既に1時も回った昼下がり、この天気だからだろう…
私の好きな眠庵独特の、ゆるりと空気たゆたう、心地のいい気だるさ 。



このカウンタで、のんびり寛げるのは、何よりもの贅沢。
肌寒い今日は、まずは熱燗からお願いし…



添えて出された、ざっくりとした「おから煮」のお通しをつまめば、
しみじみとした素朴な大豆の旨みに熱燗が染み入るよう。
ぽつりぽつりとつまみ、平盃で飲む熱燗がたまらない。



充てに何か…と、久しぶりに食べたくてお願いしたのは、
「眠庵」特製、自家製の「梅くらげ」。

身厚大ぶりのくらげは、こりこりっとしてまるで貝の刺身のよう。
絡められた南高梅の柔らかな酸味に、カリカリ梅の歯ごたえが心地よく、
この「梅くらげ」は本当に美味しいなあ 。



ふりかけられた海苔の風味が又極上。
と、お酒もお替り、お勧めしてもらった「磯自慢」。

すっきりとして軽快、後にふっと米の旨みが残る、良いお酒。
眠庵に入ってぼちぼち半年になる関ちゃんも、
すっかり眠庵の人となり、二人の連携もスムーズ、見ていても気持ちよく、
ゆるゆるまったりとしていると…

さりげなく、すっと出された「お預かりもの」。



開けて見たら、きゃあん♪、かわいーい、
キティじゃなくてもあるなんて、…の、「蕎麦キューピー」。
良く見ると、蒸篭の中のキューピーが蕎麦を背負い、
蒸篭の下から手と足が出ているよん。
（蕎麦Quick様、ありがとうございます　♪）

と、お酒と充て、お土産で楽しませて頂いて…
他にお客さんのない今日、趣向を変えお願いした「温度違い二味そば」。



まずは、定番の「せいろそば」。
今日のお蕎麦は、富山清水（しょうず）の蕎麦だそうで…



端正に断たれた細切りされた蕎麦の中には、ぷつぷつ埋まる蕎麦の粒。
今日のお蕎麦は、ほのかに混ざる粗挽きだ 。

顔を寄せれば、むわ～っと濃厚に広がる、ふっくらとした穀物の香り。
大地の恵みいっぱいに感じる、この豊かな香りだけでもう、うっとり。



手繰り口にすれば、心地のいい歯ごたえに喉越し。
噛みしめれば、ぐわりと広がる甘く香ばしい蕎麦の味わいに、
汁など忘れ手繰ってしまう。
ん～、これは、、美味しい…。



と、するすると手繰ればあっという間。
頃合いもぴたり、かかさず置かれたのは、蓋付きの漆器の丼。



そおっと、ゆっくり蓋を開ければ…

途端にもわ～～っと香り立つ、たまらない磯の香り 。
これこれっ、これが「花巻蕎麦」の又とない醍醐味。

そのまま丼を口にし汁をすすれば、これが又たまらない美味しさ。
すっきりとした気品のある鰹出汁に、じわりと染みた海苔の風合い。
ああ…、これはたまらな～い 。



汁にうっとり、中の蕎麦を手繰れば、ほろりと海苔が絡まる蕎麦。
熱々汁の中でもダレる事なく、凛とした腰があり、
熱を帯びた蕎麦は、又ほわっと香ばしさが香り立つ 。

汁を纏い、海苔を添えた蕎麦の、この贅沢な味わいに、
もう、声にならない感動をじっくり味わいながらも、夢中で手繰り…



そっと出された蕎麦湯は、真っ白な濃厚蕎麦湯。



ちょっと残った花巻汁に注ぎ入れれば、これが又極上。
かけ汁に海苔、それに蕎麦の風味溶けた蕎麦湯が加わる、最後のご馳走。

余韻を噛みしめながら、ゆっくりと味わって…

ご馳走様でした～

久しぶりにゆるりと楽しめた、眠庵での昼下がり。
雨も又、いいもんだなあ…

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