その中に溶け込みながらもさりげなく、暖かくて優しい空気溢れたお店。
ちょっとご無沙汰していたところ、なんでも新しい石臼を仕入れた…、とお聞きし、今日はここでお友達と待ち合わせ


永福町 「黒森庵」
横の梅の木のつぼみはまだ堅そう。もうちょっと、春は遠いかな~…
暖簾をくぐって入るとすぐ、かわいらしい笑顔で娘さんが迎えてくれ、
すでに到着していた友人二人…と、思ったら、さらに何人かの蕎麦友達が来ていて、途端うれしくなってしまう。
隣のテーブルに腰を下ろし、すぐに弾む話に、ちょっとビールを頂こう~♪。
今日のアテは、冬らしい味の染みた 「大根と厚揚げの炊いたん」。
白滝と一緒に、大根の葉も刻んで添えてあり、しゃきしゃきっとした歯ごたえが楽しい。
と、ビール片手に、話が盛り上がる中、先に来ていた友人3人が
「ちょっとお先に…」
と、早速お蕎麦を頼み、食べ始めている姿を見ていたら…
もう、私もお蕎麦が食べたくなって仕方ない 。
ビールそこそこに、私もお蕎麦を頂くことに 。
「今日は、ちょっといろいろあるんだ」
と、にっこりと微笑まれ、まず出されたのは、茨城七会村の常陸秋蕎麦。
黒森庵独特の、丹精で美しい細切りの蕎麦。
顔を寄せると、ふわ~っと野生味ある穀物の香りが充満し、もちもちとした腰が気持ちいい。
噛み締めると、これも濃い風味が途端に広がり、汁を使わずにペロリと食べてしまう。
と、すぐに二枚目の笊が運ばれる。一年寝かせた 「2007年産の富山」の蕎麦。
姿形に大きな違いはないが、顔を寄せると、これが違う。
しっとり熟成したような、甘み深みを含んだぬくもりのある香り。
口にすると、この風味も又、落ち着いたしっとり感のある香ばしい味わい。
これも、美味しい…
流れるように運ばれた三枚目は、新もの、「2008年産富山」の蕎麦。
お、これはおもしろい♪
同じ富山の蕎麦でも、こちらはまだ新鮮さが加わったような香ばしい香り。
味わいも去年ものとはやはり違う。甲乙つけ難い、こちらも深い香ばしさが感じられる。
あれこれと、どれがよかった、あれはどうだった…、などと話ながら、
さっき開けたばかりだとういう、「豊盃」の発泡うすにごりを頂き、あれこれと蕎麦談義。
と、又友人達と歓談し始めていると、ご主人がにっこにっこと
「粗挽き、打ってみたんだけど、試食してみてくれる?」
とおっしゃる。
あ、粗挽き ?? それを聞いたら、答えは一つ。
皆揃って「もちろん!」とお願いすることに。
と、程なくして目の前に置かれた笊を見て、目が見開く
あの、微粉だけだった「黒森庵」で、この挽きぐるみの、びっしりと蕎麦の粒が浮き出た、野趣さあふれた姿の蕎麦を見られるとは…!
4枚目と同じ富山の蕎麦、それを新たに仕入れた石臼で挽かれたとの、見るからに粗挽きの蕎麦。
蕎麦の粒が豪華に散り、その角の鋭角な姿の蕎麦は、顔を寄せるまでもなく、ぶわ~っと、どこかだだ茶豆を思わせる、香ばしい香りを放つ。
お聞きすると、これは昨日打ったものを一日寝かせたものとの事。
もう、香りだけでうっとりしてしまう蕎麦を口に含む。
途端に感じる、心地のいい蕎麦の粒がかすめていくざらつき感。
噛み締めると、香り同様の深くて濃い、そして甘みのある風味がこれも口いっぱいに広がってくる。
こ、これは…、たまらな~~いっっ
興奮冷めやらぬ間に、今日打ちたての粗挽きも続いて出され…
この粗挽きの姿も美しく、こちらはだだ茶豆というよりは、焙煎したような香ばしい香り。
もっちりとして、穀物感に溢れ、荒々しいというのとは違う心地のいいざらつき。
そして、噛み締める途端に広がる、蕎麦独特の持つ深みのある味わい。
もう、すっかり虜になってしまい、うっとりしながら夢中で手繰り続けてしまう。
…と、さらに、さすが!Hさん。
「これを『温もり』で食べてみたい」
とご主人に言うではないの。
で、早速、皆で回し食べて、と出された「粗挽きそば」の「温もり」。
まずは、私から・・・。
粗挽き蕎麦では切れぎれになってしまうのでは、と思った温もりだが、これが旨い!
