朝の花活けの後、所用で本部に寄った帰り道。
何となく、久しぶりに赤坂へとぶらぶらと歩いていたら、
ふと思い出した、長年、食べてみたいと思っていた「料亭の蕎麦」。
せっかくのこの機会、今日は思い切って行ってみよう~
加賀料理の伝統的後継者、との「赤坂浅田」さんの裏側に、
こちらは、表の「浅田」さんの重厚な佇まいに比べ、
すっと下ろされた暖簾に、上品ながらも、まだ身近な雰囲気を漂わす。
赤坂 創業萬治二年・加賀料理 赤坂浅田「伊兵衛」
入口前に品書きが置かれているのも、安心させられ…
食べてみたいと思っていた「加賀百万石蕎麦」を確かめて…、
蕎麦専門別館とは言え、料亭のオーラが漂う暖簾にやや緊張し、
くぐり入ると、すぐ出迎えて下さった、着物に身を包んだ上品な花番さん。
一人であると告げると、「カウンターでよろしいですか」と、
丁寧に通された間を前に、すっと背筋が伸びてくるよう…。
すっと伸びた一枚板のカウンターに、静まり返った格式のある空間。
作業後のカジュアルな格好で来ちゃったけど…、と心の中でちょっとオロオロ。
そんな私に、優しい頬笑みを向けながら、出してくれた温かいお茶に、
フェイスタオル大の、上質のタオル生地の太いお絞りを出して下さり…
一通り品書きを眺め、お願いした「加賀百万石蕎麦」。
しずしずと出されたお盆には、二つの器に盛られた蕎麦に、
醤油露と汐露の二つが出されるのが、珍しい。
横には、艶々輝くご飯に、三種の佃煮が盛られていて…
早速、白山麓鳥越村産で打たれたとのお蕎麦をば。
やや挽きぐるみのグレーに帯びた、端正に切り揃った細切りの蕎麦。
中に、細かな微粉の蕎麦粒が見え、ふわりと軽やかに蕎麦の香りが漂う。
口に含むと、きりっとして心地のいい歯ごたえがあり、
するりと落ちる爽やかな喉越し。
噛みしめると、じんわりきちんと香ばしい蕎麦の味わいも感じ、
料亭の蕎麦とは言え、これはなかなか本格的
次は汁だ、とまずは醤油露に浸してみると、
鰹ベースの、やや醤油味がきつめの、しっかりとした汁で、
この蕎麦には、やや強いような心地もするが、悪くは、ない。
そして…、東京では見た事のない、透明な「汐露」。
昆布出汁に塩で作られたそうだけど…
と、浸し食べてみると、これが美味しい
柔らかくまろやかな出汁に、そっと添えるように広がる塩味。
醤油のキツさに比べ、柔らかく、蕎麦の風味を後ろでそっと支えるよう。
成程…、これが加賀流の蕎麦汁なのかっ、としみじみと感じながら、
すっかりこの汁にはまってしまう。
食べている間もずっと目の前に立たれているので、やや緊張もするのだが…
蕎麦を食べ終える頃合いぴたり、程良く白濁した蕎麦湯が出され、
この塩露に注ぎ入れると、極上の吸い物のよう。
と、ぺろりと食べてしまった後は、添えられたご飯をも。
浅利の佃煮に、牛蒡の醤油漬け、松の実入りの牛肉のしぐれ煮で、
ふっくらご飯も、又美味しく頂いて…
お盆が下げられた後には、そっとお茶を継ぎ足して下さり、
出されたデザート二品が美しい、
「マンゴーのゼリー寄せ」に、「黄粉のムース」。
このムースが、うっとりする程美味しくて…
ご馳走様でした~
いささか緊張しつつも、長年の念願かなった満足なお昼。
いつか…、蕎麦がきやお料理なども楽しめる「蕎麦御膳」も食べてみたいなあ。

「浅田屋 伊兵衛」
港区赤坂3-6-4
03-3585-6606
11:30~14:30 / 17:30~22:00(月~金)
17:30~22:00(土曜)
日曜・祝日定休
禁煙お店のHP
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上品で、奥行き深い、美味しい汁でした。
お蕎麦もご飯も、上品盛りなので、男の人は、お蕎麦追加した方がいいかも、の量でしたよ~
こちらは、料亭の、蕎麦専門の別館なんです。
だから、ちょっとは気楽かしら、、
この汐露が、とてもよかったです。
今度は、ぜひ(^^)。
その時は、きちんと身なりも整えて(^^;;
「どちらかというと」というのが面白いですが、山独活、大好きなんです!やっぱり、まっちろな東京ウドとは違って、あの野生味ある香りに味。(私は、これで育ったので…)
ダンボール一箱とは羨ましいです。
(キンピラが特に好き)
工房さんと連絡が…
よかった、本当に、、、よかった…(u_u*)~
どんなお味なんでしょう~
黄粉のムースもおいしそうですね
おなかいっぱいになりそうです(^^♪
「ご飯になさいますか?お蕎麦になさいますか?」
とかって聞いてきて
ぽちょん、と
ちょっぴり出てくるのだったらどうしよう
って料亭って入った事無いわ・・・
美味しそうですね~♪
...orz(大汗;;;;
実際に金沢に行って、待合で食膳が整うのをシンミリと待ち、
お席にご案内されて肘掛のある膳で上品に無茶苦茶飲み食いする。
(笑 そのほうがよさそう?
さて、郷里の友人が、「どちらかというと山独活」を送って
くれました。真冬に当地のいただきものお流れ菜花をダンボール一つ
送ったお返しです。春になったら送るから、ということで楽しみに
しておりましたら、やはりダンボール(ミカン箱くらい)で。(汗;
独活はいいですね、楽しみ方色々。天ぷら、キンピラ、酢の物、味噌汁、
胡麻和え様々。
どちらかというと中高年向きではありますが、山菜の中でもツブシが
利きます。
(なんのことやら...
蛇足:過日『工房』さんからメールが入り、情報を改めて確かめることが
出来ました。
色々ご心配おかけします。有難うございました。
→ yuka (05/23)
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→ chameleon_arms (05/23)
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