もう、前の晩からうきうき、わくわく。
Tさんの車に3人で乗り込み、いざ、那須へと東北高速をひと走り

順調に走りぬけ矢板ICで降り立ち、国道461号線に入りしばし車を進めると…、
通りに面して、ふと現れる、「十割蕎麦」と書かれた大きな看板。
その後ろに、広々とした駐車場を携えた、立派な日本家屋に辿りつく。

こ、ここが…

岐阜の「胡蝶庵」さんで修業なさったご主人の、美しい粗挽きの写真を見て以来、ずっと夢見てきたお店。
那須野塩原 自家製粉石臼挽き 十割蕎麦 「胡桃亭」
しみじみとお店に看板を眺め、すっと降ろされた暖簾の裏の扉を開き、店内へ…。
平日の昼下がり。
休日は混雑しているのであろう店内は、しんと静まり、落ち着いた空気が流れてる。
すっきりとして清潔な広々とした空間に、大テーブルが真ん中に黙って鎮座し、後ろに4人掛けのテーブル席が2卓。
我々4人は、その奥の、これもゆったりと作られた小上がりの間に通される。
すぐに出されたお茶を頂きながら、まずは品書きを各々吟味。
開いた最初のページに書かれている拘りをじっくりと目を通し…
お料理のいくつかと、まずは蕎麦前をと、お酒を註文。
(Tさんは、サイダー…、ごめんんさ~いっっ。)
選んだお酒は、滋賀のお酒「るみ子の酒」無濾過純米酒。
頼むと片口の器に、きれいな切子の猪口が出され、頂いていると…
程なく、山葵と大根おろしの薬味を添えて出された「蕎麦がき」。
滑らかに形作られた表面には、一目で見受けられる粗挽きの蕎麦の粒。
出来たてほっかほかの湯気を立てた「蕎麦がき」を、順番に取り分け箸を入れると、
これが、ふわっとして、とろ~りととても柔らか
そして口に含もうとした途端に、ぶわ~っと立ちこめる、香ばしい蕎麦の香り。
初っ端からノックアウトしそうな香りにうっとりしつつ、口に含むと、その途端に溶けてしまうような繊細さ。
繊細ながらざらりとした蕎麦の粒を感じ、飲みこもうとすると、香り以上に濃い、蕎麦の香ばしい味わいに、薬味も醤油も何もいらない。
こ、この蕎麦掻、これは美味しい~っ
と、感動していると、続いて出されたのは、「揚げ蕎麦がき」。
蕎麦掻を丸め、表面がカリカリに揚げられ、上にたっぷりの大根おろしが盛られ出される。
かりっとした表面が香ばく、中はとろ~り。
それに、ほんのりぴりりっとくる大根おろしが爽やかで、これも旨いっ。
そして…、蕎麦屋の定番、「出汁巻き玉子」。
たっぷり6切れで出された「出汁巻き玉子」は、ほんの~り優しい甘みを感じるが、すっきりとした出汁汁仕立て。
このバランスがとてもよく、お酒にたまらない。
ジューシーかつ、ふわっふわの卵焼きで、香川のお酒「悦凱陣」のお変わりを。
…と、お酒と一緒に出されたのが、蓋付きの器で出された「焼き鴨」。
蓋を開けると、たっぷりの葱を添えて、かりっと焼かれた鴨。
一切れ頂く鴨は、脂身の表面もぱりっと焼かれていて、しっとりとして旨みたっぷり。
これは美味しいな。
そして・・・、最後のお料理は、「天ぬき」。
蓋付きの塗りの器で出され、中には、たっぷり汁が張られた中に浮かぶ掻き揚げ。
これも順々とりわけ頂き…、まずは、この澄んだ汁を頂くと、すっきりとして上品なかけ汁。
それに、ぼこぼこと豪華に盛り込まれた海老の掻き揚げが、初めさくっと。
次第に汁に馴染み、しっとりとしていくのが、たまらない。
たっぷり、程よく堪能したところで…、いよいよ、夢に見たお蕎麦を。
まずは、お目当ての「要予約」の手挽き粗挽き田舎蕎麦から。
各々、薬味にもり汁が出され、高足の笊に盛られた蕎麦が置かれる。
目の前に置かれた瞬間、一瞬、息を呑む。
角がざっくりと鋭利に立つ蕎麦は、繊細かつ、その表面にびっしりと覆う蕎麦の欠片。
手繰り上げると、途端に立ちこめる深く香ばしい、濃い香り。
地元栃木馬頭の手狩り、天日干した蕎麦を手挽きし打たれた蕎麦の、この香り姿に、見とれてしまう。
口に含むと、まず感じる、たまらない心地のいいざらつき感。
噛み締めると、じわじわと広がる香ばしさ。
何も漬けずとも、味わいが濃く、皆そのまま手繰ってしまってる。
お、美味しい…
