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    つれづれ蕎麦 
    常陸太田 「慈久庵」
    2009年08月24日 (月) 22:28 | 編集
    訪れる前に、阿佐ヶ谷から茨城水府村に移転してしまった、「慈久庵」。
    行ってしまったとなったら、ますます行きたい…と、ずっとずっと思っていたお店。
    ちょっと前に、仲良しご夫婦からお誘いされ、もう一人友人を募ってやっと訪れる事が…niko.gif

    09-8-24 P
    早めに出発して向った、旧水府村。
    常陸太田南ICから、「龍神橋」を目指して、山道を上り…

    その山道の中腹にある山並をバックにした駐車場に入ると、
    す、すごいっ。
    まだ開店前だというのに既に車が何台も…。

    もう並んでるかなぁ、と不安感じながら表にまわると、目の前にお店がっ。

    09-8-24 店

    とうとう辿りついた…futt.gif、念願のお店が目の前に。

    09-8-24 店全景

    山の中に悠々と佇む、どこか南欧の建物を思い出される土壁の建物。
    藁の葺いた屋根が温かみ感じさせる、シックなカウントリーホテルのよう。

    茨城県日立太田市 「慈久庵 - JIKYUAN -」


    「見返りを求めぬ愛を久しく」の思いから名付けたという「慈久庵」。
    長年の思いが、やっと…futt.gif


    じっくりと眺めながら、門をくぐり入ると…

    09-8-24 店入り口

    おおっ、入口横の縁側にはずら~りと人々が座って並んでる。
    平日の、しかもまだまだ開店前だというのに、これはすごい…wao.gif



    限定30食と聞いていたのだが、大丈夫だろうか…
    などと、知らず知らず人数を数えながら (よかったっっ、15人だ)、我々も並んで腰を下ろし待つことに。

    開店5分前、11時25分。
    ご主人がすっと扉から出てきて、順番にお店に通される。

    …がっm002.gif
    テーブルに着ける人数に目の前で達してしまい、中でしば~し、待つことに。。
    ほぼ1時間、待ち、待ち、待ち…。
    (でも、わくわくした気持ち感じながら待つ時間はこれも結構楽しくて…niko.gif )

    ようやく通された店内は、高い高い天井に、大きく取られた窓から雄大な山の風景が眺められる、素敵な洋間。
    暖炉や古い骨董の箪笥が置かれ、広々とした空間に5卓、立派なテーブルが並んでる。

    09-8-24  店内

    その前には、広々としたお座敷の部屋もあり、何やらたくさん草(?)が干されてる。
    (これは、何だろう…???)

    洋と和がうまく調和した、ゆったりとした空気流れるテーブル席に我々も腰を下ろす。

    09-8-24 店内

    すべてご主人おひとりで切り盛りなさっている事もあってだろう、
    お水はセルフサービスで。

    09-8-24 水

    乾いていた喉をくっと潤わせて、さてさて~、品書きを ♪。

    09-8-24 品メイン09-8-24v品さけ


    お一人でなさっているので、もっとシンプルな品書きかと思いきや、「せいろ」以外にもなかなか豊富に揃ったお品書き。
    とは言え、やっぱり念願のお蕎麦、「せいろ」食べたい。

    「せいろ」と、あと…、
    「慈久庵コース」というのもあり、何を頼もうか~♪と、4人であれこれ迷うのも楽しい。
    そして、ようやく奥から順番にご主人が注文を聞きに来て下さり、いくつか決めたお料理を二皿づつと人数分の「せいろ」を注文~。
    奥のテーブルから順番にお料理が運ばれ、いよいよ我々のテーブルになり、

    まずは、やっぱり頂きたい「蕎麦前」を…
    と、お願いした「南部美人」(運転手さん、ごめんなさい~っ)

    09-8-24 酒


    お酒には、小さなお猪口に盛られたお通しが置かれ、
    「これは、『醤(ひしお)』というもので、小麦と大麦を塩と混ぜて発酵させたものです」
    と、ご主人が丁寧に説明して下さる。

