開店すぐに訪れてから、早くもほぼ4か月。
どうしたかなあ、と気になっていたところ…
今夜は打ち合わせも兼ねて、来てみたかった夜に再び訪問~
麻布交差点から青山墓地へと向かう、車が激しく行きかう通り沿いに、
ひっそり沈む暗闇の中に、ほっと灯る、柔らかい小さな灯り。
昼間の趣とはがらりと変わり、密めいた中に暖かな空気が洩れこぼれ…
流麗な看板の文字を眺め、扉を開き店内へ。
麻布 「祈年 手打茶寮」-kinen -
入った店内は、変わらない、真っ白な壁に、白木のカウンターがすっと伸び、
そこかしこにエレガントな空気漂う、心地のいい空間。
奥から絶え間なく、青竹から落つる水滴が…、
まるで水琴のように静かな空気に響き、神秘的な心地感じながら…
今日はテーブル席に腰を落ち着け、
まずはビールで喉を潤し、お疲れ様の乾杯を
添えて出される野沢菜がうれしいな~。
…と、早速開き見る、お料理のお品書き。
前回はお昼だったので、お料理をあまり頂けなかったので…
と開くと、前回よりもぐんっと一品料理が増えている
さらに、「本日のおすすめ」のお料理もあり、選ぶのも楽しく、
いくつか選んで早速注文~。
…と、最後のページには、これも楽しい、記念日やお子様、
さらに雨の日サービスなど書かれていて、これはいいなー。
と、眺めている間に、早速出された二品。
「ミニトマトのバルサミコ・ミント」に、
「クリームチーズの西京漬け」。
じわりと西京味噌の風味が染みた、まろやかなクリームチーズで、
これは、日本酒に合わせたくなる、絶妙な味わい。
本日の品書きから選んだ「エリンギ醤油バター」も、
醤油とバターの風味は言わずもがなの好コンビ、
さらにエリンギ独特の歯ごたえが又楽しめる一品に…
千葉出身のご主人ならでは、「背黒いわしのごま漬け」を前に、
これは早速、お酒に切り替えようと…
品書きのお酒のリストを眺め…
まずは、好みの「日高見」を。
程なく出された、興味そそられ頼んだ「鮪のづけ天」。
紫蘇が巻かれた鮪の漬けが、さっくりと揚げられ、これは美味し~いっ
続いて出された豪華な一皿は、「まるごと夏野菜の天麩羅」。
半分一本揚げさられたとろりとしたズッキーニに、
ジャンボピーマンの、じわ~り広がる甘みがうれしい。
何よりも、とうもろこしと枝豆の掻き揚げが絶品
うんうん、ここの天麩羅も、いいなあ…
と、その間に「刈穂」を頂き楽しみ、
さらに、隠し酒?の月山酒造のレアもの、3年古酒「万年雪」も。
すぅ~っと入り柔らかで風味よく、古酒とは思えない爽やかさ。
しかも、後に残る旨みが悩ましく…
これに合わせたく頼んだのは、お勧めされた「鴨の治部煮」。
鴨に力を入れていらっしゃるそうで、改めて見ると鴨料理がずらり。
と、程なく出された、たっぷりの丼のよおられたお料理は、
金沢で食べた治部煮と違い、とろみのないさらりとした汁。
鴨出汁がじわ~りと染み、この汁だけでもお酒が頂けてしまいそう 。
肉厚のどんこ椎茸に、薄切りの鴨肉は臭みが全くなく、
これは私でも美味しく頂いてしまう、得難い鴨料理 。
これで心おきなくお酒を楽しんで…
いよいよ三種類あるお蕎麦を二人で頂こうと、一枚ずつ注文。
まずは、水捏ねで打たれた十割の更科「吟白」から。
漆器の器に簀が敷かれ盛られた蕎麦は、ぴかぴかと輝く純白の美。
難しいと言われる、更科の十割、しかも水捏ね。
繋がりも見事な蕎麦は、口に含むとぷるんっと跳ね返るような腰があり、
力強さの中に、儚さを伴い、ほのかに広がる蕎麦の甘み。
