開店当初に伺ったきりだった、牛久の「季より」さん。
あれから早2年、ご主人のブログを拝見させて頂く度に、又伺いたくて…、
それと、今回は、もう一つ大切な目的を胸にかかえ、
日にちを合わせて、ようやく再訪する事が 。
牛久駅前の喧騒離れた、全くの住宅街の中。
周りにすっと融け込み、ぐるり笹竹の風流な門を携え、静かに佇む…。
牛久 「手造りそば 手挽き石臼と旬のお料理 季より」
門を潜れば目の前に広がる、
敷石が点々と置かれた心躍るアプローチ。
その先には、手造りの板張りの渡し橋があり…
春の心地のいい日差しを浴び、看板も何もない、
素朴な木の扉に辿り着く。
横の長閑な庭を眺め、そっと扉をたたくと、
顔を出して下さった、久しぶりにお会いするご主人。
なんだか、一段と逞しくなったみたい…
満面の笑顔で迎えて下さり、靴を縫いで中へ上がれば、
すぐ右手には、かなり大きな石臼がどっしりと鎮座。
これを毎日回し、手挽きされているなんて…、としげしげと眺め、
用意して下さっていたお部屋へと、招かれ入って行くと、
テーブルの置かれた部屋に、ソファーの部屋、などなど、
一つ一つの部屋の雰囲気異なる、どの空間も素敵なインテリア。
すべて垣間見させて頂いて、一番奥の二人用のお部屋に通され座れば、
座り心地のいい、アンティークの椅子にテーブル、
置かれた骨董の和箪笥に、下がる電球も大正ロマン。
居るだけで、ほおっと憩ってしまう椅子に身をまかせ…
すぐに出されたたっぷり蕎麦茶を頂きながら、
以前はなかった、丁寧にしたためられた品書きを拝見。
お蕎麦はすべて手挽きの、一日限定15食。
暖かいお蕎麦は…、ん?、まだ「かけ」はないよう。
これが何より楽しみな、ご主人のお料理「旬のものいろいろ」に、
玉子焼きも二種あるのが、「季より」ならでは 。
この「鍋焼き玉子」美味しかったなあ…
ゆっくり一枚づつめくり、一通り目を通させて頂いて…
この陽気に、まずは、、、ビールが飲みたいな 。
とお願いしたハートランドで、乾いた喉を潤わせ、
楽しみにしていた今日、ご主人のお任せで、お願いします 。
と、すぐに出された、素敵な彫りの入ったグラスの「先付」、
「蕎麦湯とスーパーフルーツトマトのコラボ」。
濃厚蕎麦湯は、まるでムース、ほんのりとした甘みがあり、
上にかかった、フルーツトマトのジュレの濃い青い甘み。
両方一緒に口にすれば、蕎麦とトマトが溶けあい、素晴らしく美味しい 。
最初の一品から、すっかり心奪われていると、
すっと出された、「ふわふわそばがき」。
手挽きした蕎麦蕎麦がきのこの粗さ、
ほっこりとしたその表面からは、今にも粒が飛び出てくるよう。
箸を入れれば、ふわふわほろ~っと、とても柔らか。
香ばしい蕎麦の香りが豊かに漂い、口に含めば、とろ~と途端に解け溶け、
口いっぱいかけめぐる蕎麦の粒々。
心地のいい粒の感触と共に広がる、蕎麦の甘みに香ばしさ。
こっ、これは美味し~い 。
と、食べ終えうっとりし…、
この後続く、蕎麦アーティストご主人のお料理の饗宴。
豆腐好きにはうれしい、「豆腐三昧」。
絹揚げを味噌に漬けさっと焼いた、「絹揚げ味噌漬け」。
「がんもどき」は、胡麻出汁でしっとりと炊かれ、
上にとりりとかかった利休ソースに、塩漬け桜の風味がいい。
自家製豆腐豆腐」は、ぷるるんっとして、まるでババロアのよう。
添えられた、「ひしお」を添え頂くと、大豆の甘みがふっと広がり…、
このお料理にビールでは寂しすぎる、
と、即効お願いした、京都のお酒「古都千年」純米酒。
山形の職人さんの手造り土瓶で注ぐお酒は、一層美味しく感じさせ、
目の前に置かれた板盆に、鮮やかに描かれた、「旬のものいろいろ」。
濃厚な紫色の「紫人参のグラマンジェ・煮汁ジュレかけ」
は、青くささなく、干しぶどうに似た深い甘みに、