と、周りの声を聞きながら、わたしもうっとりとしながら食べ終え、
まだ食べたい…と、皆で取り分け頂こうと、普通の「せいろ蕎麦」を一人前追加で注文。
頼むと程なく出された「せいろそば」は、二段重ねの蒸篭に盛られて出される。
予約なしで頂けるこちらの蕎麦は、北海道の蕎麦を電動石臼で挽いた蕎麦。
これも、丹精な細切りに、繊細に透明な蕎麦の粒がびっしりと表面を覆う。
手繰り上げると、手挽きの蕎麦よりは軽めではあるが、これもしっかりと立つ、香ばしい香り。
口に含むと…、ああ、これも美味しい・・・。
ざらりとした感覚に、じわじわ感じる香ばしさ。
飲みこんだ後にまで、喉から鼻にじわ~っと上ってくる香ばしい蕎麦の風味に、もう、うっとりとしてしまう。
汁は、鰹に加え、鯖、ムロ鯵を加えて作られた、すっきりとまろやかな汁。
やや、魚系の香りが強く感じたが、奥行きあり丁寧に作られたのが伺えるものl。
食べ終えた頃合いには、熱々とろとろの蕎麦湯も出され、
これでほっとしていたのだが…
「かけ」も食べたい…。
と、これもみんなで食べるなら♪ と、追加で注文。
程なくして出された「かけそば」は、これも美しい、澄んだかけ汁。
その中に横たわる蕎麦は、熱を浴び、さらに穀物感がぐんっと増し、旨い。
これはいいな~…。
熱が加わった粗挽きの蕎麦の、優しく滋味なる味わい。
ほどけていくような感覚に、これもするすると食べてしまう。
食べてみたかった「胡桃亭」の蕎麦を思う存分堪能し、心から満足した至福の心地でいっぱい。
期待していた通り、いやそれ以上の満足を感じ、ほっとしているところにご主人も顔を出して下さり、しばしお話まで。
にこにことした笑顔の素敵なご主人は、話好きな気さくな方。
手狩り、天日干しの拘り、手挽きについての情熱などのお話は尽きる事がないよう。
もっとお話しを聞いていたいような気持ちを感じながら、お店を後に…。
御馳走様でした~
車に乗り込みながら、又食べたい…
そう思ってしまう、「胡桃亭」の蕎麦。
余韻に浸りながら、帰り道の思わぬハプニングもいい思い出
又、来たいな…。
Tさん、Kさん、Sさん、ありがとうございました~♪
*お品書き
せいろ(二段) 1,350円、おかわりせいろ(一段) 650円、とろろ 1,230円、割り子蕎麦 1,250円、田舎蕎麦(要予約) 1,100円、揚げ出汁豆腐蕎麦 1,230円、天ざる 1,580円、鴨汁せいろ 1,650円、海老天おろし蕎麦 1,700円、おろし 950円、鴨おろし 1,800円、かけ 850円、とろろそば 1,250円、天ぷらそば 1,600円など
蕎麦三昧 3,500円、蕎麦三位 1,600円
蕎麦寿司 1,150円、蕎麦がき 900円、蕎麦田楽、揚げ蕎麦掻 950円、焼き鴨 1,050円、出汁巻き玉子、天ぬき 1,000円
悦凱陣、秋鹿、るみ子の酒、ひこ孫など 900円~、サイダー250円
那須野塩原 自家製粉石臼挽き
十割蕎麦 「胡桃亭」
栃木県那須塩原市一区町131-18
0287-37-7575
11:30~ : 17:30~ 売切仕舞
木曜定休
Pあり、禁煙
お店のHP
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きっと、いろいろ真剣になりすぎて…という事が、あったのかもしれないですね…。
今、とてもnabejiさんの言葉がうれしく、ほっとしながら読ませて頂きました。
書きこみして下さったこと、とてもうれしいです。
これからも…
よろしくお願い致します。
nabejiさんが出会った、素敵なお店も教えて下さい(^^)。
胡桃亭のお蕎麦は本当に美味しく、
色々なこだわりが有るのかもしれないと
思い直しました。
yuka様のHPを見させていただき、
お蕎麦への優しい愛情に溢れていて
心和ませて戴きました。
有難うございました。
お蕎麦が美味しいだけに、こういうお話をお聞きすると、私も残念に思ってしまいます。。
残念です。
私とお話して下さったご主人はそんな事まったくなかったのですが・・・。
とてもとても、ご一緒したかったです。
ここも又伺いたいお店。次回はぜひ!