    09-8-24 あて

    口にするとまろやかな塩味に、奥深い味わいがあり、お酒が進むうれしい一品。
    濃厚かつ、旨味の凝縮した小さな一品に、これだけで一合飲めてしまいそう

    と、皆でつつき頂いていると、程なく
    「これは、生姜醤油で食べて下さい」
    と出された「刺身こんにゃく」。

    09-8-24 こんにゃく

    これぞ、「山ふぐ」!と思うような、透明感の強い、美しい手作りの蒟蒻。

    09-8-24 こんにゃくたべ

    口にすると、ぷるんっぷるんっとした食感が心地よく、つるんっとして上品。
    奥久慈の蒟蒻は有名だけど、これは美味しい~と、南部美人と楽しみ…

    程なく出された、「野草の天ぷら」。
    テーブルに置いて下さりながら、

    「手前から…、ニラの花の天ぷらに、スカンポ、ギシギシ、スベリヒユの天麩羅です。」
    「これは、南米の塩なのでこれで頂いて下さい」

    と、これもゆっくりと丁寧に説明して下さる。

    09-8-24 天ぷら1

    どれも食べた事がない野草の天ぷらで、粗い塩を振りかけ食べると、さっくさく。
    それぞれの野草の味わいが独特で、軽やかな天ぷらがとても美味しい。

    09-8-24 天ぷらにら

    中でもとっても感動したのが、「ニラの花」の天ぷら。
    見目もかわいらしい天ぷらで、サクっとした軽やかな衣に包まれ、ニラの風味がふわりと立ち、味わい深い。
    ほぼ、ここ以外では食べられないような天ぷらにも、蕎麦以外に期待していなかっただけに、この天ぷらの美味しさに感動してしまう。

    しかも…
    帰ってきてから調べてみると、「スカンポ」「ギシギシ」は、蕎麦と同じタデ科のよう。
    これも、密にご主人の拘りだったのだろうか・・、などと思ってしまう。
    (それとも、たまたま?)


    と、美味しいね~onpu.gifと、それぞれの野草の味わいを口にしつつ頂いていると…

    「まずは、そのままで、後でこの葱味噌をつけて食べて下さい」
    と出された「焼畑そばがき」。

    09-8-24 そばがき

    掻きっぱなしの「蕎麦がき」で、その表面には粗い蕎麦の欠片が豪華に覆う。
    箸でつまみ上げると、ふわっとしてとろ~りと、とっても柔らか。

    09-8-24 そばがきたべ

    口に入れた途端に溶けて行く、優しい食感にざらりと掠めるざらつき感。
    溶けて行きながら、じわりと広がる、香ばしい穀物の味わい。
    上品で口どけ優しいそばがきで、これは美味しい

    そのままで穀物の風味をいっぱいに楽しみ、
    言われたように、添えられた味噌に葱をつけ頂くと、蕎麦の甘みを強く感じる。

    ただ…、私にはちょっと味噌が強すぎるような感じもし、生醤油をちょっと漬け頂くと、途端に本来の蕎麦の甘みが感じられるよう。
    味噌単体は美味しいけれど、私には生醤油の方が好みかなぁ、と、頂きながら、この蕎麦掻きでさらに蕎麦への期待を高めていると…

    いよいよ念願のお蕎麦が目の前に出される。

    09-8-24 せいろ

    この地で生まれ育ったのご主人が大事にしている水府村の蕎麦畑。
    その焼畑で、手刈り天日干しした「常陸秋蕎麦」を、石臼で手碾きした「せいろそば」。

    09-8-24 せいろあぷ

    修行なされた、私の大好きな「本むら庵」と同じ、正方形の蒸篭に盛られた蕎麦は、繊細に輝く細切りの蕎麦。

    09-8-24 せいろどあぷ

    日の明かりを受け、ほんのり緑がかった透けるような蕎麦には、粗い様々な色の蕎麦の粒がびっしりと覆う。
    見とれながら蕎麦を手繰り上げると、ふわりと漂う、暖かみ感じる穀物の香り。

    09-8-24 せいろたべ3

    口に含むと、しっとりとしなやかな腰加減。
    噛み締めると、ほろりとほどけていくような感覚がたまらなく、後にしっかりと穀物の味わいを残していく。
    繊細でありながら、穀物感溢れた感覚に味わい。
    優しくて、自然のぬくもり溢れた蕎麦に、もううっとりとして手繰り続ける。

    念願だった蕎麦は、やはり美味しい。
    何よりも…、私好みの(「本むら庵」のどこか面影感じる)蕎麦 futt.gif

    と、すっかり悦に入り手繰り続ける。
    汁は、ほんのり甘めの、鰹の風味がふわりと感じる、まろやかなもの。
    これが又、蕎麦と相性よく、絡め頂くとさらに蕎麦の味わいを深めるよう。

    ああ、美味しいな~…love.gif

    頃合い見て出された、ナチュラルに白濁した蕎麦湯をゆっくりと頂き、至福の心地を味わいながら、

    「あれは、何なんですか?」
    とご主人に、お座敷に広げ干してある植物をお聞きすると、
    「ペパーミントなんです。これをお茶にしたりするんですよ」
    と、薄く微笑んでおっしゃって下さる。
    ここで頂けるのかお聞きすると、
    「いえ…(^^;、お店では出さないんですが、知りあいに差し上げたりとか…」
    と、寡黙かと思っていたご主人がちょっとにこやかにお話して下さる。

