ここのところ、又ずっと…、
あの粗挽きのお蕎麦を思い切り食べたい、とじわじわと思っていたところ。
今日は、ぽっかり予定も空いたので、
できたら友人を誘って行きたいところだが…、もう、咄嗟に電車に乗り込んでしまってる。
西八王子の住宅街の中。
隠れるようにさりげなく佇む、どこまでも粗挽きに拘る、ご主人のお店 。
西八王子 「自家製石臼粗挽き蕎麦 いっこう」
「売り切れ仕舞の時はすみません」
と書かれた看板にドキドキしながら扉を開くと、平日の昼さがり。
心地のいい、こじんまりとまとめられた店内にはお客さんがなく、うれしくも貸切♪
にこにこと迎えて下さった奥様の笑顔がうれしく、贅沢にも大テーブルに腰を下ろす。
すぐに出されたお茶には、うれしいお茶受けの一品。
今日の小鉢料理は、ほっと心和む美味しい「根菜のキンピラ」。
…と、ご主人も顔を出して下さり、すぐに止まらぬように始まる蕎麦談義。
こうなったら~ 間合いを見てお酒も注文~。
ご主人が選りすぐって選んだお酒のリストの中から、すっきりと頂きたく「東北泉」を。
…と、今日は何もなんだけど~と、出して下さった「茗荷の天ぷら」。
カラリっと揚げられた天麩羅を口にほうばると・・・、なんて美味しい
茗荷に西京味噌を塗って揚げられ、茗荷の風味に味噌の味わいが重なり、絶妙。
と、すぐにここの掻き揚げの美味しさも思いだし、食べたいなぁ、と思っていると…
後からいらっしゃったお客さんが頼まれて、見たらやっぱり♪
頼んでしまった「海老帆立入り掻き揚げ」。
知っていはいても、やっぱりびっくりしてしまう、高さ10センチはある豪華な掻き揚げ。
玉ねぎ人参など具材が豊富に盛り込、さくさくっと崩れるようにカラリと揚げられたもの。
その中にごろごろと入った海老がぷりっぷりで、海老の旨みが凝縮され…
これもいくつも入っている帆立は、ふわっとして滴るようにジューシー 。
もう、これだけで堪能してしまう~
そして・・・、又何よりもうれしいのが、
これを頂きながら、ご主人と交わす粗挽き蕎麦談義
すっかり話し込んでいるうちにお酒も進み…
まだ飲んだ事のなかった福岡のお酒「穀良都」(山廃)をもお変わり。
口に含むと、なんてキレのいいお酒!。
幻の酒米で作ったというお酒は、するすると喉を過ぎて行き、
さらに話は続き続き…
そろそろお蕎麦を頂こうと、改めて品書きをじっくりと読むと、
そうだった、ここも「粗挽き三兄弟」
「せいろ(蕎薫)」もいいし、「十割(墨衣)」もやはり食べたい。いやいや、やっぱり「手びき(白妙)」も…
と悩んでいると、
「今もうお客さんいないから、少しずつ三種出してあげようか」
とおっしゃって下さり、何てうれしい♪、是非お願いする事に。
そして…、まず初めに出されたのは、丸抜きの粗碾きの「せいろ」そば。

これも素敵な陶器の器に盛られた蕎麦は、透明な蕎麦の粒々がびっしり盛り込まれた粗挽き蕎麦。

手繰り上げると、なんて濃い香り。
うっとりするような香ばしい蕎麦の香りが立ち込めるように広がり、成程…
「蕎薫」というのが分かるよう。
口に含むと、喉の奥の方でざらりとした心地のいい感触があり、飲みこんだ後から、ぐわ~っと込み上げてくる深い味わい。
と、頂いていると続いて出されたのは、丸ぬきの超粗碾きの「手びき」蕎麦。

なんて美しいんだろう…
目の前に置かれた瞬間にはっとするような繊細な蕎麦の姿。

いかにも穀物感感じる断面に、まるで飛び出してくるかのような蕎麦の粒々。

口に含むと、しなやかな感触があり、統一されていな、その様々な感触がたまらない。
噛みしめた途端に広がる風味に、後からじわじわと鼻孔に登る香り。
もう、これは汁なしで、ずるずると入っていってしまい…
三枚目は「墨衣」の名の通り、玄蕎麦と丸抜きの粗碾きの十割蕎麦。

黒い星の混じった蕎麦は、二枚の蕎麦に比べ野趣さ溢れる。

豊か立つ薫りもさらに深みがあり、味わいも野性味感じる味わいで、これも美味しい…


感動しながら頂いた三色は、どれも素晴らしく…
中でも、今日は「手びき」の蕎麦に魅了されつくした心地でうっとり


最後に出された、程良い濃さの白濁したなめらかな蕎麦湯を、もり汁に注ぎ入れ、
ああ、この汁も又なんて美味しいんだろう…
と悦に入ってしまう。
ゆっくりと余韻に浸りながら蕎麦湯を頂き、
今食べた蕎麦粉など見せて頂きながら、石臼の話などなど・・・
**********
24メッシュ、30メッシュで振るったと言われるそれぞれのそば。
とは言え、24メッシュは25メッシュ以上の蕎麦粉もスルーしているだから、粗挽きの割合は店それぞれ。
メッシュの数値はもはや、ひとつの基準にすぎない。
私が求めている蕎麦は・・・、と、満たされぬ欲求を抱えていた事も。
が、「いっこう」の蕎麦は…
下25メッシュから4段階にふるい分け、
それぞれの割合を明確に把握し配合している、求めていた粗挽き。
なかなか昇天されなかった、粗挽き蕎麦への希求が満たされる恍惚…。
**********
始終、にこにこと見守るかのように笑顔の奥様の応対も、とてもうれしく、
今日も、心から満喫した思いでお店を後に。
ご馳走様でした~

