師走の慌しさが街のあちこちに感じられる中、
仕事納めの蕎麦お友と、「野島」さんの蕎麦を食べよう~と、蕎麦忘年会 。
十条の商店街を抜け、目白通りから路地に入り、さらに細い小道へ。
その中程に、知らねば気づかぬように、住宅の間にひっそりと佇んでいる。
飾り気なく、ただすっと降ろされた麻の暖簾のみ。
この飄々とした佇まいが又、「野島」さんらしいな~…
十条 「純粋蕎 野島」
丁度、昼時分。何人かのお客さんがお蕎麦を食べている中…
我々も腰を下ろし、まずは歩いてきた喉を潤わせようと、ビールで乾杯~。
充てに出されるのは、野島さん定番の戸隠の殻付ピーナツ。
薄皮が鮮やかなピンク色をしたピーナツは甘みがとても濃い。
ほっとしたところで…、前回は「中華麺」だったので、改めて開く品書き。
まずは、ここでは必ず食べたい「そばがき」に、いくつかのお料理を注文。
と、すぐに出されたのは、興味のあった「ほっけの燻製」。
薫香がふわ~っと立つこの一品に、早速お酒にしようと…
今日はせっかくの「忘年会」。
中から「白隠正宗」純米大吟醸 斗瓶取で、改めて乾杯~
と、すっと出されたのは、お酒のお通しかな?
これも珍しい、まるでルイベのように凍ったままの「烏賊の塩辛」。
この味付けが実に乙で、これはお酒がススムススム…。
と、「濁り酒」に「初孫」の生酒もお願いすると…
「戸隠のかぼちゃ、これも食べてみて」
と藻塩が添えて出された、生のままのかぼちゃのスライス。
しゃきしゃきとした歯ごたえに、ほんの少し塩を付けて食べてみると、
これも自然のもつ甘みが、じわじわ。
さらに、「これは有機栽培の浅葱、私が育てたから美味しいよ」
と出してくれた色鮮やかな浅葱は、新鮮で風味豊か。
さらに、添えられた味噌が非常に美味しい。
そして、頃合よく出された「野菜揚げ」。
同じ戸隠のかぼちゃの天ぷらは、ほっこりとしてさらに甘い。
戸隠生まれのご主人が愛する、戸隠の自然の美味しさをしみじみと実感。
丸ごとコロンっと揚げられた椎茸も、肉厚でジューシー。
「私は変人だから…」
とおっしゃりながら、いくつもの拘りを話して下さるご主人は、
堅物ではなくユニークたっぷりで本当にお茶目。
あれこれとお話しているのも楽しいひと時に…、
ようやく出された、楽しみにしていた「特上そばがき」。
器に盛られた「そばがき」は目を見張るような粗挽き
様々な色形の蕎麦の粒が、ぎっしりと詰まった蕎麦掻きは、
箸を入れると、もちっとしてふわ~と柔らかい。
置かれた瞬間から、甘みのある香ばしい香りが豊かに立ち、
口に含むと、つぶつぶ感が口中に感じられ、
ゆっくりと転がしていくと、じわ~っと広がる香ばしさ。
蕎麦の粒が一つ一つ弾けるように、広がる甘みに、もううっとり
すっかりこの蕎麦掻に、陶酔しながら、
再びご主人と蕎麦談義から、食談義にすすみ…
お肉はあまり好きではないと言った私に、
「私の食べてる拘りの肉だったら、美味しいんだから」
と、すっと厨房に入ったと思ったら、出して下さった焼肉 (^^;。
確かに…、塩だけの味付けなのに、これは美味しく、
ご主人の拘り加減の深さを、再び実感…。
さらに、蕎麦掻きの焦げた部分をそいで出された「蕎麦掻チップ」に
特性の「そばせんべい」。
どちらも、香ばしくて美味しく、すっかり時が経ち…
そろそろお蕎麦を頂こうと、お願いしたのは「特性十割昔そば」。
まずは、茹る前に、と見せてくれた生そば。
色の濃いしっかりとした姿の生そばを、ちょっと齧ってみると、これが甘いっ!
続いて、「辛口」、「ほんのりまろやか」の二種類の汁に…
自家製野沢菜の漬物が出され、これをつまみ待っていると、
3人で食べようと頼んだ、「特性田舎そば」の大盛りが出される。
これも拘りのある、戸隠の契約農家から仕入れた蕎麦を、
ご主人が手挽きして打たれた蕎麦は、挽きぐるみで色が濃い。
手繰り上げると、これも実に豊かなまろみのある穀物の香ばしい香りが漂う。
口に含むと、これが見た目以上に感じる蕎麦のざらつき。
優しく軽やかに掠めるこの感触が心地よく、
かみ締めると、もちむちっとした不思議な食感のある腰のしっかりとした蕎麦。
この感覚がクセになるような魅力があり、しかもその後に広がる味が又濃厚。
こんな蕎麦、他にどこにもない…
と、汁など忘れ、すっかり憑かれたように夢中になってしまう。
食べる姿を見ていたご主人が、うれしそうに出してくれる蕎麦湯は、
しっかり白濁して、程よいとろみのある蕎麦湯。
これをゆっくりと頂き…
かねがね、食べてみたいと思っていた「かけ」を「十割そば」で注文 。
これも、三人で取り分けようと思ったら…
一人分づつ、小丼に分けて注いで下さるうれしい心遣い。
濃い色の見た目と違い、すっきりとして濃さは全く感じず、
むしろその出汁の奥の深さが、只者ではない。
鰹に加え、しっかり感じる昆布の、まろやかで奥行きある旨み。
しばしこの汁をじっくりと吟味し…
中を蕎麦を手繰り口に含むと、かけ汁の中でも変わらぬしっかりとした腰。
それがこの汁をまとう事で、又一層蕎麦の味を感じさせ、
思った以上の美味しさに、これも夢中で手繰ってしまう。
すっかり汁まで頂き、心から満喫した充実感で満たされる思い…。
すっかり汁まで頂き、心から満喫した充実感。
尽きぬような話に、すっかり時の経つのも忘れてしまう濃い時間。
いつまでも、野島さんだけのこの蕎麦を作り続けて欲しいと、心から…。
久しぶりに頂いた蕎麦に、改めて魅了されながら、大満足でお店を後に。
ご馳走さまでした~
本当に、楽しいひと時だったなぁ…
Mさん、Tさん、ありがとうございました~
「純粋蕎 野島」
板橋区稲荷台 2-2
03-3961-5197
11:30-14:30 17:30-21:00
火曜休
禁煙
2009年 1月29日 ご主人の「手打ちラーメン」
2005年 5月21日 そば、そばがきを堪能
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来年、ぜひ・・
私も、一人で行くよりは、何人かで行くのをおすすめします。
そばがきも食べたいし、蕎麦も食べたいし…、となると、やっぱり。
ビール、うーん。
ひとつしか書かれていなかったというと、ド○イしかないのかも…
すごいじゃないですか!
こちらは、かなり分かりにくところにありますが、機会があったら、是非一度ここの蕎麦、食べてみて下さい。
すごい蕎麦です(^^)。
それに一人で行ってもいろいろな蕎麦が食べられないし。
こんど人を集めて行ってみよう。
ところで今でもビールは一種類だけなのかな?あの大瓶も持て余してしまう。
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