    こんなに混んでいなければ、もしかしたらもっともっとお話しできたのでは、
    などと思いながらも、ご主人小川さんのお人柄にちょっと触れたように感じ、
    とてもうれしい。
    (「あ、今知り合いになった、と言う事で~」の友人の言葉には、しかとされたケド(^^;))

    少々待たされはするものの、テーブル毎に出されるという配慮は、順番が回ってくれば流れるようにお料理に蕎麦が運ばれるので、これはうれしい。
    おひとりで切り盛りされているならではのお考えなのだろうなぁ、と納得してしまう。

    行ってみたい、食べてみたいと思っていた、慈久庵の蕎麦。
    期待裏切らない、蕎麦の美味しさに心から満足感を感じお店を後に。

    ご馳走様でした~hahha.gif

    季節を変えて、又、食べたい…。
    すぐにそう思いながら、農家の蕎麦屋にちょっと寄り道して、東京へ…。


    Sさん、Nさん、Kさん、本当にありがとうございました~hahha.gif



    09-8-24 看板
    「慈久庵 - JIKYUAN - 」
        色蕎茶遊荘

    茨城県常陸太田市天下野町2162
    0292-70-6290
    11:30~14:30 (売り切れしまい)
    水曜・木曜定休 
    Pあり、禁煙

    お店のHP



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    コメント
    この記事へのコメント
    メタbow様
    はい、
    第一弾に間に合わず、並びました~(^^;

    それはそうと…
    風邪大丈夫ですかっっ。
    このところ気候が変なので、体調管理が大変ですよね…。
    インフルエンザにも気をつけないと。。

    そう、とってもいい時間をすごせました。
    時折くすっと微笑むご主人がちょっとお茶目で…(^^)。
    私も、又行きたいです~。
    2009/09/02(水) 12:02:08 | URL | yuka #0kufgj3.[編集]
    並びましたかぁ(^^)
    ここ、大好きです♪
    並んでいても、蕎麦好きなら興味のあるものが沢山あって飽きないですよね(笑)
    それに、ここに行くと「もてなす」って事の意味を考えさせられます。
    あの真摯に天ぷらの内容などを説明してくれる姿、華やかではないけれど本物なんだと感じました。
    なんでも、箸の角を削るのもご主人が自分でやってるそうで・・・頭が下がりますね。

    なんて書いてたら、また行きたくなってきたのでこの辺で(笑)

    yukaさん、夏バテにはご注意を♪
    オイラは夏バテしてみたい・・・(汗)
    2009/09/01(火) 23:48:30 | URL | メタbow #-[編集]
    そば好き様
    確かに、それは多いにあると、私も思いました。
    2009/08/30(日) 07:18:20 | URL | yuka #0kufgj3.[編集]
    ウサギ様
    私は、阿佐ヶ谷時代に訪れ仕舞いだったので、ちょっと羨ましいのですが、噂はかねがね…(^^;

    こちらでは、ご主人がおひとりでやられているので、ぴりぴりとした空気はないですよ(^^)。
    ゆったりとした気持ちで是非伺ってみてください(時間はかかるので…)。
    紅葉の頃もいいだろうなぁ、なんて思っています。
    2009/08/30(日) 07:17:25 | URL | yuka #0kufgj3.[編集]
    一言・・・
    素晴らしいと思うお店ですが、地元民から二言三言・・・

    一人でされるのはすばらしいと思う反面、お金もさわり 誘導もし オーダーも取り お盆の上げ下げもし 蕎麦もゆでる。
    効率も悪ければ、不衛生な面があるとも解釈できるのでは。
    2009/08/30(日) 04:00:29 | URL | そば好き #LkZag.iM[編集]
    阿佐ヶ谷時代には、なんだか蕎麦を食す「儀式」とか「修行」のような印象を受け、少し居心地の悪さを感じましたが(お蕎麦は素晴らしかったんですが)、今はご主人がお一人で全てをこなしているということを伺って、一度行ってみたくなりました。「慈久庵」跡の阿佐ヶ谷「道心」は勿論お気に入りです。
    2009/08/29(土) 15:21:42 | URL | ウサギ #l1HEP1fU[編集]
    私も、あら?
    同じ日に同じ場所にいたのかしら・・・?
    なんて思っていたんです。
    お電話下さればよかったのに~。。
    2009/08/29(土) 06:36:16 | URL | yuka #0kufgj3.[編集]
    次回は
    先日、金砂郷種まき見学に行ったとき
    よろうと思って、名前で、ナビ検索。