添えられた出汁ジュレが、味わいの輪郭を整える。
「芽キャベツの柚子胡椒ペーストがけ」は、柚子の香りが爽快で、
「百合根の西京味噌包み揚げ」は、ほこっとした甘い百合根に、
柔らかい西京味噌が絡まり、まるで上品な和菓子のよう。
去年塩漬けしていた姫竹の子の、「姫竹の含め煮」が、
竹の子好きの心を歓喜させ、
「蕎麦粉のケークサレ」は、蕎麦粒がぷりっぷりとして、
素朴な蕎麦の風味がほっこり優しく、
添えられた塩麹漬のパプリカは、驚くほど甘みが濃い。
それに…、これが悶絶してしまった、「車海老の茶碗蒸し」。
沖縄から取り寄せた極上の車海老の頭から出汁を取った茶碗蒸しは、
一口含んだだけで、濃密な海老の旨みが口いっぱい。
海老を食べているより、ガツンとくる海老の旨み。
ん~っ、こっ、これはたまらな~い 。
三元豚で作られた、「豚の角煮に煮玉子」は、
ほろろと崩れ柔らかく、脂ぽさがなく、私でもパクパク。
しっかり味の染みた味玉が泣かせる演出、これもいいなあ~。
「芽葱の酢味噌かけ」は、しゃきっとしてねっとり。
葱独特の優しい甘みに酢味噌が絡まり、しみじみとした旨さ。
「百合根餅」は、ほっこりまったり、優しい甘み、
添えられた蕗味噌がよく合い、春を感じ…
茹で具合もぴたりの、私も大好き「野らぼーのお浸し」と、
どれもこれもが素晴らしい…
さらに、これ又うれしい、二人一皿取り分け頂く、
艶々と輝く、「鰊一本一週間煮」
7日間とろとろと炊かれた鰊は、
箸を入れた途端にほろろと崩れ、しっとりと味が染み、
「竹やぶ」出身の方の鰊は、本当に美味しいなあ 。
口直しに…と、途中を出された「甘酒とワインのソルベ」
ほわっと広がる麹の甘みに、ワインの酸味が実に爽やか、
ん~んっ、これっ、美味し~いっ 。
良かったら…と、出して下さった、前菜で出されたトマト、
「スーパーフルーツトマトの、アンチョビ添え」
トマトにアンチョビという、乙な組み合わせが斬新かつ新鮮。
トマトの甘みが引き立ち、これがお酒にうれしい一品。
…と、これも意表を付く、揚げたての「天ぬき」登場~。
薄い丼の中の掻き揚げに、熱々昆布出汁を注ぎかければ、
途端に、じゅわ~っっっと、軽快な音が立ち、この音が又ご馳走。
羽毛のようなさくっさくの繊細な衣は、次第にしっとりと汁が染み、
変わりゆく衣の味わいがたまらない。
しかも、何尾も入った車海老はぷりっぷりで、旨み濃厚。
なんて幸せ、言葉にならない美味しさと…
すっかり、ご主人の素晴らしきお料理を、心の底からたっぷり堪能
そして…
序曲もいよいよお終い、第二楽章、お蕎麦をば。
北海道蘭越産。
まず出されたのは、玄ごと挽きこんだ粗挽きの「田舎そば」。
ざっくりとした輪郭に、ピンっと張った正方形の角の凛々しさ。
グレー濃く野趣さ溢れ、中にぽつぽつと埋まる蕎麦の粒。
顔を寄せれば、穀物の香ばしい香りがもわ~っと豊かに広がり…
手繰り口にすると、むちっとしたしっかりとした歯ごたえ。
噛みしめれば、むちょっとした粘着感は、これまでに食べた事のない感触。
ほのかに感じるざらつき感が口肌を掠め、噛みしめれば、
蕎麦のしみじみとした素朴な香ばしさに甘みがじわ~り流れ広がってくる。
味わいが豊か、しかも、この不思議な感触…
これは、前回頂いたものとは全く違う。
と、この2年の間のご主人の試行錯誤の日々を感じつつ、
しっかりと濃い、汁に浸せばさらに甘みが増す蕎麦を頂いて…
続いて出された、微粉で打たれた「せいろそば」。
これ又、角がピンと立った男気溢れた凛々しい細切り。
この香りが又豊か…
と、手繰り口にすれば、むちっとした食感がさらに強い。
するる…というのとは違う、圧力感と濃密な感触。
噛みしめた後にかすかに粉っぽさを感じ、粘着感がとても強い。
飲んだ後にするるという軽やかさというよりは、存在感のある蕎麦で、