それと、そのお話、
ものすご~~く、うれしいです(^^)。
絶対、やりましょうよ~ん。
Blue e Rougeさんとはお会いしてますね。きっと、気がお合いになると思います。
まきこさんのお友達で、あちこちの有名店で蕎麦修行しているHさんなどとか、それから埼玉で純米で燗酒で頑張っておられるSさんなどと、では次回はウチで? 夏休み中がいいなぁ。
びっくりーです(^^)。
私もいっぱつで大好きになってしまいました。
それはそうと、いつもすれ違いで…
いつかお会いできれば、と思っています。
蕎麦もさながら、おつまみも日本酒も素晴らしくて。
猪のお肉なんかが「ご近所さんに頂いたもので~」って出てきたときは
ビックリしました!!
ぜひぜひ、です。
那須にもまだまだ行きたいところがいっぱいあって、本当に体がもうひとつ欲しいところです(^^)
ここはチェックしてありましたが、未訪問~しかkりと記憶しておきます(^_^)
そうなんです~。前回那須を訪れた時、木曜日でほしさん、胡桃亭に来れなくていて…(涙)
(その時、蕎心庵さんに伺いました♪)
やっとやっと行ってきて、感無量です。
それはそうと、又しても、すぐにでも又行きたくなってしまうではないですか~(^^;
やはり…、体もう二つ三つ欲しいです!
矢板近辺にも色々とメディアに載っていない新店がありますよ。
那須方面にも色々とあります、味を別にすれば雰囲気の小椋、蕎心庵、御座候、チョット面白い独特のお蕎麦の季流、ニラ蕎麦が面白いこむらさき(美味しい不味いは別として、自家栽培、自家製粉のジャリジャリ蕎麦は凄いですよ)・・・etc
栃木もお蕎麦の産地ゆえ、色々と隠れ面白蕎麦屋がありますよね。
何にしても又一つ良い店に行かれたようで・・
つい私もつられて久し振りに行きたくなりました。
石心さんも行ってみたいお店。
それにほしさん。
以前那須に行った折、胡桃庵さん含めた3軒とも、木曜日が定休日で来れなくて…(^^;
石心さんにも行ってみます(^^)
いえいえ、4人です。
車だったので、やはり2軒目も考えていたのですが、ここでゆっくりしてしまったのと(どこも営業時間は一緒なので)、
なんだか、ここでとても満喫して満足してしまったので、他に行く気持ちになれなかったんです。
余韻に浸っていたくて…
那須には、まだまだ行きたいお店があるので、又行きたいです。
那須・・・といえば、那須高原の石心も美味しかったなぁ。
日本酒初心者の僕はるみ子の酒も悦凱陣も
早く飲んでみたいのですが、天ヌキって本当によく
日本酒に合うそうで。
3人でしょう、2軒目があるのかな?と思えば、
そうではなかったようで。(^^)ま、僕みたいに
バカスカ食べるよりも、比較的少食なyukaさんは
上品な感じでいいのかも知れませんね。
ずっと食べてみたいと思っていたので、感動もひとしお。
那須に行かれたら、ぜひぜひ!です。
美味さの レベルが 違うように お見受けしました。
しかも 大好物ばかり どんどん 出てきますね!
うらやましい~です
→ yuka (06/27)
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