦がきだろう…
しかも、いくつも入った中の軍鶏肉は、
さっと炙られ香ばしく、弾力あり、これも旨いっ。
これに、さっそくお酒もお替り「鬼ころし」で再び乾杯。
最後のお料理は、「季節の天麩羅の盛り合わせ」
今が旬、江戸前穴子の活き〆「穴子の天ぷら」は、
衣カラリと揚げられ、とても軽やか。
かぶりつけば、さくさくの心地のいい薄衣を纏い、
中の穴子は、臭み全くなく品よくふわふわ、実に美味しい天麩羅で…
「季節野菜の掻き揚げ」もこれまたカラリと揚げられた、
ゴーヤに南瓜、アスパラに茄子などに加え、
これがびっくりトマトまで入ってる。
とろりと、爽やかなトマト甘みが溶け、美味し~いっ 。
と、たっぷりのお料理に、すっかり満喫大満足。
お声をかけて、そろそろお蕎麦を頂こう…
蕎麦の種類は三種類、となったらやっぱり全部食べてみたい。
お願いして、少量ずつ三種のお蕎麦を頂くことに 。
まず出されたのは、茨城、常陸秋そばで打たれた「もり」そば。
微粉で打たれた蕎麦には、ほのかにぽつぽつと星が散り、
艶やかでざっくりとした角が立つ、穀物感溢れた姿。
手繰り上げれば、豊かに鼻孔を擽る香ばしき蕎麦の香り。
ああ、いい香り…
思わずその香りにはっとさせられ、口にすれば、
もちもちとしてしっかりとした弾力ある歯ごたえ。
噛みしめれば、香りがそのまま風味となり、口いっぱい満たしていく。
飲み込めば、ぐわっと鼻孔に戻るじんじんっとした香ばしさ。
美味しいっ
嘗て感じた感動が蘇る、記憶以上の美味しいお蕎麦。
しっかりとして、出汁がまろやかに染みた汁が又旨く、
お腹いっぱいなのも忘れ、するすると手繰ってしまう。
続いて二枚目は、長野大鹿村産「手挽き粗挽き」。
アジアン風の木の皿とは対照的に、この蕎麦のはかなく繊細な美しさ。
普遍に描く筋に、中に透明な蕎麦の粒はきらきら煌めき、
語りかけてくるかのような、詩歌的な抒情感…
手繰り口にすれば、はらりとしてたおやかな腰に、
ほのかに感じる、粒の転げて行く感触。
噛みしめれば、ふわっと喉を落ち、その後でじわ~っと甘みを残していく。
これも美味しい、なんて綺麗な蕎麦だろう…
食べ終え見れば、穴が開けられたユニークなお皿。
水一滴残っていないという、水切れの良さも素晴らしく、
三枚目は、気になっていた「玄挽き平太打ち」の「田舎そば」。
これは又、先の二枚とは全く異なる、野生味ある姿。
平打ちされやや太めに断たれた蕎麦は、グレー色帯、
中に、ごつごつと埋まる蕎麦の欠片。
ひらりと手繰り上げれば、途端にむわと広がる、深い香り。
口にすれば、必要以上なワイルドさはなく、しっとり心地のいい腰。
するりと通る喉越しもよく、何よりもこの平打ちの感触がとても楽しい。
噛みしめればもちもち、殻の香ばしさが共に混じり、
ああ、これ、これも美味し~い 。
三種三様、甲乙つけがたい、すべてが美味しい。
すっかりうれしく、我忘れ手繰り手繰り…
頃合い見て出された、程良く白濁した熱々蕎麦湯で余韻にどっぷり。
ああ、お腹いっぱい、心底幸せ…
と、ほおっとしていたら、これが又サプライズ。
うれしい、最後のデザートは「塩プリン」
トロンっとして、しっかり目のプリンは私の好み。
じわっと広がる塩味が甘みを引き立て、美味しいよぅ~。
大好きな方々と頂けたことが、又何よりうれしく…
美味しかったね~と、すっかり寛がせて頂き、席を立つ。
すっかりお客さんの引けた、シンとした店内の片隅で、
ン?ゴオリゴオリと音がして…
ご主人が、石臼を回してるっ。
回す手は止めずとも、スマイルサービス、お茶目なご主人、
笑顔がチャーミングな、気さくなお人柄に、心まで温められ・・
ご馳走様でした~
楽しくて、美味しくて、幸せな休日の昼下がり。
又ぜひ、気になったままの、「胡麻汁」食べに訪れます。
皆さん、本当にありがとうございました~
「手打蕎麦切 千寿竹やぶ」
足立区千住河原町7-12
03-3888-5897
11:30~15:00 / 17:00~20:00
11:30~20:00(日祝)
水曜、第3木曜定休
禁煙
Pあり
2004年12月 7日 「せいろ」「田舎」
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どうでしょうか?
先ほどコメントしたものです。
以前は、確かお絞りに香りがついていたような。
その印象が強かったのですが、今回訪れたときはなかったので、ぜひぜひ!です。
お蕎麦が美味しいです。
この冷やかけはぜひぜひです。
お近くなんて羨ましい限りです~。
そうだった、たまたま座った席が、芳香剤?消臭剤?の匂いが強くて落ち着かなかったからだ!
と思い出しました。
もしかしたら、たまたまだったかもしれませんねぇ。
冷やかけがとってもおいしそう♥
リベンジしてみます!
うりさんの言う通り、竹やぶでありながら、竹やぶでないような…
居心地の良さと、独自のお蕎麦に、心底感動してきました。
5年後とは言わず・・(^^;。
又すぐにでも訪れたいです。
三種の蕎麦、それぞれが本当にどれもよかったです。
千寿はいい意味で、なんか行って帰ってきたような
脱竹やぶした感じがいいですよね~
名前は竹やぶでありながら他の系譜の要素が感じられるお蕎麦。
これがまた年々と洗練されていくのが楽しみですね。
うりの中では五年後にまた来たいランキングを付けるとしたら第一位です。
→ yuka (04/08)
→ yuka (04/08)
→ sherbetsST (04/02)
→ gun (03/27)
→ yuka (03/19)