やや薄めで甘みのある汁がそよと沿い、するすると心地よく喉元を過ぎて行く。
そして、続けて出される二枚目が、珍しいここ独特の蕎麦、「豊穣」。
蕎麦の実を発芽させ、それを粗く挽いて打たれた、発芽蕎麦。
細切りの蕎麦には、ぷつぷつと浮き出る蕎麦の粒々がびっしり覆い、
手繰り上げると、柔らかく鼻孔を掠めるしっとりとした蕎麦の香り。
口に含むと、微かに粒の感触を喉元に感じ、
噛みしめると、もっちりとして纏いつくような心地のいいぬめり感。
甘みに芳味がじわ~りじわ~りと広がり、発芽蕎麦の醍醐味を感じ入る。
やや汁は弱いように感じるが、どっぷり浸し頂くと、粒の溝に入り込み、
さらに蕎麦の風味に味わいを深め…
最後の一枚、「(粗め挽き)のもり」そば。
角がぴしりと立ち、その中にびっしり埋まる丸抜きの蕎麦の欠片。
前回より、やや優しくなったようだけど、これが「定番のもり」とはうれしい限り。
手繰り上げると、「豊穣」とは又異なる、野生味ある穀物の香りが漂い、
しかとした腰を噛みしめると、雄々しい味わいがじわりと広がる。
これも美味しいな~と、やや汁が弱いようでもあるけど、
蕎麦だけでも十分美味しく、するする手繰ってしまい…
さらに、あの美味しさを思い出し、「冷かけ」も食べたくて…、
二つに分けて盛って頂いた、「もり」が台の「冷かけ」そば。
出された器は、はっきりと蕎麦の粒まで見える程、
くっきりとほとんど透明に近い、どこまでも清らかに済んだ冷かけ汁。
そっと、口に含むと…
ああ、なんて美味しいんだろう…
「薄い」と感じないぎりぎりの絶妙な味の濃度加減に、
すぅ~っと染み入るように入り込む、出汁の旨みが隅々まで生きた汁。
しばし、汁に酔いしれながら…
中の蕎麦を手繰り口に含むと、冷かけ汁を纏い、
きんっと冷えた蕎麦がたまらない。
かけ汁がそこはかと染み、それに支えるような蕎麦の味わい。
凄烈でいて純な蕎麦を心底感じながら、一滴残らず食べてしまう。
さらりとして程良く白濁した蕎麦湯で余韻に浸りつつ、
品書きの「甘味」、「そばがきアイス」が妙~~に気になって…
最後に頼んでみた、「蕎麦がきアイス」。
小豆を混ぜ込んだ…そうで、口に含むと、
こ、これは美味し~いっ
蕎麦がきの蕎麦の風味に、しっとりと絡まる優しい小豆の甘み。
まったりとしたアイスに仕上げられたこの一品、これはいいっ
初めての感触の蕎麦のデザートにさらに酔いしれて…
甘いマスクのご主人の熱心な応対も心地よく、気持ちよくお店を後に。
ご馳走様でした~
まだまだ開店して4か月。
これからが、ますます楽しみだな~
「祈年 手打茶寮」
港区西麻布1-15-9
03-6447-2308
12:00~16:00 / 18:00~22:00
月曜定休(休日営業、翌日休)
禁煙
お店のHP
2010年 5月13日 麻布の密かな隠れ家で、珍しい「発芽そば」
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蕎麦屋はとっても楽しめるところなんですよ♪
蕎麦だけでさっくりするもよし、
昼にさっと蕎麦前を頂き蕎麦を手繰るもよし、
夜しっぽりと楽しみ、〆に蕎麦を頂くのもよし。
是非、だいすけさんも楽しんでみて下さい。
ビールが、お好きなんですね(^^)。
今日紹介されているのだと、とうもろこしと枝豆の掻き揚げ&クリームチーズの西京漬け、大変美味しそうですねぇ!!ビールと一緒に…最高ですね(笑)
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