まさかまさかの、秩父の名店「こいけ」さんが、
来年の秋でお店を閉められると聞き…,
閉められる前に、ぜひもう一度伺いたいと、
西武線組4人で、秩父へプチトリップ 。
肌寒くどんよりとした天気の中、到着した秩父駅。
シンボルの武甲山も雲がかかって、何だか寂し気…。
待つ事覚悟で向かったお店には、
思った通り、車が一杯。
片倉康夫さんの直弟子、しかも助手だった小池さん。
このお店がなくなってしまうだなんて…
秩父 「手打ちそば こいけ」
感慨深く、しずしずと引き戸を開けば、
素朴で簡素、ほのぼのとした懐かしき昭和の風景 。
テーブル席はすでに満席だけど、
これはラッキー、小上がりに丁度4席空いていて、
すぐに通され、腰を降ろし…、
花番さんの割烹着姿も懐かしく、
ああ、いいなあ…。
品書きは、壁に下がった半紙のみ。
右から左に、ゆっくり眺め…
まずは、蕎麦前、
地元「秩父ビール」で、そっと乾杯~。
秩父の山河が描かれたビールは、
すっきり軽やかなピルスナー、
お通しに、様々な形の揚げ蕎麦が出され、
つまみながら、ビールを飲み干し、
続いて、「四季桜」。
お酒には、「椎茸の軸のかえし漬け」。
椎茸の凝縮した旨みたっぷり、うれしいお通し。
程なく届いた、「焼き味噌」は、
練りこまれた葱に蕎麦粒が香ばしい、
西京味噌仕立ての、柔らかな味わい 。
次のお酒は、「豊の秋」。
程なく届いた、「そばがきの天麩羅」は、
食べやすい、丁度一口大。
サクっとした衣に、包まれた蕎麦がきは、ふわっふわ。
まるでマショマロのように口どけほろり、
ん~、これ美味し~い
(写真提供S氏)
「天ぷら盛り合わせ」は、
レンコンに、シシトウ、南瓜に、えのきにインゲン…、
(写真提供Kさん)
小海老が3本つく豪華版。
二人でひとつでも、十分な量。
「大七」の熱燗で、まったりと楽しんだら…、
お目当ての、お蕎麦をば 。
下げられた品書きを改めて眺め、
「せいろ」に「田舎」に、「芥子切り」を、
それぞれ一枚づつ注文。
まず届いた、「田舎そば」は、
やや平打ちぎみの、太打ち。
手繰った先から、ふっくらと広がる香りがいい。
もちもちとしたしっかりとした腰に、
ずしりとした重たさはなく、食べやすく、風味豊か。
ああ、この「田舎そば」いいなあ 。
続いて、細打ちの「せいろそば」。
キリっと締った小気味のいい腰に、のど越し軽く、
じんわり広がる、蕎麦の味わい。
派手さやインパクトではない、
穏やかで、素朴で、それでいて品のある、
ご主人のお人柄を映したような、
けれん味のない蕎麦に…、胸が打たれるよう 。
そして…、私の中でナンバーワンの、
「こいけ」さんの「芥子切り」 。
薄く薄くのし、幅広に断たれた美しい純白の蕎麦に、
愛らしい芥子の実がびっしり。
置かれた瞬間に漂う香りだけで、もううっとり。
もちもちとした腰にたおやかなのど越し、
、更科の甘みに、芥子の香ばしさが混ざり合う、
これとない豊かな味わいに…
ああ、これぞこれぞ、「こいけ」さんの「芥子切り」
4人で手繰れば、3枚の蕎麦はあっという間。
…もちろん、「かけそば」も 。
小鉢に取り分け頂いた「かけそば」は、
すっきりとしてまろやか、
鰹出汁豊かに広がり、しみじみとする旨さ 。
中の蕎麦は、腰まったく失わず、
汁を纏った蕎麦は又格別。
はぁ~、飲んだ後に、たまらな~い 。
こうなったら、も~う、おうどんも 。
真っ白なうどんは、細めでつややか。
ぷるんとした腰しっかり、つるつるっと喉越しなめらか。
讃岐とも、稲庭とも、もちろん武蔵野うどんとも違う。
まさに、私の好きな、蕎麦屋のうどん 。
しかも、同じ汁でも、蕎麦とうどんでは微妙に違い、
蕎麦の汁は、出汁がしっかり、
うどんの汁は、鰹控えめの柔らかさで、
それぞれに合わせた、見事なバランス。
ああ、「こいけ」さん…、
大海に流れこむ穏やかな川の流れのような、
静かで温かい、心をほどいていく蕎麦にうどん。
花番さんのにこやか丁寧なもてなしも心地よく、
優しい笑顔の小池さんを前に、胸いっぱい。
心に残る、美味しく温かなひと時に。
ご馳走様でした~
閉められるだなんて、本当に惜しまれる限り。
最後に今一度、伺いたいなあ 。
「手打そば こいけ」
埼玉県秩父市野坂町2-14-34
0494-22-1610
11:30~15:00
火曜、水曜定休
2007年 4月 2日 天麩羅、蕎麦がき 「三種盛り」
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と寂しく思っているところです。
そうそう、いつも混んでいる。
でも、あまり長居する人はいないので、
以外に然程またないかもしれないです。
ぜひ、閉められる前に、行かれて下さい…(:_;)
残念ですね。
秩父の蕎麦を全国に広めたお蕎麦屋さんだったと思います。
こいけさんはいつも混んでいるという印象と、初めて行った時がとても美味しかったのを覚えています。
うどんは食べたこと無かったです。
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