    ガビーン!
    世田谷の前の店が出ました。
    ゆかさんに電話すればよかったな。
    他に回ってしまいました。
    2009/08/29(土) 06:30:12 | URL | 夢八 #D2os1cdk[編集]
    ciel 様
    ルヴァン♪♪
    そうだったのですか…。
    慈久庵の…。

    小川さんはうどんにも拘りがあるようで、近くにうどんのお店も開かれていますものね。
    そちらにも行ってみたいな、と思っているところです。

    ciel 様も、ぜひ、
    いつか機会作って訪れてみてください♪

    2009/08/27(木) 00:23:52 | URL | yuka #0kufgj3.[編集]
    ☆まがり様
    分かってもらえて…
    うれしいです。
    ここまで来たら、やっぱり飲みたくなっちゃって(^^;

    こういう暖炉、
    今は、心も温まります。。
    2009/08/27(木) 00:21:21 | URL | yuka #0kufgj3.[編集]
    まあやん様
    はいっ♪
    行ってきました~~(^^)。

    阿佐ヶ谷の時期にも行きたかった、と今思います。
    あの頃は、まだなんだか敷居が高いように思えて、躊躇していて…。

    テレビの影響なのかもしれません。
    すごい人気なんだなぁ、と思った次第。
    でも…
    行ってよかった、心からそう思っています。
    2009/08/27(木) 00:19:58 | URL | yuka #0kufgj3.[編集]
    蕎麦喰い師 様
    えええっ~、そうだったんですかっっ。
    (ご一緒したかった)

    それはそうと、「おひしょ岩魚の卵添え」、そそ、そんなにっっっ。
    それは是非たべてみたいです。
    だってだって、おひしょだけでも、あんなに美味だったんですもん~~っっ。

    私、以前を知らないんです。
    どういう風に変わったのか…
    知りたいです。。
    2009/08/27(木) 00:17:48 | URL | yuka #0kufgj3.[編集]
    行きたい
    パンの天然酵母を仕込むのに小麦の粒を使うんですが、ルヴァンの甲田さんにご紹介いただいて、昨年から慈久庵の小川さんの小麦を使わせていただいてます。ずっと行きたいと思ってたんですが、中々いけません。
    yukaさんのフットワークの良さには本当に敬服します。
    2009/08/26(水) 22:08:28 | URL | ciel #-[編集]
    店内
    ぱっと目に付くのが昨今流行の
    お洒落な薪ストーブ
    実は拙者の実家高校まで築数百年の
    古い家でこんなお洒落じゃない
    薪ストーブだったんすよ
    もうね「明治の人かよっ」ってな
    もんですよ
    なので薪ストーブは感慨深いです
    もう、拙者が高校卒業して上京してすぐ
    古い家は取り壊されちゃいました
    新しい家には薪ストーブを置くような
    スペースも無いし家が煤けるから無し
    それどころか今度オール電化ですって

    あ、脱線ですな
    丁寧な感じのお蕎麦ですねー
    蕎麦前の肴の充実ぶりからも
    なんかお蕎麦への愛が感じられてしまいます
    これでは運転手を前に飲まない訳には
    いかないですなw
    2009/08/26(水) 17:47:23 | URL | ☆まがり★ #-[編集]
      わあ~慈久庵さんに行かれたんですね!
     阿佐ヶ谷にあった時にはよく足を運びましたが、移転してからは未訪問~テレビでご主人の仕事ぶりは拝見しましたが、今は全てお一人でこなされているんですね。ああ、いってみたいなあ(^^)
    2009/08/26(水) 09:11:56 | URL | まあやん #-[編集]
    何で一人なんだ・・
    実はつい二週間ほど前に行ったばかりです。
    「おひしょ岩魚の卵添え」コイツは危ないメニューですね。
    一口入れた途端に・・・ウォ~~~ッ!! 酒じゃ、酒じゃ、酒じゃ!!
    でもね・・・・ 中々来ないんだな これが・・・
    お蕎麦は阿佐ケ谷の頃とチョット変わったと感じました。挽き方が変わったのかな?水切りも随分と変わったような気がする・・
    店の窓から望む所にも蕎麦畑があるそうですよ、秋口に行けば白い蕎麦の花を眺めながら・・危ない「おひしょ岩魚の卵添え」で一献かも・・・
    2009/08/26(水) 08:55:37 | URL | 蕎麦喰い師 #VDz0rjeM[編集]
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