ガツンとしっかりと胃に入りながら、豊かな味わいを残していく。
ああ、これも前回頂いた時から、すっかり変わってる。
2年の間のご主人の試行錯誤した方向が見えてきたような心地がし、
すっかり食べ終えたら、もーう、お腹いっぱ~い 。
ほおと、熱々蕎麦湯を頂いて…
これも楽しみだった、最後に頂く、「蕎麦屋の甘味盛り合わせ」
もちもちまったりとした、甘みが絶妙なチョコレートケーキは、
何とっ、チョコにアボガトを混ぜて作られたそう。
生地はざくざくっとした蕎麦粉タルトで、これっ美味し~い 。
ロールケーキも、もちろんお蕎麦、
「蕎麦粉のロールケーキ」は、ふっくらしっとり甘みも程良く、
中に甘皮入りの求肥がもちっとして、和三盆に通じる優しい味わい 。
そして…これが、殊の外美味しかった「アボガドのムース」
とろぷるふわんっ、優しく柔らかく、甘みがふわっと口に広がり…
真綿に包まれているような繊細な味わいに、も~う溶けちゃいそう 。
美味しかった~、心底堪能した、甘美なひと時。
あれからの日々、お料理の事、蕎麦談義など楽しんで…
素敵な素敵な午後のひと時、ご馳走様でした~
そして、大切な目的、ご主人の愛猫ぴーちゃんに、
お線香を上げ、拝ませて頂いて…
もう一度会いたかったよ…、ぴーちゃん…

「手造りそば 季より」
茨城県牛久市牛久町15-2
029-875-4891
11:30~16:00
夜は要予約
日曜定休(臨時休業あり)
禁煙 Pあり
お店のHP
2010年 9月27日 旬のものいろいろ、玉子焼き、「せいろ」に「田舎」
ご主人から頂いた、ぴーちゃんの大好きだった玩具。
ひとしきり、くんくんした後で、無邪気に遊び始めたりん。
大事にするんだよ、りん。
ぴーちゃん、ありがとう、安らかに…
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お料理に接客に、蕎麦、それも手挽き…
なかなか、ぷらりと行けないのがつらいところですが(売切れになっちゃうので)、又伺いたいお店です。
阿見町では木鉢坊さんや牛久大仏近くの信田の里さんに行きます。
旬のいろいろ盛り合わせ(1000円)のプレートだけでも十分楽しめますので、是非食べて頂きたいです。
どちらかで修業したのかどうか、今度聞いてみます。ただ、日々熱心に取り組んでいらっしゃる様子を、ご主人のブログで拝見しています。
普通の蕎麦店というよりは、日本料理のお店のようですね。その道の修行もされてるのでしょうか・・・牛久に名店あり、ですね。
すごくはないですが、お蕎麦が好きです。
又、時々、こそ~り覗きにきて下さい(u_u*)~
出される一品一品に、悲鳴あげちゃいました。
素敵な素敵なひと時でした(u_u*)~
私も季よりさんのお蕎麦が大好きで、何度か通わせていただいております。
先日、大将から「この方のブログは凄いからぜひ見て」と教えていただき、こそ~り覗きに参りました。
まさに大将の仰るとおりです♪yuka様凄いです!今度はどちらのお店に赴かれるのか楽しみにしておりますね
良い気分のままで最後の蕎麦までいくでしょうね
すばらしい..100点
鬼怒川といい、こちらといい、茨城県南の竹やぶさんのお店は、どちらも独自の個性があって、私も大好きです(^^)。
日々、いろいろと研究なさっているご主人、しかもあの大きな石臼で、心をこめて挽かれ、お一人で丁寧に持て成して下さいます。
素敵なお店です(u_u*)~
仙台出張から終了したらまた伺いたいです~~。
お料理それぞれの気配り、
蕎麦への探究心、
あの大きな石臼で手挽きなさるのは大変な力仕事でしょう。
いつか訪ねてみたいです♪
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