温められた事で、さらに穀物感が豊かに感じ、ざらつき感、つながりも変わらない。
これは美味しい !
しかも、その後で、ぽんっと載せられた卵の黄身を絡めたら…、
もう~っ 言葉にならなーいっ
すっかり、心抜かれたように満喫して、最後にとろっとろのポタージュ蕎麦湯を頂きながら、ご主人に
「どの石臼なんですか?」
と、新兵器の石臼をお聞きすると、
「ちょっと待ってて」
と何やら抱えて持ってきた石臼。
思ったより小さな石臼は、ドイツ製のものとのこと。
いろいろ目たてなどをお聞きしていたら、素人の私でも楽しくなってきてしまう。
「今、とってもね、これで挽く粗挽きが楽しくて楽しくて…」
と、子供のような笑顔で夢中で話して下さるご主人。
しかも、近い将来、枚数限定になるかもしれないが、メニューに加えていくつもりとのこと。
これはうれしいっ
これまでの黒森庵の蕎麦ももちろん大好きだけど、粗挽き好きとしてはこの蕎麦がこれからも食べられるとあったら、感動もの。
「『ドイツの石臼のもり』、かなぁ~ 」
と楽しそうにつぶやくご主人は、既にネーミングまで考え始めてる。
デザートに出される最後の美味しい「煮豆」を頂きながら、
このご主人はすごい…、と何度目かの思いをしみじみと感じ入る。
そして又、皆さんとの楽しい時間も頂いて…
ご馳走様でした~
ああ、なんて充実したひと時。
あの粗挽きがメニューに乗る日が、今から楽しみ、楽しみ…
Tさん、Kさん、Hさん、Fさん、Yさん、Aさん…、ありがとうございました♪
「黒森庵」
杉並区和泉3-17-6
03-3327-4496
11:30~15:00
金・土・祝 & 東京都民の日 定休
禁煙
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そうですか、早速頂いたんですね(^^)。
粗挽きにもいろいろありますが、ご主人の粗挽きに仕上がっているような気がしています。
こちらこそ、
これからもよろしくお願い致します。
ワタシは蕎麦には疎いのですが、何と言うか土のニュアンスを感じる蕎麦だったように思います。
素朴な甘みも印象的。しみじみ美味しかったです。
黒森庵のご主人からこちらのblogを教えて頂きました。
また、寄らせてください。
ではでは。
さすが、ドイツ、石臼、だけでわかってしまわれるなんて。
確かそうだと思います。
でも、メモリの調節は、ご主人の勘でやられているそうで、この辺りが天性なんだろうな~…・なんて思って聞いていました。
とにかく、お二方の知識には脱帽です…(^^)
小麦の製粉機だったものです。
僕はアマチェア時代に購入して
店では蕎麦掻にして出してました。
粗挽きになるので蕎麦にするのが
大変だから、蕎麦にはしなかったけど
当時は使い方が難しかったけど進化
してるかもしれませんね。
去年、友達と草津の「風」さんを訪ねましたが、
あそこはミクロパウダーという国産の水冷式の臼を使って微粉を十割で出していました。
いろいろな道具があるものですね。
メッシュとか、じゃないんですよ♪
実際に夢八さんも見たら、欲しくなっちゃうかもしれないです(^^)
ご主人も、すごくこのドイツの石臼が気に入られた様子でした。
私も見ていてほしくなってしまうような、おもしろいものです。
蕎麦を寝かせる…
京都の「なかじん」さんが始められ、最近はいくつかのお蕎麦屋さんでもやっているんです。
寝かせるには、蕎麦も選ぶみたいでうが、これが美味しいんですよ~(^^)
新橋の、っていうと、あの駅前のビルの立ち飲みのですね♪
あそこいいですよね~、
私もいってみようかしら。
情報ありがとうございます。
電動で無いような気がしますが。
それにしても蕎麦を寝かせるだなんて。
肉や魚は聞きますけど、蕎麦を寝かせると
しっとりとするだなんて初めて聞きました。
黒森庵。いいっすなぁ。
産地ごととか年代なんて
比べる機会が無いっす
精々三色盛りですよ
うすにごりっていいですね
お酒はちょっと色がある方が
美味しいような気がしてしまいます
中学の同級生の実家の
どぶろく造りのお酒がうまいんです
新橋に長野のお酒専門店見つけたので
週末行ってきます
店主は12月過ぎれば入るはず
って行ってたので
東京で手に入るとは思わなかった
デザートに煮豆って新鮮ですな
まあ、あんこも言って見れば煮豆ですが
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