思えば、引越ししてしまったからか、早2年ぶり。
すぐに通された、年月培ったお座敷のテーブルに腰を下ろし…
壁に貼られた品書きの短冊に目を這わせると、



おっ、ここも、もう、新蕎麦だ
しかも、「煮込みうどん」の貼り紙に、季節をしみじみ感じてくる。



久しぶりに開くお品書きは、以前とほぼ変わらず。
改めて見ると、なぜか、蕎麦よりもうどんの品書きが多いなあ。



とじっくり眺め、以前頂いて、美味しかった「鴨汁そば」に決め、
彼は「田舎汁うどん」（汁は同じ）を選んで、早速注文。

次々に入ってくるお客さんに、相変わらず人気の様子が見てとれる中、
丼を前にしている姿が多いのも、蕎麦屋での秋景色 。



そして程なく、蕎麦とうどんでも、同時に出してくれる配慮がうれしく、
目の前に出された「鴨汁そば」に「田舎うどん」。



ふわりと広がる新そばらしい、爽やかな香りの蕎麦は、
ところどころ太さが違うのが、手打ちのぬくもりを感じさせ…



口に含むと、素朴な蕎麦の風合いのある、程良い腰。
繊細で丹精な、というのとは又違う、ほのぼのとした良さがあり、
ここの蕎麦は、妙～に食べたくなる不思議な美味しさ。



そして、ほかほか湯気を立てた「鴨汁」に浸し頂けば、
熱を帯び、この鴨汁をまとった蕎麦が、とても美味しい。
いつまでも熱々なのもうれしく、途端に蕎麦の甘さが際立ち…

中に入った細切れの鴨肉はほろろ…と、崩れるように柔らかく、
きのこや、とろとろの茄子が、実に美味しい。
ことこと時間をかけて作られた独特の鴨汁で、これは旨いっ。



一方、ここで初めて目にした彼のうどん。



艶々ぴかぴか、真っ白な蕎麦は美しく…



途中で交換して食べてみれば、しこっしこっとしたしっかりとした腰があり、
つるんっと喉越し滑らかなうどんで、これは美味しい 。
かみ締めると、小麦の味わいが実に豊かで、うどんもいいなぁ。

うどん好きな彼も、すっかり気に入った様子で、
あっという間に二人で完食～。
さらさら熱々の蕎麦湯を注ぎ、これもきれいに飲み干して…

ご馳走様でした～

帰り際には、ご主人も顔を出して下さり、花番さんに女将さん、皆揃って
「ありがとうございました～」
と笑顔で見送ってくれるのが、気持ちいい。

いいお店だなぁ…と、しみじみと。
もっともっと寒くなったら、「煮込みうどん」食べにこようかな…。

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