となったら…、
いつかは夜に訪れ、夜のコースも食べてみたい、と思っていたところ。
今日はうれしいお誘いを受け、(もう一つの目的もあり) いよいよ、長年夢見てきた、夜の「無庵」さんを訪れる事が


夕暮れの暗闇にほのかに漏れた灯りが、又一層、幽玄なる雰囲気を感じさせ、何とも言えない雰囲気。
立川の街中にいる事を、ふと忘れてしまいそう…。
立川 「蕎麦懐石 無庵」
どこか山里辺りで出会った一庵のような、そんな気持ちになりながら、
降ろされた大きな暖簾を潜り店内へ。
6時丁度の店内は、我々が一番乗り。
しんっと静まり、空気がゆるゆると落ちて行くようなしっとりとした店内。
どこもかしこも、素敵な空間…。
ゆっくりと店内を見渡しながら、通されたテーブルに腰を下ろし…、
まずはビールで乾杯~
頼んで下さっていたお料理は、一度食べてみたい…と、思っていた
蕎麦料理と季節の魚、野菜を使った蕎麦懐石の、「無山人の蕎麦遊膳」。
まず出された前菜の「蕎麦豆腐」には、雲丹と山葵菜が添えて出される。
とろっとしてさらりとした蕎麦豆腐には、上品な出汁が掛けられ、
上に載せられた雲丹の美味しい事っ
これまで食べた雲丹の中で、一番かも…、
と思う極上の雲丹に、添えられた山葵菜が実によく合う。
この一品ですでにノックアウトしてしまいそうになっていると、
「蕎麦の実のお吸い物」 が出される。
蓋を開けてみると、ぷりっぷりの蛤が横たわったお吸い物。
潮の風味がふわ~っと香る、上品で体にすぅっと染み入る。
中には、柔らかく炊かれた蕎麦の実が沈み、ほおっとするお吸い物。
こんなお料理を前にしたら…、
と早速ビールからお酒に切り替えて。
と品書きを見ると、
飲んでみたいと思っていた、
あきる野の「喜正」があり、
それをお願いする事に。
そして…、いよいよ「無庵」さん名物の、「蕎麦寿司」がど~んと目の前に置かれる。
「蕎麦寿司」があるのは知っていたが、実際目にするのは初めての「蕎麦寿司」は、
巻物ではなく、なんと握り 。
すし飯の代わりに、すし酢でしっかりと味付けされた蕎麦が握られ、
その上に魚介のネタが盛られてる。
すし酢風味の蕎麦が、とても美味しく、
上に載せられたネタの質の良さに、感動のしっぱなし。
身のしっかりとした帆立は甘みが濃く、上にはカラスミがまぶされ…
本鯛の稚魚、まさに春のお魚、かすご(春子)鯛は、
まるで桜の花びらのように、ほんのり美しいピンク色。
ほどよく味付けされた穴子も、ふわりとして、これまた美味しい~っ。
と、奥能登の酒 「白菊」(純米吟醸)も追加でお願いし…
ここで、大皿に美しく盛りつけられた数々のお料理、「季節の点心」が置かれる。
小さなしゃもじに焼きつけられた「焼き味噌」に、
「白バイ貝の煮付け」、「ぜんまいの白和え」、「花豆の煮物」…
小さな切り株のようみ見立てた、「独活」に、
「金目鯛の粕漬け」
「蛍烏賊とタラの芽の酢味噌がけ」
「菜の花のお浸し」。
春の素材のお料理は、見目も美しく、どれもこれも完璧な味わい。
さらに、「久寿玉」の熱燗をお願いすると、
ここで頂けるとは思ってもみなかった、「刺身の盛り合わせ」まで。
丁寧で繊細に、美しく切り分けられた、鯛と鯵のお刺身。
透きとおるかのような鯛も、身のしまった鯵も、実に美味しい。
端正なこの切り方具合が、又一層魚の旨みを引き立てている。
と、これだけでもう、十分満足しきっているところに、
「本日の蕎麦掻でございます」
と、意表を突くような、どっしりとした大鉢のお料理が置かれる。
揚げ蕎麦掻に、おこぜの唐揚げ、たっぷりの新玉ねぎと菜の花が添えられ
南蛮風味の餡がたっぷりと掛けられたもの。
かりっかりに揚げられたおこぜは、骨まで柔らかく、身はしっとりふわりとし、
この餡に絡め頂くと、極上の味わい。
「揚げ蕎麦掻き」は、表面はカラリと香ばしく、中はとろ~りとして滑らか。
ん~…、たまらなーい 。
夢中で食べてしまい、ほっとしていると…
このタイミングが又心憎い、箸やすめのように出された、「カラスミ」。
「自家製なんですよ」
との厚みのあるのがうれしいカラスミは、ふわっとして濃厚な味わい。
手作りだからだろうか、この軽やかさ、上品でふくらみのある味わいは
これも今まで食べた中で一番!と、しかと感じ入ってしまう。
もう、これだけでたっぷりお酒頂けてしまいそう~っ
上品な「香のもの」が出され…
これでお蕎麦かと思いきや、最後に「天麩羅の盛り合わせ」。
薄い衣でさっくりと軽やかに揚げられた天ぷらは、
「タラの芽」に、「さわら」、「ぜんまい」に「独活」の天麩羅。
