近くでの用事を済ませ、今日こそ、と帰りに寄ってみることに。
西小山駅から伸びる小さくて充実した商店街。空腹時にはたまらないお惣菜のお店や、魚屋さん、八百屋さんが隙間なく並び、活気に満ちた通りは、歩いているだけでも楽しい。
その商店街の切れ目近く、横切る通りに差し掛かる手前に、ふわりと靡く「そば」の文字。
町に溶け込んだほのぼのとした感じをまとった、ほっとする小さなお店。
かわいらしい書体の文字が微笑ましい暖簾が、そよそよと夜風に揺れている。
西小山 「そばの家 ほりぐち」
お店の前に貼られていたお品書きに目を落としていると、隣の方が回覧板を置きに来たらしく、お店の方に変わって「どうぞ~」と、声をかけて下さる。
下町の気兼ねなさをふっと感じながら、誘われたかのように暖簾を潜り中へと。
入った店内は、思ったよりもずっと小さなお店。
厨房に面して、すっとカウンターが一列、8人分並んだだけが客席。
詰め込めば、後ろにテーブルが二つくらいは置けそうでもあるのを、あえてゆったりとして使っている。
「いらっしゃい」
と、入り口すぐのところにいらっしゃった奥様、ご主人に声をかけられ、入り口すぐの所の椅子を引く。
奥には、常連と見られるお客さんが、親しそうにご主人とお話などをなさっていて、どうやらご夫婦二人で営まれているよう。
「はい、これが品書きね」
とカウンターにおかれていた品書きを手渡され、ゆっくりと吟味。
冷たい蕎麦は、十割と二八の二つのみ。それに温かいそばがくつか並び・・
珍しいのはそばがきに並んで、「ハット」が書かれてる
蕎麦も「会津産」と書かれていたので、福島に何か縁があるのかな?
などと考えながら、まずは・・・、仕事終わりの一人乾杯しようと「お酒」を。
頼むとまずは、お盆に三種の薬味?の載った仕切りのある器が載せられ、ご主人がたっぷりとこぼして注いで下さる。
「どこのお酒なんですか?」
とお聞きすると、奈良のお酒、「梅の宿 」とのこと。
すっきりとしながらも、旨味のある美味しいお酒に、何かお料理を・・・と、見ると、お料理の品書は、「酒肴一品300円~」とだけ書かれているのみ。
「あ、あの、お料理って・・・?」
と、お聞きすると、
「ちょっと待ってね、今お出しするから」
と女将さんがおっしゃり、よく見ると「なるべく考えてお出しします」と書かれている。
成る程~と、お酒を頂いていると、程なく、枝豆に、漬物が目の前に置かれる。
まだほんのりと暖かいだだ茶豆は、甘みが濃い。それに、しっかりと漬けられた糠の古漬け。
「女将さんが漬けられているんですか?」
とお聞きすると、
「そう、うちは手作り以外のものは出さないから 」
とのこと。
さらに、ささっと盛って出して下さった、自家製の「ポテトサラダ」。
クリーミーで、お酒にもよく合う美味しいポテトサラダを頂いていると、
さらに、「はたはたの味醂干」まで。
あっという間に豪華に私の前には4品の小鉢が並べられ、なんとも贅沢な気持ちになってしまう。
どれもが、手作りの暖かさ感じる美味しいお料理に、奥のおじ様達の会話を聞くともなしに、ゆっくりと味わっていると、
「お近くなの?」
などなど、ぽつりぽつりと話しかけて下さるのもうれしい。
いくつかお話させて頂いていると、ご夫婦揃って群馬のご出身とのこと。それで、うどんは赤城山麓の地粉100㌫で、蕎麦と共にこちらで打っているそう。さらに、こちらにお店を始めて、もう10年になるとのお話に、感心していると・・・
「これ、焼酎にも合うらしいのよ」
と出して下さった、はぜと明日葉の天ぷら。
会話途中で、こちらで置いてある拘りの焼酎の話も出てきたこともあり、お酒のお変わりは、ご主人お勧めの「山ねこ」を半分だけ、ロックでお願いすることに。
お店のお客さんが一体となるような、暖かな空気の中で楽しむ、ひと時の幸せ。
ゆっくりと、のんびりと、楽しんでいると、
「あのっ、お母さんが後から来るから・・・」
と、ご近所の子供が二人、ちょこんと食べに入ってくる。
なんだか、こういうの、いいな~・・・