又、ぜひ伺いたい。
こういうお店がある事が、そして出会えた事を感謝したい気持ちでいっぱい…

*お品書き
せいろ 750円、10割せいろ 850円、手碾きせいろ 950円(大盛250円)、ぶっかけ 1,000円、掻き揚げ天せいろ、鴨せいろ 1,200円、かけ 750円、にしんそば、掻き揚げ天そば 1,200円、鴨南蛮そば 1,400円、
焼き味噌 500円、鴨陶板焼き 700円、にしん昔煮 500円、野菜掻き揚げ天ぷら 250円、掻き揚げ天ぷら 500円、出し巻き玉子 600円、そばがき 600円
東北泉、穀良都、澤姫、竹鶴 600円~

手打蕎麦処 蕎酔庵
「一紘 -いっこう-」
八王子市日吉町8-16
042-622-0792
11:30~14:30
(夜要予約)17:30~20:30
火曜水曜定休
P2台 禁煙
2009年 3月 6日「手挽き粗挽きそば」に「かけ」も満喫
2008年 4月20日 「掻き揚げ」、絶品「手挽き蕎麦」
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実は私もご主人と会津の話もたくさんしてきたところなんですよ~っ

久しぶりに粗挽き心が満たされました(^^)。
電車の中でも、幸福感でうっとり。
あ、又食べたくなっちゃいます…(^^;
大げさに言ってしまえば、すべて微粉でも24メッシュで振るったと言ってしまえばそれまでなんですよね…。
こちらのご主人はメッシュ数を変えて4段階に振るい、粉の大きさを把握して、配合している…
それが味に表れていて・・
そうでないと、やっぱり食べてみないと、になっちゃうんですよね~
ここの粗挽きは風味が豊かで、
それぞれの蕎麦にそれぞれの味わいがあり、
余韻に浸るしばしの時間が幸福感でいっぱいです♪
極端な話全体の内10%が18メッシュしか通らない粗い粒で90%が超微粉でも18メッシュを通った蕎麦粉、90%が18メッシュしか通らない粗い粒で10%が超微粉でも一緒、また挽いた時点でふるうメッシュ数値より細かくなっている量が多い場合もある訳で、やはりどのぐらいの割合求める(食べたい)粒が入っているかが問題だと思います。
何か良い表現基準はないもんですかねー(^^)
いやぁ、本当に、
久しぶりに満たされた思いです。
メッシュという言葉は、メジャーになると、
ちょっと危険ですよね。
本当の粗挽きの基準になる言葉があればいいのに、などと思っている今日このごろ…
いえいえ…
西にもあるじゃないですか~(^^)。
行きたいと思っても、週3日しかやっていないお店もあったり、距離的、時間的な事もあったりで、なかなか行けないのが悔やまれるところです。
おっ、又行かれたんですね♪
あの、川上から川下に流れるような(?)蕎麦。(なんて巧い表現と感服しました~)
ありがとうございます♪
ここは、単に「24メッシュ」ではなく、4段階に分け、それぞれ粉の割合をきちんと把握しているのが、うれしいのです。
(超粗挽きの場合、#50以上は50%以下だそうです。うち、#24~#18が15%超え)
はい♪
玄蕎麦と丸ぬきは、香りの質も味も違う。
でも、どちらも美味しくて…(^^;
武蔵境のお店・・、あ!ちょっとご無沙汰していたので、見てきます♪
蕎麦もそれぞれですが…
酒米もまた奥が深く、本当にまだまだ知らない世界がいっぱいです(^^)。
砂のような 蕎麦粉もらって帰りたい。
出来れば打ち方を見たい。
すのこの要らない筋入りの蕎麦の皿も 一枚譲ってもらいたい。
モチ、食べたい。最大の願望・・
欲望ストレスが増大して身体に良くないので もう いっこうの記事は書かないでください、お願い!(笑)
私の休日が火曜日でお店の休日と重なりいまだ行けずにいます(TT)
東京の西は本当にレベルの高いお店が多いですねぇ。
東京の東のはずれの名前が不明だったお店に行ってきました。
よかったら、日記ご覧くださいませ。
玄蕎麦の外殻が入ると、食感も味わいもかなり丸抜きとは違ってきますよね。蕎麦掻き食べてて思うのです。
さて、「穀良都」は、武蔵境のお店にも常備していたと思いますが、「山廃」は知りませんでした。酒米も結構種類が多いので、最近驚いております。
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