口に入った途端にさくさくさく…と、こぼれるような天麩羅。
中でも、「鰆」の天ぷらにうっとり。
しっとりふわりとした身の鰆に、桜葉が巻かれて揚げられ、
ふわ~っと春の桜の香りが口に広がる、素晴らしい演出。
すっかり、「無庵」さんのお料理を堪能しつくし、満喫したところで…、
いよいよ〆のお蕎麦が出される。
「最近、挽きぐるみの蕎麦に変えたんです」
とおっしゃりながら、これまでの長方形の蒸篭に変えて、
陶器の器に盛られた蕎麦は、手挽きして打たれた粗挽きの蕎麦。
角がピンと立ち、やや太めになった蕎麦は透明感があり、
蕎麦の欠片がところどころに浮いた美しい面持ち。
手繰り上げると、ふわ~っと立ちこめる香ばい豊な香りにうっとり。
口に含むと心地のいい腰加減を感じ、噛み締めると、じわ~っと広がる穀物の風味。
これが濃いっっ。
噛み締める途中で、そして飲みこんだ後からも、
ぐわ~っと登ってくる蕎麦の風味に、思わず唸ってしまう。
汁などいらない、この味わい。結局ほとんど汁を使わず、
これまで以上の蕎麦に、うっとりと頂いてしまう。
いやぁ…、この蕎麦、これは美味しい…
お料理の美味しさに、そして最後のこの蕎麦。
もう、夢見心地でいる所に、これも美しい「デザート盛り合わせ」まで。
さっぱりとした「甘夏ゼリー」に、
出来たての「オレンジピール」が食べた後にとても爽やか。
胡桃がかわいい、濃厚でありながら上品な「蕎麦アイス」に、
しっとりとした「一口蕎麦カステラ」
それに、これがたまらな~い味わいの、「酒粕ブラマンジェ」。
どれも欠ける事ない完璧の一連のお料理に、
心の底から満喫した、夢のような時間…。
尽きる事のないくらい、思う存分話せた蕎麦談義に、
久し振りに再会した友人の笑顔がとてもうれしくて。
しかも恐れ多くも、初めてご主人とまでお目にかかれ、
ゆっくりたっぷりとご主人とお話できた感動の時間。
お弟子さんのお店すべて素晴らしくあるのは、このご主人あっての事なんだなぁ、
と、ご主人の蕎麦に対するお気持ち、お店に対する考えを聞きながら
しかと感じた、又とない貴重なひと時。
とてもとても魅力的なご主人に、お会いできた幸せ。
「無庵」のお料理に蕎麦、いや、「無庵」というお店すべてから頂いたこの感動。
ずっと忘れずに、心に留めておきたい…
本当に…、ご馳走様でした~
K様、本当にありがとうございました~

「蕎麦懐石 無庵」
立川市曙町1-28-5
042-524-0512
11;30~14:30 / 17:00~21:30
日曜、第1月曜定休日 禁煙
お店のHP 品書きなど
関連日記
2008年11月17日 「お昼の蕎麦遊膳」
2007年11月15日 「季節の点心」で蕎麦前、「生粉打ち蕎麦」
2007年 4月23日 「季節の点心」で蕎麦前、「せいろ蕎麦」
2005年 4月18日 「せいろ蕎麦」
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言わんとすること、分かるような気がします。
印象ではありませんでした。蕎麦豆腐の
雲丹はこの写真のような見事なものでは
なかったし、引き戸の開け閉めする音が
頻繁にするのですが、お客さんじゃなく
従業員なんです。なんか落ち着かなくて。
「土家」さんが明らかにここの影響をうけ
ているのは感じます。店内やお蕎麦も似
ています。違いますけど。「土家」さんは、
ここから余計なものいっさい削ぎ落とした
感じだと思います。身贔屓な感想かな。
それとも「きぬたや」さんに「無庵さん系
列の蕎麦とスタイルは僕の好みではない
んです。」というお話を聞いた後だという
事もあったかなぁ。
羨ましい~…。
季節毎に、違うお料理が出るようなので、岡崎さんのブログ、とても楽しみにしています(^^)。
行かれたら教えて下さい♪
無庵のコースは3段階のうち、どの値段になりますか。
そういえば、土家さんで使っている陶器の器に、とても感じがよく似ていました。
今でも使われているなんて、
なだか、ほっと暖かい気持ちにさせられます(^^)
あれは1、2年焼物の勉強をした
土屋さんのオリジナルなんですよ
ほんっとに、ほんっとに、
どれもこれも美味しくて、幸せいっぱいでした。
味見ができるなんて、羨ましい~っ、です(^^)。
又、伺います♪
素敵なところで(大変でしょうが)働けるNさんがちょっと羨ましくも…。
がんばって下さい。
そして、いつかゆっくりお会いしたいです。
料理長さんの腕前、ほんっとに感動モノでした(^^)。
そんなに喜んでくださると嬉しい!