などとほのぼのとしたものを感じながら、私もそろそろお蕎麦を頂こう・・・。
ここは、やっぱり 。
「会津高原産の全粒粉」で打った十割蕎麦をお願いすることに。
手際よく茹でられ、程なくして出された蕎麦は、かなり細く切られた挽きぐるみ。
切り口の立った、切り幅にムラのない丹精な蕎麦は、細いながらも、燐とした勢いが感じられる。
手繰り上げると、細かな蕎麦の欠片が散る蕎麦で、、顔を寄せると、ふわり漂う蕎麦の香り。
口に含むと、しっとりとした腰があり、のど越しがとても爽やか。するすると喉元に落ちていく中で、ゆっくりと蕎麦の甘みが広がってくる。
まろやかでありながら、やや濃い目の汁も美味しく、ぺろりと頂いてしまう。
見ていると、きちんと別に作って下さっている蕎麦湯は、柔らかく白濁したもので、これもたっぷりと頂くと、お腹もいっぱ~い
「又寄ってね 」
と、暖かい言葉をかけて下さりながら、渡されたお勘定の何て安いこと・・・。
(2,100円だなんて・・・ )
「初めてだから、サービスよ♪」
などとおっしゃりながら微笑む女将さんの気持ちがうれしく、ほっと心に暖かいものを感じながら、お店を後に・・・。
ご馳走さまでした~
ぶっきらぼうな口調のようで、とても暖かいお二人に、又ぜひ訪れたいとしかと思いながら、再び駅へと・・・。
下町の商店街の中にある、人情あふれたお店。
こういうお店も、家の近くに欲しいな~・・・
*お品書き
十割そば 1,000円、二八そば 800円、ざるうどん、釜揚げうどん 600円、山菜うどん 650円、きつね、かきあげうどん 700円、にしんそば 950円、かきあげそば 850円、きつねそば、山菜そば 750円、そばがき、ハット 500円、辛味大根 100円、炊き込みご飯 200円
お酒、ビール、焼酎 550円
「そばの家 ほりぐち」
目黒区原町1-15-2
03-3715-4332
11:30~14:30 / 17:30~20:30
月曜定休 禁煙、
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そう、なんだかあのお二人とお話していると、ほのぼのとあったかい気持ちになってきますよね・・・。
ちょこちょこと出してくださるお料理も、心温かくて。。
情景が思い浮かぶようです。
すべて奥さんが打つという、十割蕎麦を頂いて帰りました。なんとも優しい人柄が匂うような、細く繊細な蕎麦でした。
こんな美味しいもの、食べちゃいかん!
とお役人から言われたらしくて、「そば法度」って名づけられた、って前にお聞きしました(^^)。
お近くなのが羨ましいです。
本当に、東急沿線も充実してましよね~。
さて、ビアンキ!
ルポ見させて頂きました。かっこいい~♪
いいな~、いいな~・・・♪♪
紺地にチェレステーカラー・・・
どこかで、走っているのを見かけたら、みんちょるさんかもしれないんですね(^^)
私こそ、感心しています。
いつも、本当に暖かなコメントありがとうございます。
本当に、うれしいです・・・。
またまた、わが地元へお出ましですな。ほんとに遠いところまで来られるので感心します。この店、前から存在は知っていたのですが、まだ入ったことはありませんでした。なかなかよさそうですね。こんど(明日にでも)行ってみまーす。
ところでわがビアンキは折りたたみではなくルポという名のシクロクロスバイクです。色は紺地で、チェレステカラーのBianchi文字が入ったものです。何が良いか分からずに、チェレステカラーが気に入ってBianchiにしました。ではまた・・・
ほりぐちか。すごい店だよね。
一昨年の暮れに行ったよ。
店構えからは想像も出来ない、ハイグレードなそばを出す店だった記憶があるなぁ。
また行きたいけど、わざわざ目黒線乗って行くのはとても大変。
yukaさんはすごいね。そばっ食いの手本みたいな人だと思うよ。すばらしい。
それではまた。
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