美味しいですよね、私も味見できる事があって
それを楽しみにバイトに励んでいます(笑)
すぐさまにアップしてくださって、こちらの記事をお話したら
料理長さんも「そう、良かった。」と喜んでおりました。
毎月、毎日仕入れで天ぷらや蕎麦掻、お造りのお魚が違ったり、
蕎麦豆腐が揚げに変わったりはございます。
あと、予約の際にあれが食べたい!
あれは食べれない!のリクエストには
ほぼお答えできます~。
食べれない量ならスモールサイズに変えて質を上げたり。
yukaさんに喜んで頂けてバイトのモチベーションが上がりました!
本当にどれもが美味しくて、
ご一緒して頂いて、本当に感謝しています。
K様がいらっしゃったから、ご主人にもお会いできた、と、うれしく思っています。
もしおひとりで行かれるようだったら、「季節の点心」は食べてみて下さい。(ハーフで作ってくれるので)。私もこれまではいつも一人だったのですが、これをいつも頼んでいました。
コースは、ぜひ、ご主人と一緒にでも(^^)
手作りのからすみは、やっぱりいいですね~。
もう、一年分くらたのしんじゃった気分でした。
こちらのお店のお弟子さんのお店も、皆、同じように素晴らしいんです。それも感心させられています。
ちょっとした料亭なんかより…
と思ってしまいました。
すごすぎ、ですよね~(^^)。
でも、やあっぱり、無庵はすごいと、心底感動しちゃいました。
蕎麦寿司、私も握りは初めて。
もう~、思い出しただけでも又食べたいくらい、美味しかったです。
yukaさんの美味しい、の声厨房に聞こえたんだね。
ご主人思わず席に来られましたね。
蕎麦寿司芸術的に仕上がってましたね。
お蕎麦の握りって初めて見た~!
からすみって自作!
あれ、ちょっと大変らしいですよ
手間隙かかってますねぇ
蕎麦屋の枠は完全に飛び越えちゃってますな
すばらしい
無庵さんの夜のコース料理なんて、すっごく羨ましいです~。
多彩な料理の数々、見ているだけで、うっとり。
蕎麦寿司好きとしては、蕎麦のにぎりがみょ~に気になりました(^-^)
これはすごいでしょ~(^^)。
無庵さんの、素晴らしさを堪能してしまいました。
ぜひぜひ、です。
昼専門でしたから~
それにしても、
本当にすばらしいお料理でした!
夜は、さらにいいですね~~♪♪
蕎麦、変わりましたよ!
粗挽きの、一層おいしい蕎麦に、もううっとり…、でした。
ほんっとに、どれもこれも、とても美味しいお料理でした。
蕎麦も、おっしゃっていた通り、以前と変わり一層おいしかったです。
それはそうと、岡崎さんのお写真の美しいこと、美しいこと…!
あの発砲酒、まだあったんですね(^^)。
早速行かれた事、私もとてもうれしいです。
え?話題…?
ど、どんな…・(ドキドキ)
立川では相変わらずの人気店です。和食***ダイニング等にいくより よっぽど 値ごろです。たまに飲みに行こうかと先輩を誘うのですが、奥の座敷の予約がなかなか取れなくて・・・。
手の込んだ、見栄えのするお料理の数々、
素晴らしい。こんだけの料理があの値段って
安いですし、やっぱyukaさんってお人柄が
いいですよね。
今日のランチはいっこうにしました。お勧めの
超粗挽きをとても気に入りましてね。yukaさんの
話題も出ていましたよ。ご紹介ありがとうございました。
→ yuka (02/04)
→ chameleon_arms (02/04)
→ yuka (01/20)
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→ 多摩市民 (01/19)